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19.重曹キター(俺は舐めないよ)

亜空間倉庫で必要な品物をピックアップしていく。

初期には持ち出さなかった青い冷凍ケーキも取り出す。

最初人の食い物と思わなかったよ。

食ってみたら普通にケーキだった。アメリカ人の色彩感覚は判らん。

俺には少々甘すぎるが、マリアさんは喜んでくれる。

在庫は後991個、一生分と思うと多いのか少ないのか。

さて、恥ずかしい動作を思いっきり可愛くやるか。

「”萌え萌え、キュン!”」


その日はいつもより豪華な食事と青と緑のケーキを楽しんだ。

余程疲れていたのか寝落ちしてマリアさんを困らせた。

何とか自力でベッドにもぐりこんだ。

22歳の俺の精神で9歳の体を動かそうとするので無理がかかるようだ。

精神的にも混乱している。マリアさんをママであると思うけど、

完全には割り切れない。

そんなに甘えて良いのか。甘えた方が喜んでくれるけど。

日本の家族の事も忘れられない。

『難しいかもしれませんが、何とか調整して下さい。』

テンプレは簡単に言ってくれるけど俺は鈍才で陰キャなんだ。

無茶言うな。

その夜は絶対悪夢を見ると思っていたが、

目を瞑った瞬間眠りに落ち、気づいたら朝だった。

余程疲れていたんだろう。

疲れ切っているのがデフォの様な気もするが。


さあ、今日も嫌々井戸に行くぞ。

マリアさんが居なかったら絶対やらない。

というか、俺一人だったら山の中に逃げて亜空間倉庫で暮らそうと

考えてないとやってられない。

でも、やったらマリアさんが困るだろうな。

チョロいんだよな、亜空間倉庫の甘すぎるチョコやケーキに大喜びしている。

俺が酷い目に合うと泣きながら庇ってくれる。

・・・仕方ない、覚悟を決めて母ちゃんの為ならエンヤコーラするか。


リナとレオニーは先に来て水汲みを始めていた。

昨日は俺の分も水汲みしてくれたらしい。

お礼を言おうとしたのを制して

昨日俺が帰って来た時の姿が可笑しかったとケラケラ笑っている。

「無事帰って来たってていうから見に行ったら、ス巻でしょ!

芋虫みたいで・・・。」

何がツボだったのか二人で涙まで流している。

随分心配をかけたようだ。

いつも通りの水汲み、汚物処理、汚物入れ洗い。

9歳でやる仕事じゃないと思う。

ヘロヘロで顔と手を洗い直し、別館で朝食、粉末だけどスープを作る。

本館のスープより絶対にウマイと思う。ザマミロだね。


さて、今日はスペシャルなお仕事がある。

会いたくない人の上位に君臨しているエノラさんの所に行くか。

マリアさん心配そうだけど、我に策あり、心配ないよ。


銀器って家宝なのね。知らなかった。

キッチン横の小さな部屋で待っていたら鍵を沢山持ったエノラが

どこかの部屋から持ち出してきてエラそうに教えてくれた。


お湯のポット、砂糖入れ、ミルクポット、それらを乗せるトレイの4点セット。

立派なケースに入っておりましたが、なるほど茶色く曇っている。

一応ご指導いただきました。エノラさん手は貸さず口だけで。

力を入れて布で拭け、細かい所は指先で丁寧に、溝の所も磨きなさい?

了解です。やりますから早くどっか行って下さい。

俺の命より高価だと思って大事に扱え?そんな物子供に手入れさせますか。

壊したらマジで井戸に放り込まれそうな勢いだ。

そうなったら毎晩皿を数えてやろう。銀のトレイは一枚しかないけど。


しかし、砂糖入れにミルクポッドって、この家にあるのか?

俺はミルクなんて偶にしかもらえないし、

砂糖にいたってはこの2カ月見たこともないぞ。



幸い作業は別館でやっても良いそうだ。

多分だがマリアさんと二人でやらないと夕方までに終わらないと思われている。

別館に、自分の部屋に入ってしまえばこっちのものだ。

銀器を持った俺は可愛く叫んだ。

「萌え萌えキュン」

『昨日準備してたのはこのためですか。』

「化学反応が俺の居る所しか起きないのが亜空間倉庫の弱点だな。

でも用意されていたコンロや鍋が大きくて助かるよ。」

銀器が入るのを確認した鍋にアルミホイルを敷く。

アルミホイルは銀器の内側にもきっちり入れた。

「後は重曹にブラシとマイクロファイバータオル、研磨スプレーっと。」

『楽しそうですね。』

「時短で終わらせて、後はゴロゴロしててやる。罰作業舐めプしてやる。」


「萌え萌えキュン!」

部屋に戻るとガソリンコンロをガンガン焚いて鍋のお湯を沸騰5分、

裏口を開け薪置き場に重曹水を流す。

朝余分に汲んでおいた井戸水で銀器を流し、

細かい所をブラシでこすりもう一回流してほぼ終了。

ここまで一気。仕事は段取りだね。

見張りをしていてくれたマリアさんも驚きの早業だった。

ふっ、夏休みに高原ホテルでバイトしてた俺に隙はないぜ。

あのホテルの銀器はメッキだったけど良く磨いた?もんだ。


マリアさんは何故俺が銀器を光らす方法を知っているか聞いてきたが

亜空間倉庫で何となくわかったというと納得していた。

大丈夫かこの人?チョロすぎないかとは思ったけど別に良いだろう。


道具が良いと早く終わる、マイクロファイバータオル優秀!

綺麗になって気分が良いので細かい所も拭いといてやった。


早く終わったのでマリアさんの仕事のお手伝い。

マリアさん、本館の人々の衣装をなおしてお針子のように働いているが、

貴族は働いてはいけない事になっているのでお金はもらえないらしい。

同様の理屈で回復魔法で治療しても代償はもらえないのだが、

包帯や薬草の実費は例外らしい。

別館には薬草が干してある。乾燥十分なのを紐で結わえてあげると

ママが喜ぶという事だ。


適当かなと思い銀器をケースに入れて本館まで持っていった。

リナにエノラさんに知らせてもらったら、部屋から大きな声が聞こえた。

「こんなに早く出来る訳ないじゃない。

 舐めてるの?突き返してやります。」

うん、エノラさんには舐めて欲しい。できるだけ沢山重曹を。


チェックが厳しい、本当に鵜目鷹の眼、ついでに魚の目で見ている感じ。

何か所か「ここに曇りが。」とか「少し色があると思うのだけど。」と

ほぼイチャモンのダメ出しされたが、液体クレンザー付布で軽く対応。

何故か悔しそうなエノラさんのOKをもらい別館に帰った。

昨日に比べれば断然に平穏な一日で良かった、良かった。


・・・あのBBA、トーテムフートに噛まれないかな。







































アルミと塩を使って銀の硫化物を除去する方法は、銀器を扱う人には広く知られたテクニックです。

バイト経験からいうと手磨きよりきれいになります。

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