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44.エルフの森

緑の中に枯草の茶が目立つようになった草原をロバが引く車が何台か続く。

車には子供達が乗っているんだけど、俺は前世日本の幼稚園を思い出し、

懐かしい気持ちになっていた。


俺はロバを引きながらテンプレと念話をしていた。

マリアさんは俺の前で護衛してくれている女の人と何やら話している。


『本当にヤバイんだな。村の人達本当に子供を隠したぞ。』

『自分の名前と家をしっかり覚えていない子供は危ないようです。』

『人さらい、すぐ捕まりそうな物なのに何故バレないんだろう。』

『地方領主が強いですからね、少々の犯罪はもみ消せるみたいですよ』

『しかし、人さらいとか奴隷とか、異世界って感じだな。』

『感心してる場合ですか。自分が売り飛ばされそうになってるのに』

『あまりの価値観の違いに認識が追いついてないよ。

何だよ奴隷制って。』

『この国の正規の奴隷は犯罪奴隷と債務奴隷だけなんですけどね。』

『じゃあ何故俺は売られたんだよ。』

『グレーゾーンですね。それもあって今後の展開が難しいですね。』

『どういう事だよ。』

『この国全体で誘拐した人間を奴隷にする事は禁止です。

裏でやっている連中はいますが、バレたら身の破滅です。

アンタはちゃんと喋れるからそっちの心配は、まあ少ないです。

問題は親や夫が妻子を売るような契約を認める領主が居る事です。』

『奴隷に売るって事じゃないの?』

『奴隷じゃなくて雇用契約です。何時から何時までここで働きます。

そんな内容です。』

『奴隷じゃないじゃん。俺もバイトする時契約したぞ。』

『契約破棄の自由が無かったり、他に生きる術の無い所に送られて

帰るお金も貰えないとか。そんな雇用契約があるんですよ』

『大昔の日本にもそんな話があったな。親が子供の雇用契約にサインする訳だ』

あのハゲ、とんでもない事をしてくれる。

俺は知らないうちにジェニ子爵と雇用契約を結んでる事になっているらしい。

『そうです、バルツ男爵はアンタとマリアさんの雇用契約をジェニ子爵との間に結びました。

が、ここに問題が発生します。』

問題って何だろう

『マリアさんが婚姻する原因になったお金の所有権がマンチェス伯爵家にある事です。

つまりマンチェス家の許可がないと勝手に他所に行けないのです。

アンタは10歳になってないのでマリアさんの付帯物扱い、上に同じです。』

『つまりあのハゲ親父の書類は無効だと。』

『マンチェスに行って、無効の訴えを出しておいた方が安全ですけどね。』

『でも何故、村の人達は領主のハゲ男爵の指示が来ると知ってて

 俺たちを逃がしてくれたんだ?』

『日頃の行いでしょうね。もちろんマリアさんの。』

『言われなくても分ってるよ。まったく』

村を出る時、マリアさんがお礼を言うと

助けてもらったお返しだと村の人に言われていた。

俺の知らない所でもいろいろやっていたのだろう。


護衛の女の人が前方を指さしている。

友好的なエルフが住んでいるという森が見えて来たらしい。

少しの間匿ってもらう約束は急遽とりつけたとの事。

ロバ車の中に子供達と一緒に詰め込まれている布が謝礼だそうだ。


向こうからもこちらの一団が見えたらしい。

森から数人の人影が出て来てこちらに寄ってくる。

弓を担いでいるが敵意は感じさせない。


「止まれ、バルツのエリーか?」

「そうだ、そちらはモイモイの住人か?」

「そうだ、話は聞いている。

人さらいから守って欲しいというのはこの子達か」

「そうだ、私たちの村は野にあるから子供達を守りきれない。」

「わかった。私たちもサラワレル事がある。人さらいは共通の敵だ。

協力しよう。」

握手した二人はロバ車の中の子供の数や布、食料を確認している。


『テンプレ、あのエルフなんか言葉が怪しいな。片言だぞ』

『普段エルフ語を話しているんでしょう。そして私はエルフ語完璧です!』

『謎文字の時は読めないって声小さくしてたクセに。

 とりあえず着いたようだ。』


「これから森の中歩く、30分位、オークが居るので気をつけろ。」

前言撤回、全然ついてないや。

「オークって大丈夫なのかな?」

俺が独り言を言うと、横に居たエルフが頭を撫でてきた。

「心配ない。エルフの戦士強い、オークは食料にしている」

オークって食えるのか?人型だったら嫌だな。

「藪の中、見えない所、勝手に入らなければ怖くない」

俺に笑いかけてくるエルフさんは背の高い美人さんだ。

もっとも皆そうなので見分けがつきにくい。

「僕はエアヴァルト、エアって呼ばれてる、よろしくね。」

挨拶すると腕を体の前で曲げた。

彼らの挨拶らしい。

「私、ネッチャ、最初に話していてのがバッチャ、

向こうにいるのがカッチャだ。」

俺たちの様子を見ていたロバ車上の幼児たちが真似して

挨拶しだし、大騒ぎになった。

少し離れて様子を見ているとテンプレから念話が入った。

『嘘もついてないし、敵意もないようです。このエルフは子供を見るのは

初めてのようです。』

『人間のって事?森から出ないのかな。』

『エルフも含めてみたいです。小さいのに驚いているようですよ。

感想は可愛いなので危険はないでしょう。』


その後俺たちは森に入った。

エルフ達は時々立ち止まり足跡を消していた。

心配していたオークだが、エルフの臭いがすると逃げるそうだ。

俺の足が限界に達した頃、

「ここだ」と言われ先頭のエルフが

茨の枝で編まれた扉を開けると小さな集落があった。





















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