Act1. As Of Now † Reality is only interpretation † 2-3
Chpt2 あたしin人気サイト REAL WORLD
☆Sect3 刂あ儿 ANKA
画面に、赤いちぢれ髪の、女のコが!出て来た。
元気のあふれてる、くりくりした眸で、ようすをうかがうような、おもしろがっているような、かしこそーな表情。
とッても生意気そー。それでいて、どことなく、おとなっぽい顔だ。
もしかして、このキャラが、ANKAちゃんのアバター? イメージちがうけど、アバターだから、リアルANKAに似ているとは、かぎらないか・・・・・・・・
アバターが、しゃべる。
「来たね、ユリイカ。すぐ、わかったよ。
待ってたわ。
はじめまして、だよね?
こういうかたちで会うの、はじめてだから。
わたしが、ANKAよ。リアル・ワールドへ、ようこそ。ここが、真実の世界への入り口よ」
あたしは、小型マイク&イヤホンを、ケータイに差しこむ。
「これでいいのかな、ANKAちゃん、きこえる?」
「きこえるよ、ユリイカ。
そうそう、このまえ、確認しなかったけど、あんたのケータイって、Super;Hyp‐iz27(スーパー・ハイプ・イージー・ニィナナ)だったよね?
OK、それなら、だいじょうぶ。
じゃ、あとは、明日までにTrans Sky-Highっていう、アプリをダウンロードしといてくれるかな。フリー・ソフトだから。ポータル・サイト(Yahoo!とか、Googleとか)の検索で、すぐさがせるよ。
これがあれば、メモリが小さくとも、100テラなみにあそべる。
でも、それだけじゃない。まだ、あんたには、よういしてもらいたいものがあるんだ。
しんぱいないよ、ぜんぜん、かんたんだから。メニューのなかに、グッズってのがあるでしょ? そこ、タップして」
した。
「でね、こんどは、オプショナル・アタッチメントって、ゆーのがあるから、そこを」
した。
「HMII(ハミー・ヘッド・マウント・インタラクティブ・インターフェイス)っての、あるでしょ。
それを買いものカゴに入れて。
で、あとは、あんたの住所とか、入力しといて。いま、深夜だから、着くのは、明後日ね。
支払い方法は着払いをえらんでおくのよ。クレジット・カードって、持ってないでしょ? 料金表があるから、それ見て、お金よういしといてね。
日本にも、RWと提携した会社が販売してるから、できるのよ」
「へえ、ANKAちゃん、なんでそんなこと、よく知ってるの?(やっぱ、ネカマのオヤジか?)」
「あんたが知らなさすぎるわ。
知識はアイテムよ。
なんのアイテムもなくって、無防備な、素ッ裸の状態で生きていこうとする人の、気が知れないわ。
それじゃあ、カモられるために生まれてきたようなもんよ。
1人の人間が素手で、十数人の敵と闘うのって、むずかしい。マシンガンがあれば、百人を相手にできるかもしれない。でも、智慧と知識とがあれば、百万人の敵にだって、勝てるのよ。
ついでに、教えとくけど、このRW(REAL WORLDリアル・ワールド)って、もともとは、MIT(マサチューセッツ工科大学)の2人の大学院生が、遊びでつくったMUDだったのよ。世界中のユーザーと、プレイできる、インターネット・ゲーム。
bサイバー・スペースのなかで、じぶんの好きなキャラになって、バーチャル・リアリティの世界を舞台に、自由自在に活動して、いろいろな国の人たちとバトルしたり、競いあったり、コミュニケーションしたりできる。
で、人気ありすぎで、ビジネスになるってわかった2人が会社を立ち上げ、本格的に活動して、いまみたいに、世界でも、有数のネットワーク・ゲームになった、っつーわけ」
「そんなの知らなかったよぉ。
有名なんだ」
「そーとーね。
さあ、ともかく、いろいろじゅんびするわよ。で、HMIIが着 くまでは、フツーのケータイ画面で、がまんしてね」
「それって、どういうこと?
貯金あるから、お金払うのは、なんとかするけど、なんにつかうもンなの?」
「そのものが着いてから、説明するわ。じゃないと、レクチャーめんどくさいから。
サイバー・スペースに入るための、ドアだとおもってれば、いぃわよ」
「ぜんぜん、わかんないよ」
「いいから、あんたも、アバターつくるのよ。わたしが、教えてあげるから。ゅうとおりにしてくれる?」
あたし、じぶんのアバターをつくることになった。さいしょ、じぶんとは、ぜんぜん、ちがうタイプの、長身でクールな、かっこいい女をつくったのに、
「だめだね。あんた、そんな大人じゃないでしょう。
会ったことなくとも、それぐらいわかるよ。
少しくらいなら、美化しても、いいけど、それ、やりすぎ。アバターは、あんた似にしといて。
現実逃避はNGだからね」
「それ、いってること、矛盾してないの、ANKAちゃん」
そういいながら、リアルANKAちゃんも、このアバターみたいな感じなんだ、って考えた。
「あー、あと、そのANKAちゃんっての、やめてくんない。ANKAで、いいよ。なんか、めんどくさいし」
「わかったよ。じゃあ、ANKA、現実に叛くのに、なんで、現実に似せなきゃ、なんないの?」
「逃避すんのと、捨てるのって、ぜんぜん、ちがうよ。
じゃあ、衣装とか、テキトーに、えらんでくれるかな」
あたし、しかたなく、長い茶髪で、あごの小さい丸顔の、唇のつき出た、胸のない、1人の女の子をつくった。
けど、眼は少し大きめ(笑)で、まつ毛はかなり長めに反らせる(笑)。
「へえー。まじで、こうなんだ。
意外に可愛いじゃん。
なんでフラれちゃったの?」
「・・・・・・・」
「あ、ごめん。
そーそー、今日は、ずいぶん、おそくなっちゃったねー。また明日、会おう。
同じくらいの時間でいいよ。つか、時間はあまり気にしなくていい。
ここでは時間なんて、なんのカンケイもないの。
じゃーね。待ってるから」