Act1. As Of Now † Reality is only interpretation † 2-5
Chpt2 あたしin人気サイト REAL WORLD
☆Sect5 JOIN
夜、じぶんの部屋。
あかりをおとして、スマホ、にぎってる。
いつもどおりなんだけど、今日は、なんだか、神秘的な、気雰。ふしぎな秘儀に、参入するみたいな、感じ。
アクセスする。
「来たね、ユリイカ。
今日は、イデア・アースにいくよ」
「イデア・アース?」
「ιδέα(イデア)って古代ギリシア語なんだ。むつかしい言葉だから、いまは説明しないけど、Ιδέα Earthってのは、理想の大地って意味だよ。
みんな、IEって、よんでるわ。
ゲートってゆう、アイコンがあるでしょ」
たしかに、ある。タップしてみた。画面におさまらないくらい、たくさんのアイコンがあらわれる。スゴっ!
「それ、ぜんぶ、ユーザーたちがRWのなかにつくったワールドだよ。
わたしのいってる意味、わかる?」
「ぜんぜん」
「たとえばさー、サイトのなかに、自由にスレッド立てられるサイトとかぁ、あるっしょー。あれと、同じ感覚よ。
RWのなかに、RWみたいな、バーチャル・リアリティの世界がつくれるのよ。そーゆーサイトなの。
だから、技術と知識のあるユーザーたちが、オリジナルのRWをつくってる。RWのなかに、いっぱい、RWがある。
これが、ぜんぶ、そう。
アルファベット順だから、Iでさがして」
「え、どーれ? わかんねーよ、ANKAってば!」
あっ。・・・あったよ、Ιδέα EARTH. これか。かんたんじゃん。よし。
出たあ。わぁー。
むかしのヨーロッパの、お城の門みたい。中世ゴシックとか、バロックとかの建築って、じつは、ちょっと好きかも。
でも、ふつうじゃない。魔法の世界の入り口みたい。
だって、石壁が金いろのパウダー地でかがやいているし、聖句のしるされたクリムゾンレッドの帯(巻き物と呼ぶのが正しいらしい)がついてるし・・・・
アーチ門の上に、浮き彫りになった紋章がある。ヘビと鷹とライオンと翼のある大きな角の牛がからんだ意(匠。ゎ。かっこいいー。なんか、ワクワクするよ。
「じゃあ、つぎ。ENTERをタップして」
「わかるよ、それぐらい。少し見とれてただけじゃん。ぷぃッ」
「いいね。元気になったじゃん。
でもね、わたしの話をよくきいて。
タップしたあと、JOIN(加入)とMEMBERSの2つのアイコンが出るから、あんたはJOINをえらんで。
そこは、ご新規さんの場所だから、わたしは、入れない。
あんたは、そこで新規登録をして、そのあと、じぶん独りで考えて、IEのなかで生きるための初期設定を択ばなくちゃならないのよ」
「生きるための初期設定って、たとえば?」
「初期設定ってね、ようは、スタートラインに立つための、出発のじゅんびなの。
IEの世界では、『クドク』ってゆぅ、ポイントをつめば、レベルが上がって、ステータスや、アイテムや、フォース(力)がそなわるわ。
でも、さいしょは、スタートのときにもらえる500イミオンの所持金のはんいで、装備をそろえなくちゃ、いけないのよ。
これが初期設定の1。
それから、もう1つ。装備と同じくらいだいじな、いいえ、いちばん、だいじなことがあるわ。
初期設定の2。基本キャラの設定よ。
IEで生きるじぶんのアバターのキャラを設定しなくっちゃいけないのょ。
設定すると、性格や行動や運命が影響される。
どういうふうに、成長していくかが決まるの。
どぉ? IEでは、じぶんを、えらべるのよ。
現実世界では、じぶんがどんなキャラで生まれるか決められないでしょう?
それって、不当だと、おもわない?
少なくとも、わたしたちは、それが不当だと、感じるようにつくられてるわ。そう感じるようにつくられているのに、決められないのよ。
いってること、わかる?
いじわるでしかないわ。すンぐぉい不当よ。けど、IEは、ちがう。それが自由と平等だわ」
「まぢ? でも、ムリだよ、あたし。決めらんない。まだ、なんにも、わかんないもん」
「人生なんて、みんな、そーじゃん?」
……かるくゆーよな。
「学校卒業したら、世のなかのこと、なんも、わかんなくても、就職えらばなきゃ、なんないでしょ? それと、同じ。
就職えらぶとき、ほんとうに正しい選択してる人なんか、いやしないわ。
だれにも、結末は見えてないんだからさー」
「でも、シューショクって、まだ、ずいぶん、さきの話だよね・・・・・」
「すぐよっ、のんきね。
いつでも、戦闘モードで、いなくっちゃ!
そうでなきゃ、おもしろくないし。
さあ、そんなことより、出発のための最低限の装備! まさか、あんたも、裸でIEのなかに、飛び出したくはないでしょ。
でも、ぜんぶで、500イミオンだからね。
装備をそろえるためだけに、ぜんぶ、つかっちゃ、ダメ。はじめの生活費も、のこしとくんだよ。いい?
かぎられたお金のなかで、えらぶんだよ」
「しつけー。
んな、なんども、いわなくとも、意味わかるよ。
でも、だいたい、いくらぐらいまで、つかってだいじょーぶなの?」
「だからっ、それは、じぶんで、考えるの!
