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始まり

 「だれ、ですか…」



 暑すぎる!まだ5月だってのに半袖でもじんわりと汗が滲む程の暑さ。


 「地球温暖化進みすぎだろ」


アイスを買って溶けないうちに家へ戻る。お気に入りはパピコだ。


 「ただいまー」

 「ん!れんくんおかえりー」


 玄関のドアを開けた先で顔を覗かせていたのは俺の好きな人で彼女・同棲中の雪猫(ゆきね)

俺は蓮。今日も最強に可愛い笑顔を見ながら過ごしている。


 「はいっ、ゆきちゃんが大好きなパピコでーす」

 「おお〜、優秀だな!れんくん」

 「ほれ、ほれっ」

 「えっ、ちょ、取れない!」


アイスを取ろうと跳ねる雪猫と一緒揺れる長い髪がとても綺麗だ。


 「取れない!ちょーだい」


雪猫が上から見下ろす俺を睨みながら言う。


 「可愛くすれば貰えると思ってるだろー。あげるけど!!かわいすぎ!」

 「ぐはっ、あ、アイスが溶けてしまうよ〜」


今日も最強に可愛い子にやられては全力のハグをする。


 「んじゃ、食べよっか。はい、ゆきちゃんにお裾分け」

 「ん、ありがとー」

 「うんうん、かわいいねー」

 「ちょっとよく分かんないですねー」


俺の可愛いを流しながらもまんざらでもない、照れている雪猫が今日も最強に可愛い!!


 「ちょっと、また変な事考えてるでしょ」


バレた


 「ん〜?そんなことないよゆきちゃ〜ん」

 「おぢさんきもいー」

 「うう、歳が歳だから結構刺さるよ…ゆきちゃん」

 「はいはい」


扇風機を付けているが部屋は十分暑い。溶けていくアイスに食べるのが追いつかない。

暑くても溶けても隣で好きな人がアイスを頬張っているという事実だけが確かで、幸せなのだ。


 「ごちそーさまでした」

 「ど?美味しかった?ゆきちゃん美味しかった?」

 「お、美味しかったです、ありがとう」

 「やったあ」

 「もう、ばか」


そう言って可愛い手で俺の頭を小突く。


 「ああ〜俺幸せだよゆきちゃん〜」


雪猫を抱きしめそのまま体を倒す。少し冷たいフローリングが心地よい。


 「はいはい〜、もうそれ今日だけで5回は聞いたかな〜」

 「ん〜だめだよ、一生分伝えるんだから」

 「一生一緒にいるんだから、一日一回でいいでしょ」

 「かわいいこと言うなあ!!」


雪猫の頭を精一杯撫でる。これでもかと、これでもかと。

雪猫は撫でられると気持ちよさそうに頭を押し付けてくる。猫みたいに。


最高に可愛い!!


おでこに、瞼に、頬に耳に、唇にキスをする。

 

 「かわいいね、ほんとうに」

 「うるさいよ」

 「耳も赤いからね、かわいいよ」


温かい、雪猫の瞳が、声が手が温かい。心地が良い。ずっと、ずっと触れていたい。

雪猫という名前が、俺がつけたゆきという名前が温かい。

「れん」と言ってくれる雪猫の声が好きだ。ずっと聞いていたい。


ずっと、ずっと。


 「んん、ねてたか…」


ベッド横の時計に目をやると17時と示していた。反対側に目をやると気持ちよさそうに寝ている雪猫がいた。


 そういえばあの後ベッドに行って…。早く退こう。また襲っちゃいそう。


軽い服に着替え雪猫を起こしに行く。


 「ゆきちゃん、ご飯作るからお風呂に入っておいで」

 「んん」


起きない!つい小さい声になってしまって雪猫を起こすことが毎回難しい。


俺、今こそ彼氏としての意地を見せるところだぞ!


 「ゆきちゃん、ほらおきよー」


体を少し揺さぶると体を起こし「おはよう」と言ってくれた。


 「うん、おはよう。起きれたね偉いよ」

 「髪の癖やばい…」

 「かわいいよ、お風呂行っておいで」

 「行ってくる」


寝起きは少し不機嫌な雪猫も最高に可愛い!

雪猫が風呂に行っている間にご飯を作る。俺より雪猫のほうが料理できるけどな。どうしてもレシピを見ずに作れると思ってしまう。


雪猫が戻ってきてご飯ができたら一緒にいただきますをする。

食べ終わったら一緒にゲームをしたり個々でする事、したい事をする。俺はそんな雪猫を眺める事が日課だ。見すぎるとゆいぐるみ攻撃を食らうので程々に。

日を跨ぐ前に布団へ入り眠りに着く。俺はしばらく雪猫の寝顔を眺めてから眠りに着く。


 「れんくん、おはよう」

 「うん、おはようゆきちゃん。今日もかわいいね」


起きれば月曜日。いつものように仕事があって、雪猫が「いってらっしゃい。頑張ってね」と言ってくれる。仕事が終われば雪猫が「おかえり、お疲れ様」と言ってくれる。


 「ただいま。かわいいね」

 「はいはい」


雪猫は在宅勤務なので仕事から帰ってきたらいつも夜ご飯ができている。雪猫と雪猫が作ってくれたご飯が待っているなんて最高の人生だ。ご飯を食べたらしたい事をして寝て起きたらまた仕事。少し退屈なそんな毎日でも雪猫がいるだけでとてつもなく楽しいのだ。


きっと一人だったら毎日退屈でつまらなかっただろうな。と、楽しい事やしたい事がないわけではないが、それでも雪猫がいるのかいないのかでは大きく毎日は変わっていただろう。


 「ねえねえ、ゆきちゃん」

 「ん〜?」

 「かわいいね、ほんとうに。かわいいよ」

 「うるさいってば。ばーか」

 「ふふ、かわいい」


そんな他愛もない会話が一番、雪猫が笑っている事が一番しあわせなのかもしれない。


 

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