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56.あなたが落としたのは、キター

ヒートモスの服のお礼にとチョコバーとアルミの鍋を渡すと

エルフ達は素直に喜んでくれた。

・・・チョコバーの食い方が幼児と変わらん。

「甘ーい。苦みが少しあるけど美味しい。」

「知らない木の実が入ってるけど、これと合うね。」

口の周りにチョコを付けて騒ぐのがいる。

そうか?そのチョコ甘すぎてあんまり好きじゃない。

不味くはないし、個包装だからと持って来て言っちゃいけないか。

倉庫の中身集めた人の好物らしく、沢山あったけど、

できる限り大事に消費したいから、人数分位で持って来た。


個人の感想としてキノ〇のチョコが食べたい。

妥協してタケ〇コでも我慢する。


幼児達は一瞬だけ静かになったが、すぐ騒がしくなって

次をさがしてたけど、無いとわかると走り出し、綺麗好きらしい

エルフ達が顔や手を拭いて回っている。


エルフ達に口止めしたのと、言葉が通じないせいで、

「エルフのお菓子ー。もっとー。」と泣いている子がいて

少し可哀そうになるが、虫歯になるよ。

ついでにピーナツアレルギーは怖いよ。


それより、こっちは困ってるんだ。

「こんな良い鍋、ただで貰っちゃたら悪いよ。

こっちの鍋と交換しょ。」

料理をしているエルフに軽くて使いやすい鍋が欲しいという話を聞いて

亜空間倉庫から大きなアルマイトの鍋を担いできた。


「この鍋、軽くて良いわ。固くて形が変わらないのも良い。

この金属何?見た事ないけど、話に聞くミスリルとかいう奴?」

いえ、アルミニュウムです。この世界が地球なら普通にあります

そんな伝説の金属じゃありません。


「この鍋、重くて。落とすと曲がっちゃうから不便なんだ。

800年位使った中古品だけど、人間ってこの色好きでしょ?

交換しようよ。」

「こっちの鍋はそこまでは使えないと思うよ。錆びないけど

酸っぱい物とか煮込むのには使えないよ。」

エルフが差し出して来る金色じゃなく

純金の鍋を押し返しながら俺は言った。


「その鍋は服や世話してくれる事に対するお礼だから気にしないで。」

「本当に良いの?人間の間で売れば高いんでしょ?持ってけば良いのに。」

うん、高そう。男爵領が買えるかもしれない。

産まれながら小物の俺には辛すぎる位に高そう。

『あれを売れば、借金返せそうですよ。貰わないんですか?』

『ここのエルフ達の将来の為に残しておいた方が良い気がする。

それに何百年も鍋だったのに鋳つぶされるのも何だかな。』

『そういう考え方、嫌いじゃないです。』

テンプレと念話。相変わらずの上から目線だ。


「人間界に持って行くと鍋じゃなくなると思うから、やめとく。

何百年も鍋だったんでしょ?」

「面白い事言うね。わかった、この軽い鍋、もらっておくね。♡」


エルフ達と話していると童話とか思い出してしまう。

金の斧も銀の斧も斧としては約にたたない。

金の鍋も機能としてはアルミの鍋と大差ないだろう。

何故高いんだろうか?

『良いとこに気が付きました。その件でしたら週1回2時間

2年程講義すれば説明出来ると思います。』

『教養課程の経済学教授みたいな事言うな。今はそれどころじゃない。』

テンプレを黙らせてカッチャの意識が戻ったという納屋に向かう。

納屋周りにはエルフ達が大勢いたが、俺が近づくと道を開けてくれた。


「少し前に気が付いた。物はちゃんと見えるし、頭痛もないって」

俺の姿を見たバッチャが言った。

『テンプレ頼む』

『眼球動揺なし。脳各部異常なし。外傷処置済、治癒状態良好、

 生活活動を再開しても問題ありません。』

「上手く治ったみたい。」

「私もそう思う、良かった。」

バッチャがそう言うと、取り巻いていたエルフ達が歓声をあげ、

聞きつけたエルフ達が集まって喜んでいる。

口笛語で”治った―”と外のエルフにも伝えているようだ。


口々にお礼を言って抱き着いてくるのは良いけど、キスしまくるのは

やめて欲しい。いや嬉しんだけど、言葉のわからない

エリーさんと幼児達がドン引きの様子で何事かとこっちを見てる。


「それで、気が付いた事があるんだ。」

真面目な話を切り出す。

顔中キスマークだらけ、唇は何人に奪われたかわからない状態だが

真面目に話す。

「バルツでネッチャとよく似たエルフさんを見たんだ。

服と髪型が全然違ったけど、顔はそっくりだったと思う。」

「そっくり?本当、名前は何と?」

カッチャとネッチャが飛び上がるように質問してきた。

「確かインガって名乗ってたと思う。年齢は80歳以上だって。」

「80歳以上、ってどういう事なの。」

「子供の時に人間に拾われたから自分でも正確な歳は知らないって。」

・・・カッチャとネッチャが顔を見合わせている。

「そのエルフさんの仲間が短剣を持ってたんだけど、それが

皆が持ってる短剣とよく似てた、と思う。」


こんな事なら詳細に覚えておくんだった。

「鞘に名前が入っているはず、何て書いてあった?」

カッチャが俺の体を掴みながら言う。

「ゴメン覚えてない。」

テンプレも憶えてないらしい。全く役に立たない奴だ。

ちょっとガックリしたカッチャに換わりネッチャが俺の前に

顔を近づけてくる。

「本当にこの顔だった?」

「うん、そっくりだった。」

この集落に来た頃、全員整った美人に見えていたエルフも見慣れてくると

個々に特徴があり、顔も違う。

ネッチャと最初に見たエルフは良く似てると思う。

『顔認識をしたら間違うかもしれない位似ています。』

テンプレのお墨付きもあるから間違いないだろう。

「その人は、今もバルツに居るの?」

ネッチャとカッチャが食いついてくる。

納屋周りのエルフ達が固唾をのむのがわかる。


「バルツには半年前にちょっと立ち寄っただけ。

その後マンテェスに行くと言ってたけど、

今もそこに居るかはわからない。」


俺がそういうと、カッチャが泣き出した。

「生きていた、やっぱり生きていた。」

そのカッチャをネッチャが抱きしめ、周りのエルフ達が

もらい泣きしている。


・・・パンツ盗られた事は言わないでおこう。

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