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30.妖怪キター

「これは朝練だ。筋トレだ。自分を高めるために目的意識を持たねば。」

『何を自分に言い聞かせているかと思えば。

転生以来ずっと現実逃避してませんか?』

「この小さな体で何回、水桶を運ぶと思ってるんだ。

現実見つめたら自我崩壊しかないわ!」


第二夫人の長女レーナが他家に奉公に出され、代わりに次女のレナが

2階のメイド様になった。

メイド様は水汲みしないとの事で、俺の仕事は必然的に増加した。


水汲みが終わるとこの世界のエプロン、日本の割烹着にそっくり、

を羽織り、オマルの中の汚物回収を行う。

犬を飼ってた事もあるから散歩の時の糞袋と思えば持てますよ。

割り切って考えてます。臭いは気になるけど。


ちなみに本館2階の方々、俺がエプロンしている間は目も合わさないし

声もかけて来ない。完全に居ない者扱い。あなた方の出した物だよ。

まあ、普段は汚い物を見るような目で見られるから

無視の方がマシかもしれない。


そんな事よりも今日は来客がるとの事で掃除の仕上がりチェックがうるさい。

厩係りのグーノとか水車小屋のミューラとかまで緊張している。

重要なお客なんだろうか。

お前は掃除が終わったら引っ込んでろ?それは有難い。

お貴族様の客なんて積極的に関わり合いたくもない。


そんなんだから来客が来た様子でも俺はミシンで縫物をしていた。

洋裁なんてした事なかったが、今ある服とマリアさんの知識で乗り切った。


マリアさんはミシンを使って見せると狂喜乱舞していた。

魔道具で説明がついてしまうのはチョロ過ぎとは思う。


そんな訳で俺達は亜空間倉庫の巨大サイズTシャツを次々と

木綿の下着や服に変えている。

来客の相手などしている暇はないのである。


暇はない、というのはフラグだったのだろうか?

いきなりドアがノックされた。

ミシンのある俺の部屋のドアを閉めるとマリアさんが玄関を開けたようだ。


「馬車の中でですか?ちゃんと座ってもらった方が良いんですけど。

時間がない?やってみますけど。」

マリアさんの声が終わると玄関の閉まる音がした。


「ママちょっとお仕事してくるからお留守番しててね。」

「何があったの?」

「お客様のジェニ子爵が腰が痛いんだって。もう行かなきゃなんだけど

馬車の中でちゃちゃっと回復魔法かけてくれって。」

「随分わがままだね。」

「もう玄関出てから回復魔法の事を聞いたみたいよ。

馬車からここまで歩くのが辛い位痛いらしいから仕方ないわ。」


マリアさん基本善意のひとだからな。

仕方なかろう。


別館玄関、ぼろい木のドアだが、を開けて驚いたね。

男爵館のうらびれた中庭に金銀の飾りのついた4頭立ての

白く輝く馬車が駐車していた。

その周辺を白馬に乗って金と銀の鎧を着た若者が取り巻いている。

周囲のクソミドリとのカラーバランスは微妙だな。


僻みかも知れないけど、あいつら気に入らない。周りを取り巻いてる奴も御者も

マリアさんの事を見下すような目で見ている。

マリアさんの服は確かにぼろいけど、いきなり呼びつけたのはお前らだろう。


マリアさんは入ったと思ったら出て来た。治療は数分で終わったらしい。

この世界に来てから一番豪華な物を見物していると、馬車を降りたマリアさんを

追い越して誰かがこちらに走って来る。


「YOUは、誰?」いきなり声をかけられた。

えっ、誰?意味わからん。何この人。

結構なお年寄りだ。セバスより年上かもしれない。でもお化粧してる。

この一面クソミドリの中にいると違和感が半端ない。

なんか山の魔物と雰囲気が似ている。


マリアさんが慌てて俺の所にやって来た。

ポカンとしてる俺を抱きしめながら爺さんに頭を下げた。

「子爵様、田舎者のご無礼をお許し下さい。この子は何も知らないんです。」

この爺が子爵様なのかよ。歩くのが辛いとか言ってなかったか?


爺は舌なめずりしながら首を振った。

「YOU、私の所に来な。磨いていくうちに、

個性ある輝きを発してくるものなんだ。」

その手は俺の下半身に手を伸ばしてきた!

爺、残念だったな。この世界に来てから何度もひん剥かれた俺は警戒心が強い。

華麗に躱してマリアさんの腰に抱き着いた。

ヤラシイ気持じゃないぞ。本当に怖かったんだ。

前に魔物、ゴブリンやトーテムフートに見られた時も嫌な見られ方したけど

この爺それより感じ悪いかもしれない。魔物以上、妖怪だ。


幸い、爺には時間がないようだ。

男爵達がこちらにやって来た頃にはお供の人に説得されて馬車に戻っていった。

結局20分近いタイムロス、今からだと次の村に着くのが夜になるだろう。


別れ際に「YOU、忘れずに連絡するんだぞ。」と言われたが、

俺は記憶力が悪いんだ。3歩で忘れてやる。


男爵様とイリスさんに呆れたような目で見られたが、俺何か悪い事したか?

いきなりひん剥かんばかりに寄って来られたら警戒するのが普通だろ?

実際ひん剥かれた事あるし。


エノラさんは俺の方をみて「子爵様も物好きな」なんて言っているが、

珍しく同意見だ。

子爵がお供に連れていた青年達は本館レディースの目がハートマークに

なる位のイケメン揃いだった。


エア君の顔面偏差値は令和日本時代の俺に比べればはるかに高いが、

あのレベルには達しないだろう。

俺、ダンスも歌も下手だし。


そんな夢みたいな事追いかけなくても俺にはゴールドラッシュ計画がある。

はるかに確実に儲けられるはずだ。

うん、悪い夢見た、忘れよう。


馬車が見えなくなるまで見送っていた男爵達も本館に戻り、

俺はマリアさんによしよしされながら別館に入った。


・・・たまにはそれ位の役得が有っても良いじゃないか!
















































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― 新着の感想 ―
スカウトされたら候補生として離れでの合宿に参加させられて以下略 後日応募した覚えのないオーディションの合格通知とか送られてこないといいんだけど
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