Act1. As Of Now † Reality is only interpretation † 2-6
Chpt2 あたしin人気サイト REAL WORLD
Sect6
翌朝。
あいかわらず、つらいわ、教室。すげー。
まぢ、ありえない・・・・・・
っテ、いえるぐらいの、元気がもどってきた、気がする。RWのおかげか? しかし、完治には、まだ、ほどとおい。
冬の朝に独特の、こごえた空気って、教室のざわめきがよくひびく。
あたし、ぼんやり机にむかって、坐ってるン。あーあ。
学校はアクイの世界。たとえ、いまは、よくても、明日には転落する。いつも悪意がひそんでいて、なかよしも、あてになんない。気をゆるせない。接客業にちかい。機嫌わるくても、おちこんでいても、あかるく笑顔。しなきゃ、サイトで、たたかれまくり。ボコスカボコスカッ。はぁ。
あたしのばあい、もうおそい。すでに、たたかれまくりだもん。運命なんて、だれが愛せるンだょ? そんな人がいたら、見てみたい。
痛みは、どう? だれも、きいてくんないから、じぶんできく。
痛いよ。すごく痛い。ちょー痛いよ。
どんだけ、いえば、いいの? いったら、ゆるしてくれるの? どーせ、ゆるしてなんか、くれないんでしょ? どうにもしてくれないんでしょ? たすけてなんか、クれナイんだよね? どぉーにもなんないんだよね? いったい、なんなの!
って、ヒステリックになっても、意味ない。なんで、現実って、こんな仕様なの? なんで! なんで! なんでーっ、って、百万回くらい、ききたいわ。
どうでもいいから、はやく家に帰して。はやく夜になって。はやくあたしになりたい。なのに、まだまだ、午前10時。拷問のように長いわ、今日も。
あたし、胸イタみながらも、コウキくんの声や、うごきを感じると、眼で追わずにいられない。いろんなこと、妄想する。
まぢストーカー。いけないって、わかっていても、止められない。こころがはげしくさいなまれるから、止められない。お願い、だれかたすけて! だれでも、いいから、たすけてよ!
授業とか、どーでも、いイ。昼の休憩なんか、いらないっつーの。弁当なんか、食いたかねーよ。教科書も出さないで、スマホでネット見てる。先生が怒って、教室から、つまみ出してくれれば、いい。泣いたふりして、家に帰ってやるわ。どーせ、すべて、かたちだけ。つくりモンなんだから。どーでもイィ。
午後・・・。
もー、ムリっ、って、おもっても、現実は、ちっとも、ゆるしてくんない。時計の秒針がせせら笑うような表情で、のんびり、ゆっくり、うごく。
テメー、ざけんなよ。まだ、2つも、授業あンのかよ。コロす気かよ? 情状酌量とかナイの? ありえナインダケど? ジョーダンぢゃねー、こーなっタラ、生存かけた闘いだぁっ!?・・・・・・・・
・°☆×・?д(^O^)♡Ф☦灎σ▼πδ❦屍~+○ℤloveβ;*◇・
こな雪舞う、帰り道。ウチにやっと着いて、じぶんの部屋で、ぼぉーっとしてると、車の停まる音がした。来タァー。
HMIIの箱、おもったより小さく、あけて出てきたものは、
「なんじゃ、こりゃあー」
わぁあ。なんだか、アールヌーボー調? ティアラみたい。
あれ、コードがついてる。そういうことか。スマホに、つなぐ。
「これでいいのかなぁ……」
すると、スマホがかってにうごいて、「インストールしてよいか?」だって。
あたし、ダウンロード、ってとこを、タップ! ダウンロードがはじまる。終わった。
ぢゃあ、いくか、わぁーるどへ!?
いちおー、ANNKAのホムペに、書きこみしておく。
あたしさー、これからいくからー、って。
RWを立ち上げ、IEのゲートを〝くぐる〟。
『HMII、つかいますか?』の表示。決まってんじゃん。あたし、夕ッぷ!?
なんか、注意書きが出てくる。メンドイので読まない。つぎ、いく。おおーッ!
なんにも、見えなくなる。まっクラだーっ! 意識がひっくり返って、べつの世界に、いったような感覚。いやだ、たいへん、こわい、ヤバいっ!
え?
光が見えはじめた。
あ、あぁーっ! きゃあぁーっ!
こんどは、スゴイまぶしさで、眼があけらンねー。どっちかにしろや!
光の氾濫のなかで、だんだん、モノがかたちをあらわしはじめる。
え、わかんない。どーゆーこと、これ!
信じらんナイ! なんなの、ここ! ナンデ、あたし、ここにいンの!
