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何人の彼女を作ろうと俺はみんなを幸せにしたい  作者: たけのこきのこイノセント
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生徒会に立候補

 それから俺は順調に高校生活を送り、1週間がたった。そしてそんな頃に、1つのイベントのようなものの開催が校内に告知される。


 「生徒会選挙、立候補者受付中か。まあ面倒だしやんなくていいか」

 そんなことを昼食を食べながら俺は口にする。そんな俺の言葉に、俺の正面で、俺と同じように昼食を食べていた男は「そうだな」と返す。

 

 「生徒会なんて面倒ごとばかりだろうしなあ。ただでさえ少ない自由時間が減るのはいやだ」

 そう言葉を紡ぐ男は良面琉揮だ。俺がこの1週間のうちに最も親しくしている友人で、今も共に昼食をとっている。


 「まだ部活体験の期間だってのに毎日大変だな、琉揮は。俺はまだ部活とか決めてないから毎日放課後はフリータイムだけどな」

 俺は軽い口調で琉揮にそう言う。


 琉揮はサッカー部に所属している。なにやら彼は幼少期からサッカーをしていて、高校も一応それの推薦で受験し合格したみたいだが、学力で合格した俺よりも頭が良いのがなかなかに羨ましい。

 彼は部活体験の期間のはずであるのに毎日夜遅くまでサッカー部で練習をしているようで、いつも大変そうだ。


 「マジで大変だよ。正直普通に学力で受けて、部活はサッカーじゃなく別のをやっとけば良かったと思ってる。別にサッカーが嫌いなわけじゃないんだけど、あの部活は辛すぎて嫌になってくるわ」

 彼は軽く笑いながらも、ため息をついて言う。その笑いも多分苦笑いだろう。


 そんな会話を交わしているうちに、俺たちは昼食を食べ終わり、昼休みも終わりに近づいていた。ゆえに俺たちは教室に戻り、次の時間のロングホームルームに臨んでいた。そしてそのロングホームルームにて、担任の『藤咲美智子』によって少し俺に衝撃が加えられた。

 

 「例年、新年生の生徒会への立候補者がかなり少なくなってて、今年からそれに対する対策のようなものがとられるようになったの。それが新年生は各クラスから1人立候補者を必ず出すというもの。だから今日のこの時間ではその立候補者を決めることにするわ」

 その言葉と共に教室中でどよめきが起こる。ざわざわと生徒達が騒ぎ始めた頃に先生が声を上げる。


 「それではこれからその立候補者を決めたいのですが……誰か自主的に立候補する気のある人はいますか?」

 

 (生徒会かあ……やっぱ面倒だしなあ。けどちょびっとだけど興味はあるんだよな。そうだ、マジで誰も全然立候補しなかったらやることにしよう。まさか誰もやらないなんてことはないだろう)

 俺はそう考えを固める。


 ―――30分後―――


 「はい、もうすぐこの時間は終了して普通なら放課後になるのですが……このまま誰も立候補しないのなら放課後も使って決めますよ? 誰か立候補する人はいませんか?」

 放課後まで残り5分となった頃、未だ誰も立候補をする人はいないため先生はそう言う。

 

 (くそ、失念してたな。すでにクラス委員とかは決められてたんだが、生徒会の立候補者はそれらの人は対象から除外されるから、そういうことに積極的に臨む人はほとんどいないんだ、これ。どうしようかなあ……さすがに放課後までこの沈黙の時間が続くのは嫌だしな……仕方ない……)

 その状況に辛さを覚えた俺はついにその手をあげてしまう。

 

 「は、はい。俺、生徒会に立候補しようと思います……」

 俺が立ち上がり、そう言った瞬間クラス中から歓声が巻き起こる。


 「はい、ありがとうございます。彼作大翔くんでしたね。それでは少し話をするので放課後私のところに来てくださいね」

 その歓声を打ち破る先生の声に俺は少し面倒くさいと感じてしまう。


 (げ……マジかよ。結局放課後時間をとられるのか。めんどくせ〜)


 そんな感じでその時間は終わりを迎え、放課後になる。その時間に俺は先ほど言われた通り先生の元へと行く。


 「先生、今から俺は何をすればいいんですか?」

 

 「今から大翔さんには選挙用のポスターを作るために写真を撮らせてもらいます」


 (選挙用のポスターなんて作るのか。こりゃ面倒になりそうだ)

 俺はその言葉に顔を曇らせる。


 「ああ、そうだ。それと1年の立候補者は会計か書記のどちらかに立候補することになってるけど、どちらがいい?」

 先生は突然ポスターのことから役職のことへと話を変える。


 「会計で」

 俺はその問いに即答する。これはすぐ決めることができた。なぜか。それは、書記というのは言葉からしてめんどそうだったからだ。それだけである。


 「分かったわ。それじゃあ話をもどして、写真を撮らせてもらうね。そこの壁のところに立っててね。ポーズはなんでもいいから」

 そう言われた俺は、その通りに壁のところに立って笑顔を浮かべ、グッドマークを左手で作って胸の前におく。


 「ポーズ、それでいいの?」


 「はい」


 すると俺は先生のカメラを向けられて、ぱしゃっとシャッターを押される。


 「ありがとう。とりあえず今日のところはこれで大丈夫。ポスターはこっちで作って学校中に貼らせてもらうわね」


 「はい、わかりました。それでは」

 そうして俺は先生の元から離れ、教室からも出て帰路に着こうとする。すると、とある少女が俺に話しかけてきた。


 「お疲れ〜。大翔、よく立候補したね。正直ああいうの嫌いそうだったのに」

 そこに立っていた加藤あみかちゃんがそう俺に言う。


 「まあね。やりたかったって言うより、やらなきゃあの時間終わりそうになかったじゃん? だから仕方なくって感じ」

 俺は彼女の顔を見てそうこたえる。


 「おお、いいじゃん。さすがは大翔。放課後が消えるのは許せないってわけか」

 

 「まあ結局消えたんだけどな。先生に呼ばれたせいで」

 俺は彼女が軽く笑いながら言った言葉に、めんどくさかったそれを思い出したように言う。


 「てか、なんであみかちゃんはまだここに? もうわりと放課後になってから時間たってると思うけど」

 俺は彼女にそんな質問を投げかける。


 それに彼女は笑ってこたえる。

 「? 別に、大翔にお疲れって言おうと思ってただけだよ? 今日は部活体験が始まるのが、3年の都合で遅いみたいだし」


 「おお、それはありがたい」


 「それじゃあ私はそろそろ準備を始めるよ。バイバイ」


 「うん、それじゃあ。バイバイ」

  そうして手を振り、俺と彼女はそこで別れる。


 「はあ……部活か。学校も推奨してるし俺もなんか体験くらいは行ってみようかな」

 そんなことを口にしながら俺は帰路につくのだった。

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