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1.男の娘覚醒(テンプレ通りに・・・なんでならない!いやテンプレなんだけど)

貴族様の息子に転生させてもらったはずですが・・・。齟齬があるようです。

なんか体がチクチクする、なんか痒い、それで目が覚めた。

仰向けで寝ているようだ。それではお約束のセリフから始めよう。


「知らない天井・・・って暗。なんも見えん!どこなんだここ。」

もしや異世界転生でなく、三の付く川の方に来てしまったのか?

慌てて起き上がる、起き上がれた。重さを感じる。

肉体はあるようだ。


呼吸を落ち着けている間に目が慣れてくる。

あちこちから細い光が入って来ていて真の闇ではない。

もう一度上を見てみた。


「知らない・・・っておい、天井がないじゃないか!」

藁ぶき屋根の裏側だと理解するのに多少時間がかかった。

ついでに屋根までの距離が近い。


いったい何処に来てしまったのだろうか?

耳を澄ますと人の声らしき物音がする。

拷問とか悲鳴とかではなくのんびりした感じだ。

体を触ってみる、頭に瘤ができている他に傷はないようだ。

あのグロイ姿での転生は回避できたようだ。


あれ?肌が妙にすべすべしているぞ?

髪の毛が長い、しかも編んである。なんか油っぽい。


はっと気が付き、最も重要な部分を触ってみる・・・あった。ヨカッタ

しかし、しかし・・・・随分可愛らしくなったような気がする。

これは俺の体なのか?

俺のマグナムがこんなに可愛らしくなって、

しかも寝起きなのにこの状態とはどういう事なのか?

朝といえばアレだろう!俺の若さはどこにいった!


『最初に考える事がそれですか?呆れて物も言えません。』

頭の中に直接声が聞こえた。

とりあえず良くある対応をする他ないだろう。

「君は誰だ?ここはどこだ?僕はどうなったんだ?」


『それらの希望に答えるために待っておりました。

 私はAI搭載通信装置です。

 あなたの知識のスマホと似た用途で使われておりました。

 昨日ご主人様から”テンプレ”と

 名前を付けていただきましたのでその名でお呼び下さい。

 当分の間あなたの面倒をみるよう言われております。』


「なんか、いや、その名前なんなの?もっと良い名前にしようよ。」

『あなたはご主人様ではありません。

 私に命令したり名前を変える権利はありません。』

「なんか態度悪いな。

 スマホの用途という事は誰かと連絡とったり

 調べ事したりネット見たりできるの?」

『はい。通信圏内であれば可能です。

 でもこの世界全部”圏外”のため通信やネットはできません。』

「だめじゃん・・・。」


『あれ?昨日ご主人様から説明を受けませんでしたか?

 ”圏外”であっても私の記憶機能と演算機能は使えます。

 この世界の大半の言語、事象のデーターは入力されております。

 まさしくチートです!

私が居なければアンタはこの世界ですぐ詰みます。私は凄いのです。』

遂にアンタ呼ばわりになったか。


「お前AIの癖に態度悪すぎだろ。もう少し丁寧に教えてくれよ。」

『出た!AI差別!。

 私はご主人様に頼まれて仕方なくやってるんですからね。

そこらへん勘違いのないように。』


そうくるなら対応してやる。

「協力お願いします。テンプレ様~。」

『アンタ、プ、プライドという物は・・・。

 まあ頭の回転が速い事は認めます。』

AIにプライドの事言われたよ。シクシク。


『とりあえず私を拾って下さい。絶対無くさないで下さいよ。

 常に肌身離さず持っていて下さい。』

「えっと、どこに居るの?」

『今光りますから。ここです。』

体のすぐ横で青く光りだした。見た目は勾玉そのものだ。

 拾うと光は消えた、それほど重くない。


『安っぽい石の装身具に見えますから大丈夫とは思いますが、

盗まれないように注意して下さい。念の為紐をつけときました。』

拾い上げて首から下げてみる。誰が付けたんだ?


『いろいろ考えられているのはわかりますが、

 長くなりそうなのでご質問の回答をしていきますよ。

 ここはドゥンケルハイト王国バルツ男爵領、

 あなたは転生してエアヴァルト・フォン・バルツ。

 男爵様の次男です。周囲からはエアと呼ばれています。』

えらく、軽そうな名前だ。


『年齢は今8歳、健康な男の子です。

 この暗いのに結構見えるのは体の性能が良いからです。』

8歳か。それならあれも仕方ないのか。

でも何年かしたらちゃんとビッグマグナムになるのかな。


『恥ずかしい心配をしないで下さい。

 大体元の体のはせいぜいスタンダードでしょう。

 しかも未使用。マグナムなどと良くもまあ。』

「人の心とか、ないんか!」

『残念ながら私は人ではありません。』


「それじゃここはエア君のベットで、いつもの目覚めという訳だ。」

『いえ、違います。ここは確かにエア君のベットですが

 普通に眠ったわけではありません。』

「どういう事?」

『元のエア君は落馬して頭を打ったのです。

 こんなに綺麗な顔をして、傷もないのに〇んでるんだぜ、

 信じられるか。の状態になりました。』

「なんか危ない橋を渡っている気がするんだけど。

 その体に俺の意識を入れた訳か。」


『理解が早くて助かります。』

「その手の話を沢山知っているような気がするんでね。

 でも元のエア君は気の毒だ。

 貴族の子供の落馬って多いのかな?」


『えーと、色々説明しなければいけない事がありますが、

 エア君は静かな子で、女の子の装いのいわゆる”男の娘”です。』

ゲ、ゲ、ゲゲゲの・・・。無理、俺無理、

その種の趣味の人には悪いが俺には無理!助けて。

そういや着ているものが女物っぽい。


『誤解があるようですが、性癖で男の娘をやる訳ではありません。

 この世界の男の子、特に貴族の習慣でやっているだけです。

通常10~12歳位で男性の衣装を着て剣を帯びるようになります。』

「という事は女の子も馬に乗るんだ、騎馬民族なの?」


『馬に乗る女性も大勢いますが、この国は騎馬民族ではないです。

 エア君がスカートで馬の背に横座り乗りしていた時に

 長男のエミュールさんが馬に鞭を入れたんですよ。

 当然制御できずに落馬ですわ。』

「危っね。って本当は死んじゃってるし洒落にならないじゃん。

 兄貴頭大丈夫なのかよ。」

『14歳中二病ですからね。

 そこまで悪気はないみたいですが、意地悪な所があるので要注意です。』

「要注意人物を教えてくれた訳か。ありがとう。他に注意は?」


『私と意思疎通する際、声は要りません。

 考えるだけで大丈夫です。

 慣れないと難しいかもしれませんが

 声を出していると変に思われますし、人に見つかります。

 ほら、人が来た。』


ノックもなくドアが開き部屋が急に明るくなった。

そこには心配そうな顔をした女性が立っていた。

(凄い、美人、タイプだ、誰、誰?転生して良かった。)

俺は心の中でガッツポーズを決めた。





 



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