つーか、ってか、ってゆーかぁ!
あたしは、IEのなかにいた!
まぢで、あたし、ここにいる。じっさい、現実にいた。胸壁のある黄金の城壁と、紋章のある城砦の門を・・・・見上げている!
でも、どーゆーことなのッ! これ、HMIIのせいなの?
ANKAのアバターがあらわれた。現実の存在として、あたしにむかって、歩みよって来る。あたし、怖くなって、あとずさりした。
「来たね、ユリイカ。待ってたよ」
「ANKAなの? すごい、あたし、どぉなっちゃったの? これって、ぜんぜん、わかんないんだけど、どーゆーことなの!」
「HMIIは来た?」
「来たよ、でも」
「じゃあ、あんたも、いまは、バーチャル・リアリティのなかにいるのね、あんたのアバターになって。あんたは、いま、じぶんのアバターになって、ここにいるのよ。
わかる?」
「わかんないよーぉ(涙)」
「泣くな。
HMIIはね、インタラクティブ・インターフェイスなの」
「はぅ?」
「いーカラ、きけ(笑)。
あんたは、いま、IE世界をバーチャル・リアリティ体験しているのよ。わかる?」
「わからんわぃ」
「現実ってーのは、脳内で製作されてンだよ。
眼で見たり、耳できいたりしたものって、神経をつたわって、脳におくられ、脳内でこーちく(構築)されて、画像や、音になるんだよ。それがふつー、『体験』って、よばれているものなんだ。
RWのサイトがおくってくる視覚データ・聴覚データ・触覚データ・嗅覚データ・味覚データの情報を、ちょくせつ、HMIIが脳へおくってくるのよ。
つまり、眼・耳・皮膚・鼻・舌をとおさないで、情報が入ってくる。
HMIIって、そういうふうに情報をおくる装置なの。じっさいには、存在しないものが脳のなかで、現実としてあらわれるのは、そのせいなのよ。人工的につくられた『体験』よ。
ここまでは、わかる?」
「・・・なんとなく、わかったけど、よくわかんない」
「ぜんぜん、わかってないっしょ!
ねー、たとえばさー、いま、あんたの眼のまえにさ、リンゴがあるとするじゃん」
「うんうん」
「そのとき、リンゴに光があたってるって、想像してみて。
で、光は反射するじゃん。
その反射した光が眼球のなかにある網膜にあたるのよ。あたると、その刺激が情報データになるのよ。
そして、神経をつたわって、脳へおくられる。
すると、脳が情報を処理して、画像をつくると・・・・・
あーら、ふしぎ! リンゴが見えているじゃない! って感じになる、つーわけよ」
「最後が・・・・ちょっと、ややこしかった・・・・かな?」
「だからさー、じっさいに、テーブルの上にあるやつとは、べつものなの、わたしたちの見てるリンゴは。わかるっしょ?」
「んー。ま、ゅわれてみれば、そーかなぁ的な・・・・」
「わかったのかなー? まー、いーや。
ともかく、すべての音や、においや、手ざわりや、味なんかも、脳がそーゆー感じで、つくってるのよ」
「へー」
「それだけじゃないわ。
おなかがすくのは、胃がキューキューしているからだって、おもってるかもしンないけど、ちがうわ」
「へー」
「じっさいは、脳のなかでつくられてるのに、あたかも、胃でそれが起こってるよーに、錯覚させてるのよ。
痛みも、そう。
すべて脳にあるわ。脳がつくる幻覚なのよ」
「ゲンカクっ!」
「とーぜん、幻覚だよ。
脳に着くまえは、いろでも、かたちでも、かおりでも、味でも、においでも、なんでもないンだからさ。
ただ、無味乾燥な、電気っぽい信号でしかないのよ」
「信号?」
「まー、そんなもんよ。
なんだって、そうでしょ?
データって、みんな、信号のかたちでつたえられるじゃん。電話だって、そうじゃん」
「そうだったんだ・・・」
「・・・・・・。と、ともかく、すべては信号で、おくられるデータなの。
だから、HMIIで、ちょくせつ、脳に入力してやれば、眼で見なくても、手でふれなくても、鼻でかがなくても、耳できかなくても、舌でなめなくても、見たり、かいだり、きいたり、味わったりすることができる、ってこと。
じっさいには、存在しない現実を『体験』できるってことよ。
だから、あんたに、いま、ここ(IE)にいるのよ」
「気のせいか、わかったきぶんになってきた」
「ほんとかよ。
じゃあ、ともかく、いこう。歩きながら、話そうよ」
あたしたち、城門の扉のまえまで、歩いた。ふしぎにおもった。