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24.藻女キター!

俺は手足を押さえつけられしかも短剣を突きつけられている。

絶対絶命のはずなのだが雰囲気が山の魔物達と全然違う。

口を押えられながらも観察してみると

短刀突きつけてるのは目が泳いでいるし、

足を押さえているのは顔真っ赤。

両手を引っ張っている二人は涙ぐんでる。


「ジェニ子爵領まで4日はかかるんだよ。捕まっちゃうよ。」

「ダーナ、アンタがいきなり脱がすからいけないんだよ。

これじゃ変態の汚名を着ちゃうよ。」

「だって誘拐はこうやるって薄い本で見たもん。」

いや汚名じゃなくて立派な変態です。

それと繰り返しますがその薄い本は有害図書です。


「ニャーは人間の子供に興味はニャイニャ。お前たちで決めるニャ。」

「獣人は気楽な事言うわね。分かってる?お金がないと町では

暮らしていけないのよ。」


「お金は別の方法で稼ごうよ。子供を攫ったり殺したりなんて嫌だよ。」

「インガ、アンタが言うからその気になってこんな事したのよ。」

「もうお金ないから、いっそ人攫いか強盗でもしようか?

そんなの冗談に決まってるでしょ。」

「アンタの冗談はわかりにくいのよ。」

彼女たち5人は内輪揉めを始めた。良いぞもっと揉めろ。


「インガ、80年も生きてるアンタが決めて。年長者に従うわ。」

獣人の歳はよくわからないが、他は全員若い女のようだ、て。

マジか一人は80代かよ。

「やめようよ。そこまで落ちたくない。」

10代に見える背の高いシルバーブロンドの美人が言った。

80代?彼女はエルフなのか。


驚いていると短刀を突きつけていた女が溜息をついてから俺に言った。

「ゴメンね。お腹が減って仕方なく盗みに入ったの。

お貴族様の物なら少し位良いかなって思ったんだ。

大きな声を出さないって約束するなら離してあげる。」

俺が頷く素振りを見せると本当に離してくれた。

彼女達、アマちゃんというか本当の悪党ではない感じがする。


「お姉さん達どうしてこんな事しているの?」

話しかけると5人はお互いに目配せしあっていたが、

一人が話し出した。

「街道を見張るだけで月に金貨10枚もらえる

オイシイ仕事が有るって誘われたの。

行ってみたら現場は野盗の住処で、討伐受けてる真っ最中。

逃げた野盗の仲間と思われないように今必死に逃走中よ。」

それなんて闇バイト、て奴だな。


「まだ何もやってないなら素直に申し出れば良いのに。」

「子供にはわからないか。そんな事したら手柄の欲しい貴族様に

無理やり犯人に仕立て上げられるちゃうよ。」

何それ、嫌な世界。

押さえつけられた時は腹が立ったけど、話してみると普通の人だ。

貴族に恨みはあるけど殺したいとかはないらしい。


「世の中にウマイ話はないって。」

「うるさいな。子供に教えてもらわなくてもわかってるよ。

次からはちゃんとギルドを通して仕事をするよ。」

この人たち大丈夫かな?でも本当にお腹が減っているみたい。

腹の虫が鳴る音するし、やつれきっている。

何か可哀そうになってきた。


「そうだ!」

最近村の人の中に農作業やら家畜の出産やらで体を痛める人が出た。

その治療のお礼にとフロロの実が別館に届けられている。

本館の人数まで考えてくれたのだろう、すごい大量だった。

館にも元々フロロがあったので、絶対食べきれない。

「フロロで良ければ沢山あるし、貰えると思う。」

マリアさんチョロいし。

「坊やの家?なりからして貴族様の子じゃなさそうだけど、どこにあるの?」

別館を指さすと女性たちの表情が緩んだ。

私の家の方がマシとか、人が住めるのかとか

聞き捨てならない事を言っているような気もするが。


という訳で連れて行ったけど、この人たちどっかから忍び込んだんだよね。

村の木戸を通ったとも思えん。怪しさ満点だ。

館の中に急に訪問してくるのはおかしい。


それでも大丈夫なのがマリアさん。安定のチョロさ。

俺が旅の人が困っていると言うと、フロロなら全部持って行って良いって。

「エアヴァルトは優しい子なのよ。」と自慢しまくっている。

パンまで貰って5人が恐縮している。

そのパン、不味いんで二人とも最近食べなくて溜まってた奴だけど。


「ママ、これもあげて良い?」

例の銀貨2枚を見せる。驚くマリアさんに続けて言った。

「無理やり押し付けられたお金だし、なんか持ってたくない。」

お金に色はついてない、というがお前の命の価値なんぞこれ位、

そう言われた気がして気分が悪い。

マリアさんは黙って頷いた。


銀貨二枚がどれだけ役に立つのかわからないが、別館と銀貨を見比べて

物凄く感謝している。意外に素直な子達だ。

もっとも後ろでしている会話は気に入らないが。

「あの子超優しい。誰?あんな酷いことしたの。」

「結構可愛い顔してるよね。私見ちゃった。」

「私、生まれて初めて見た。あんな感じなの?」

「ふん、ウブだな。私なんか30年前に子守りでさんざん見たぞ。」

ナニを見たというんだナニを。

将来おムコに行けなかったら責任を取ってもらうぞ。


押し倒されて刃物突きつけられて許すのはどうかと思うけど、

既に電撃の人許してるし。

感謝されてるし、悔い改めてるし・・・。

手を振りながら、今度は村の木戸から出て行く5人を

俺も手を振りながら見送る、、、

あれ、足、真ん中がスースーする?あっ、しまった!

「パンツ返してー!」


『返ってこないでしょうね。』

テンプレ、他人事みたいに。他人か。

「継ぎだらけの古着だけど、全部で4枚が3枚に。

どうしても追加が必要だ。」

『気前よく上げた銀貨があれば買えたんじゃないですか?』

「貴金属なら亜空間倉庫に結構ある。金があっても店がなきゃ意味ない。」

『収穫期になると行商人が来るみたいですよ。』

下着位はマメに変えたい、どうしようかと思ったが

すぐにアイデアが浮かんだ。


「そこで作戦、亜空間倉庫のデカいシャツから布を取って自分用に縫う。」

『ちゃんと縫えるんですか?』

「共稼ぎ家庭の長男、かつ野球部を舐めるな。縫物くらいできる。」

『野球のボールとユニフォームの繕いは自分でやってたんですね。』

「妹の給食袋まで縫わされた俺に隙はない。布は行商人から

買ったといえば本館や村でも通るだろう。」

『なるほど、ところで一つ良いですか。』

「なんだ?」

『そろそろパンツ穿きませんか。

それともそういう趣味に目覚めたんですか?』

「もっと早く言え!」

この世界のスカートは子供用でも膝まであるが、

万一風の悪戯で捲れたらモロ見えになるだろう。

おれは若干内股で自分の部屋に飛び込んだ。




















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