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20.春がキター(父もキター)

一番鶏で目を覚まし、何時か食ってやると八つ当たりする。

おはようございます。いつもの朝だ。


山に無理やり連れていかれ何度も死にかけてから数日、

俺の日常に変化はない。

水汲みの量が増加した事以外は。


昨日、騎馬の男が屋敷に駆け込んで何か言うと戻って行った。

父、男爵が帰って来ると告げに来たのだ。


「フロロって花まで青いんだな。異郷での寂寥を感じる。春が来るんだ。」

『アンタに詩的な心があったとは意外です。』

「現実逃避くらいさせろ。朝からクタクタなんだ。

水道って本当に便利だったんだと今日だけで一億回位思わされてるんだ。」

『大げさな表現はやめましょう。仕方ないです。頑張って下さい。』

「頑張るけど、余程注意しないと体を壊しそうだ。

22歳の意識で9歳の体を使うからそうなるのかもしれないが、

簡単に持ちあがると思った物が重すぎるなんて日常茶飯事だよ。」

『まだ意識が慣れていませんか。厄介ですね。』


レナとレオニーは本館内の清掃に専念、村の人は何かの準備で多忙。

普段本館に入らないマリアさんも、本館内に入りっぱなし。

誰が水汲みするの?俺でしょ、状態。

その上水瓶3つ分、合計100L位2階に運ぶ量が増えた。地獄です。

栄養補助食品採りまくってるけどこの年齢でこの労働、将来悪影響出ないか?


水を汲んでは2階の部屋に運び込む。

レナとレオニーは雑巾を洗った水を窓から捨てている。

下水も便利だったな。無いからオマル使うんだものな。


先ぶれの騎馬がまた屋敷に入って来た。

行ったり来たりご苦労な事だ。スマホも便利だったな。


全員着替えるらしい。俺もいつもの臭気まみれの服から一張羅に着替えた。

下着にいたるまでレオニーのお下がりだ。

一部マニアには堪らないかもしれないが肌着位は新しいのが欲しい。

というか肌着を数日着続けなければいけないのがキツイ。


玄関フロアに立ったまま学校の始業式みたいな儀式を見させられて、

そのまま解散になった。

明日以降に設定される会食で、改めて留守中の事を質問されるそうだ。

今日は夕食も別々に食べるって事ね。2カ月以上出てたんでしょ。

俺一応息子だよね。声の一つもかけないかね普通?

日本の感覚ならネグレスト案件だ。その前から児童労働ヤバいけど。

帰ろうとしたら呼び止められて、男爵閣下の荷物運びをご下命いただいた。

日本での父親がいかに優しかったか事か。


着替えが入ってるトランクが一体何個あるんだと思いながら運んだ

俺の気分は完全に滅入ってしまった。

『元気ないですね。』

「明日以降の展開が読めるからな。あの洗濯物が俺に害を為さないなんて

絶対にありえない。」

『アンタには珍しく理知的な予測ですね。私もそう思います。』

「お前いい加減にしろよ。でも文句言う元気もないよ。

あの父親、全く無関心だったぜ。最悪の毒親じゃないか。」

『日本でも昔の貴族の親って自分で育てなかったそうですよ。

こっちの世界でも身分が上な程自分で育てないらしいですよ。』

「そんな高貴な方々の事はしらないよ!

あの野郎、自分の女房や子なら少しは気遣えよ。」


余所行きの服から普段着に着替えに別館に帰る。

全く気に食わない、父のフリードリッヒ、曾祖父もフリードリッヒだそうな。

曽祖父は炎魔法の使い手で紅蓮のフリードリヒと呼ばれ騎士から男爵に

なりあがったそうだ。

父は剣術が得意で剛腕のフリードリヒと自分で呼んでいる中二病だ。

尚フリードリッヒ2世と呼ぶのは受験の悪夢を思い出してしまうので拒否する。

同じ名前の奴は何人も出て来るなよ!

「しかも額が頭頂部を超えて居るじゃないか。

この体にあの遺伝子が入っていると思うとゾッとする。将来大丈夫だろうか。」

『あなたの髪は母親似ですから大丈夫ですよ。頭の薄ろから赤い髪を

前髪の位置まで持って来てまで隠そうとしているのですから

見て見ぬふりをしてあげてください。』

独り言を言っていたらテンプレが答えてくれた。

「お前も後ろを薄ろとかワザと間違えてるじゃないか。

あの髪型、強調しているだけだと誰も言わないんだろうか。」

ああ、腹立つ、父はエミュール兄とそっくりだ。

将来は髪型もそっくりになるだろうと思うと少しは気分が落ち着いた。

テンプレの奴、AIのクセに俺を慰めようとしてくれて有難うな。


『どういたしまして。少しは元気出ましたか?』

「ところでお前、さっきの男爵の話分かったか?討伐ってどうなったんだ?

成功って言ってたけど、何がどうなったんだ?」

『典型的な言い訳会見ですね。追い散らしたと言ってましたけど

要は野盗の拠点はどうにか排除成功、でも野盗達は皆逃げたという事です。』

「やっぱそうだよな。回りくどく言っても同じなのに。

でも相手にエルフと獣人が含まれていたというのには興味あるな。」

『討伐で交通路が復活したようですから、会う機会ありますよ。』

「魔物みたいに襲って来ないんだろう?どんな感じなのか話してみたい。」

転生のレギュラーだけど、この世界ではどんな感じなんだろうか。


夕方、本館に呼ばれたらしいセバスがス巻の毛布を回収がてら別館にやって来た。

「この間のゴブリンの皮を見せて来たんだよ。王都に持って行くらしい。」

そういえば皮を剥ぐと言っていたな。

「食べられた人、早く誰かわかると良いね。家族の所に帰してあげたい。」

ゴブリンに食べられちゃった人のお弔いには俺も行ったが、

あらかた食べられて体の原型がなく、人の亡骸という感じがしなかった。

ふと、日本に残した俺の体を思い出し、これはこれでどうなんだと

泣いてしまった。疲れていたせいかもしれない。


「エアは優しいな。本当にそうだ。大丈夫、持ち物が結構残ってたから

きっと誰かわかるさ。」

ゼバスは俺の頭を撫でながら獣臭い胸に抱きしめてくれた。

「もうすぐ春だ、牛も羊もヤギも子供が沢山生まれる。

そうすれば乳も沢山集まる。

エアー今年も木苺ベリーを皆で採って、指の色が変わるほど食べよう。」

マリアさんは黙って聞いていた。


理解した。俺はネグレストなんかされていない。

遺伝学上の父は良く知らないが、地域の人々皆が愛してくれている。

貴族としてはどうなのか知らないが、俺はあの禿嫌いだ、








































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