Act1. As Of Now † Reality is only interpretation † 2-7
Chpt2 あたしin人気サイト REAL WORLD
☦️Sect7☦️
「ねえ、あたし、いま、じぶんのアバターになってるんだよね。
だから、あたしが歩こうとおもえば、歩くし、右にいこうとおもえば、いくし、右手をふろうとおもえば、ふれるし、つかめるし、あたりまえっちゃ、あたりまえなんだけど、やっぱ、ふしぎな気がするって、変かな?」
「ヘンじゃないよー。意外に、かしこいじゃん。
そーだよ。ふしぎだよ。
じゃ、教えてあげる。HMIIがね、あんたの脳にある神経細胞の電気っぽい信号を読みこんで、アバターを自由にうごかしてるのよ」
「ぜーんぜん、わかんないんだけど」
「インタラクティブ、ってのはね、双方向、って、意味よ。っていっても、わかりにくいよね。
たとえば、いま、アバターの見たりきいたりしている情報を脳におくりこんで、バーチャル・リアリティを観せてるわけでしょ。
ぎゃくに、あんたの脳から、じょーほー(情報)をおくって、アバターをうごかすこともできるのよ」
「ほゎー」
「あんたがあたまでかんがえただけで、なんの操作もしなくてもさー、アバターを自由にうごかせるってわけよ」
「おもしろそー」
「もう、体験中だろ(笑)
天才的な人は、かんがえられないような、はやさで、ふくざつな超絶の体技をするんだよ。そういうひとは、戦闘系ゲームでも、アイテムをあまりつかわない。純粋に、技量でたたかうバトルをこのむよねー」
「えー、ここでも、才能なのぉ~」
「しょうがないよ。
じぶんでは、現実にできない、やったこともないうごきを、キャラにさせるために、その命令を、じぶんの脳でつくり出さなくちゃ、いけないわけだから、センスってゆーか、才能の差が出ちゃうんだよ」
「ねえ、いま、あたしたちって、フツーに、しゃべってンじゃん。
これも、そうなの?」
「そーだよ。
ユーザーの脳の活動を読みとって、アバターをしゃべらせるようするのって、かなり難題だったみたいね。
あたまのなかで、しゃべったセリフを、ぜんぶ、アバターにしゃべられちゃ、こまるでしょ。ユーザーがあたまのなかで、じぶんだけにかたってるのと、ふつうの会話とを、区別しなくっちゃ、なんないからね。
それって、すごく、たいへんなことだったらしいよ。
だってさ、HMIIが読みとるのは、どちらも、同じような脳内の信号でしかないんだからさー」
「まぢ、すごい」
「ニューロンのネットワークをはしるインパルスの、びみょーなちがいをくべつするのよ。それによって、ユーザーの感情を読んで、アバターに反映するのよね。
ゲームの奥も深くなっていくよ」
「うんうん。なんとなく、わかる」
「それから、あんたの手首、見て。
ほら、ホルダーにおさまったスマートフォンがあるでしょう。
わたしたちは、いま、現実のスマフォが見えないから、スマフォを操作したいときは、それをつかうの。アイコンみたいなものね。
プレイ中に、サイトのそとにあるアプリケーションのダウンロードが可能なんだよ」
「へー」
あたし、じぶんのひだりうでを見た。
F1マシンみたいにアグレッシブな、チタン製の流線形ホルダー(Aero Jacketエアロ・ジャケット、ってゆーらしい)に装甲された、あたしのSuper;Hyp‐iz27がおさまっている。
「これって、けっこー、だいじなことだよ。
だって、この装置がなきゃ、バーチャルな世界に入ったとたんに、スマふぉの操作ができなくなっちゃうんだからさ。
IEを退場するときとか、スマフォを操作しなきゃなンないときに、ぜったい、ひつよーなのよ」
「ふんふん、これね。わかったよ」
とびらのまえで、あたしたちは、とまった。
みあげると、とてつもなく大きい門扉だ。みたかんじだけで、ぶあついのがわかる。そざいは樫の木みたい。まっくろで、おもそうな金属のボルトで留められ、厳しいかんじ。なんか、こぇーぉ。
「んで、このとびら、どーしたら、ひらくの?」
「ばかね、あけなくとも、いいのよ」
彼女は、ノックした。 ・・・そンだけか。
巨大なとびらの一部に、ちいさなとびらが切られていて、ひらく。ちいさなとびら、っつーても、高さゎ2メートル以上ありそーだが。
鉄兜をかぶった門衛がでて来きた。ぶあいそうで、まぁーるい、おおきなギョロ眼だま。
キズだらけで、あらあらしい革製の鎧、粗っぽくのびた顎の鬚、鋲つきの兜の左右におおきな角がついていて、海賊か、山賊にしかみえない。
とうてい、『理想の世界』の門衛とは、おもえないけど・・・
革の鎧には、まかふしぎな文字が型押しでうき彫りになっている。アラビア文字?