ただ、はっきり、いっとくけど、さいしょの、最低限の装備に、なにをえらぶかで、スタートのつらさ、そーとー、ちがうわ。よーく考えてね。
IEのスタート時って、かなり過酷な状況のはずだから、選択を誤ると、ひどいめに遭うよ」
「ええー! まぢで? でも、ケータイで、なんで、そんな、怖いことになるの?」
「HMIIがくればわかるわ!
今日のところは、設定をすませるだけにしておいて。
どっちにしろ、設定が終わっても、HMIIがなくちゃ、スタートしないし。
よーするに、HMIIがなくっちゃ、参加できないのよ。
HMIIが来たら、IEの入り口で、また、会おう。
じゃー、がんばって」
「えーっ、ちょっと、待ってえ!」
「くれぐれも、金額のはんい内で、やるのよっ!」
しつけー。
あーん、しょーがない。やるっきゃないってことね。あたし、とにかく、ENTREをタップした。画面が変わる。
すごく、リアルな、バーチャル世界だった。
ほんとに、CGかょ?って感じの。
まるで、月面のような、音のない、微動もしない、世界。
小さなスマホの液晶パネル・モニターなのに・・・・あたしを吸いこんで、圧倒する、星のちる、巨大な宇宙空間。
地平線には、青くかがやく地球が見えている。
砂地のような、白っぽい地面に、起伏があって、闇に白く泛かび上がる砂漠みたい。
あたしの眼のまえには、大きな建物の土台みたいなものがある。
よく見ると、それ、とてつもなく、大きな文字だ。魔法の呪文みたいな文字だ。きっと、1文字が数千メートルくらいあんぢゃないかな。
メニューのアイコンが空中にならんでなきゃ、怖いくらい。これ、50インチ画面で見てみたいなぁ。
JOINを、タップした。また、画面が変わる。
暗い場所だ。
ぼんやりと、見えてきたのは・・・・・・
四角い石をつみ上げてつくった、ものすごく大きな建物のなかに、あたし、いた。
上のほうは、うす暗くなっちゃって、天井なんか、見えない。暗鬱だ。篝火が燃えて、照らされる石の床。こういうの、広間っていうのかな?
スマホの画面なのに、かすかに煙の匂いが感じられるくらい、リアルだよ。
中央に、大きな盤があって、炎が上がっている。祭壇っぽい。
そのむこう、とおくにある正面の台座には、王の席があるけど、だれも、坐っていない。
背もたれのうしろの、両わきに、篝火が燃え上がってるだけ。
長い壁には、槍や楯、戦旗や柄の長い斧、タペストリー。大きな古い肖像画がたくさん、ならんでいて、こちらをにらむ、。
王座に欄が2つ、ならんでいる。
IDとパスワードを、入れる欄だ。
どこの国の文字でもいいから、半角小文字と半角数字とで、IDを決められる。パスはRWと同じで、画像OKだ夕。
あたし、じぶんで画像を編集してつくった。
2つの項目の設定が終わると、中央にある祭壇の炎の上に、半透明のボードが泛かび上がってきた・・・・・・
いちばん上に、あたしのIDがあって、下に、characterの欄がある。
キャラの欄を、たっぷ。5つの選択肢が半透明になって、あらわれる。明滅した。
『✜軍武力✜ ✜聖性✜ ✜叡智✜ ✜運命✜ ✜平和✜』
なんだか、よくわからない。翻訳ソフトのせいか? キャラクターで「運命」って、どーゆーキャラよ。カーソルを、そこに、おいてみる。
説明が泛かび上がる。
「運命を肯定し、運命を愛する者。聖性と叡智とをかねそなえるが、軍武力に乏しい。こころは平和である」
へー。意外に、いーじゃん。
でも、「叡智」にしよー。ANKAが知識は武器だ、って、イッてたもぉん。あれ? 知識と叡智って、同じようなもんだよね?
はい、はい、それで、次はEquipment and Wearか・・・・・・・これが装備かな。たぷ(タップ)っ!
いろいろな品名が出てくる。やっぱ、そうだわ。さて、どーしよ。
だいたい、寒いか、暑いかも、わかんないんだよねー。んー。暑けりゃあ、脱ぎゃいい、って、ゆーし。
暑い場所での装備と、寒い場所での装備の、両ほうそろえると、かなり高くなりそぉーね。ってことは、寒冷地仕様でいくか・・・・・・・
うーん、寒冷地仕様って、荷物になるよなあ。でも、しかたないよなあ。うーん。
決めるっきゃない。2つ、いっぺんにゎ、物理的にも、ムリだしぃ。おぉし、決めたぁ。
極寒地仕様だあぁぁぁぁぁぁっ。おーーっ!
じゃ、アウターが通気性のある防水で、インナーが毛皮の防寒着。靴はブーツにしよ。帽子も買お。いちおー、マフラーも。ぢゃあ、これと、あれと、それと、かれと、これと・・・・・・。ん~、やっぱ、けっこう、かさばるなあー笑。
これ、見こみちがひで、暑かったら、まぢ死ぬわー。
そんときゃ、捨てるしかないのね。いいのかなー、エコじゃないけどなあー。
あ、これ、おもしろい、超軽量懐炉だって。ちょーけーりょー?
燃料つきだよ。30イミオン? 高っ! いやーでも、ちょっと、ほしいよー。あたし、ちょー寒がりだし。なんか、かっこぃーし。よし。
ぜんぶで、282イミオン! もしかして、あんがい、いーセン? あたしって、すごいかも! キャー。
おーし、じゅんび、できましたーっ!
ん? なんか、メッセージが出てきた。
「HMII着用の上、入場せよ」
まだだっ、つーの。
ぢゃあ、今日はここまでぇ。