眉をもちあげ、あたしたちをぎろりと、みおろし、
「これよりさきは、ルールなき非情の現実世界とは、まったくちがう世界。
真実と正義を胸に抱くことこそが幸福になるための、唯一の手段である世界。
すなわち、真の世界。
この門をくぐる者は、こころ正しくあれ。
よって、『自らを、睿らかにせよ。
真実は、自らを、自らによって睿らかにする。
汝は、汝をもちいて、汝じしんを、しめせ』
すなわち、IDとパスワードとを晰らかにせよ」
・・・・・・・は・・・はぁ?
あたしは、どうするのかわかんなくて、ANKAの顔をみる。
彼女ゎ、
「ちょっと待って、ユリイカ!
そのまえに、持ってる装備をつけて。ぜんぶね。
このさきがどうなってるか、わかんないのよ」
そんなぁ・・・・・・・、ちょー不安になるんですけどぉー。
ってのは、さておき、急いで、身につけた。ぜんぶ。
超軽量の懐炉は信じらんないくらい、かるいけど、かさばりぐあいがハンパじゃねー。
ちょー着ぶくれだ。
きみょうなイきモノに、なっちゃった・・・・・
「これでいいのかなー、ANKA」
「す、すごいね、それ。
あんたがそこまで、やるとは・・・・想定してなかったわ」
「大は小をかねる、って、ゆーじゃん」
「ちょっと、ちがうけど、まあ、ギリギリいみ、わかったわ。
じゃあ、いいよね。いくよ」
「だから、どうやるのよ」
そのとき、とーとつに、門衛がくり返す。
「IDとパスワードとをしめせ。
さあ、『自らを、あらわしめよ』
されば、IEの1つの天、4つの海、5つの大陸への道がひらかれるであろう」
「いいわ」
ANKAは、こたえた。ひだり手首のスマフォを、右手のゆびで、たぷっ!
空中に、半透明の、古びて、すりきれた羊皮紙が泛かんだ。
古代ギリシア文字のID。
甲骨文字と、梵字(ぼんじ。サンスクリット文字)と、楔形文字と、古代エジプトのhieroglyphとで構成された、パスワードがしるされてる。
ANKAも、ヘンだわー。
門衛がいう、
「ひかりによって、すなわち、睿らかに確認した。正義によって、汝は、存在する。いま、生命が宿った。いけ。現実のなかへ」
そんだけカヨ? あたしも、まねする。
ちなみに、あたしのパスワードは本阿弥切ふうの、かな文字。台紙は、とーぜん、和紙だ。ヘンでしょ?(笑)
門衛が鎧から、金の鎖のついた金の懐中時計をとりだした。似あわねー!
しかも、文字盤がふくざつな天文時計だ。
太陽や、月や、火星や、水星や、木星や、金星や、土星の表示があって、黄道十二宮の星座のうごきがあらわされている。
あたし、ふたご座なんだけど、いま、星の位置って、どうなのかな・・・・
「汝らが入場するIEの設定時刻は、午後7時40分。
その時点からの、スタートとなる」
門衛は、とびらのむこうへ、もどって、きえた。
あたしたちも、追うように、そこへ、とびらのむこうへ、すすむ。
入った。
一瞬、眼のまえに、半透明のボードがあらわれ、
ANKA クドク(QDQ)・ポイント 2
ユリイカ クドク(QDQ)・ポイント 2
すぐに、きえた。まっくらだ。それだけじゃないっ!
ふぉわゎゎぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!
吹雪だよぉぉぉぉぉっーーーーーーーーーーーーー。タヒぬる〜