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11.情報アップデートキター

自分の部屋に入った瞬間声をかけられた。

「ンチャ、ダッチャ」

もう慣れた俺は言い返す。

「ダブルで危ない上22歳の俺に通じるか考えて欲しい。

 俺にオタク要素が無かったら通じませんよ。」

「折角情報持って来てやったのに、もう少し愛想よくするっちゃ。」

「軽いノリで話せるような生活してると思ってるんですか?

 何ですかこの扱い。

 下男に転生させるって言われた覚えはないんですけど。」

「その辺の情報を伝えに来たっちゃ。

 エア君の知らない話は判らなかったから、調べて来たっちゃ。

 ジャーン、情報を整理した最新のプレゼンだっちゃ。」

目の前にスクリーン状の物が広がるが、これパワ〇の画面じゃん。

俺が卒論で作った奴の方が整理できている気がする。

「なるほど、細かい説明にモロモロご都合があると。」

「何を言ってるか分からないっちゃ。」


「まず、貴族令息に転生させたのは嘘じゃないっちゃ。

 エアヴァルト・フォン・バルツは男爵家次男だっちゃ。」

「その割にえらく待遇悪いんですが。下男と間違えてませんか?」

「資料のこの部分を見るっちゃ。この世界は身分制度があるっちゃ。

 平民の娘が第三でも夫人になれたり、その子供がフォンを名乗れるのは

 凄く優遇されてるっちゃ。」

「その辺手短に詳しく教えて下さい。設定がイマイチ理解できなくて

 対応に困ってるんです。」

「分かった、一気に行くっちゃ。」


この国の貴族制度について

 公侯伯子男の爵位あり。この5階級は領地を持つ封建貴族である。

 バルツ家は一番下の男爵、なおかつ田舎の貧乏貴族である

 尚他に騎士爵という者がいるが、この階級は一代限りで

 領地を持っていない。

 

 軍役を負担する義務があり、戦いで役立たずとされると国に

 爵位を取り上げられるため魔法か武具で戦える必要がある。

 魔法が使えないと体力勝負になるので、平均的に体力の高い男子が

 当主に選ばれる事が多い。

 上位貴族や参謀と認められる場合は直接戦闘力がなくても問題ない。

 

 有力貴族や王族に見いだされれば王都で政務につける。

 出世が見込めるが基本的にコネが全ての世界である。


 跡を継げない貴族の子供たちは家を離れなければならない。

 傭兵になったり、他の貴族の家で使用人になる。

 前夫人は当主の実母は一緒に住むが、側室の場合は家を出る。

 行くあてのない側室は別宅を与えられ捨扶持で暮らす。


農業

 三圃式農業いわゆる輪作が基本。

 小麦、大麦、牧草、ライ麦が主要作物。

 農業技術として畜糞、人糞も回収して畑に戻している。

 エア君が本館2階の物を回収をさせられているのは、

 貴族のプライベート空間を守るため入れる者が限られる

2階にある分も回収したい程貴重なため。

エア君は『外のトイレでしてくれれば良いのに。』と思っていたが

2階の住人に離れた場所のトイレまで行く者は居なかった模様。

 

「大体わかりました。転生以来、父がいなのは

 義務を果たすため自分の家来を連れ野盗討伐に

 行っているからですね。」

「その通りだっちゃ、それじゃ子供には教えてくれないバルツ男爵家の

 内部事情を教えてやるっちゃ。まず夫人が三人居るっちゃ。

 変態だっちゃ。」

「この世界一夫多妻なんでしょ?感想ではなく事実を教えて下さい。」

「次のページを見るっちゃ。」


第一夫人イリス

 マンチェス伯爵家出身 

 持参金持って来た上実家から仕送りあり。

 伯爵家には世話になっているのでバルツ男爵も頭が上がらない。

 5人の子供を産んだが、上の女の子二人は嫁に出した。 

 人の命が軽い医療水準であるため、もう一人男子を欲していた。

第二夫人エマ

 ノールド男爵家出身

 第一夫人の子供が女の子ばかりな上魔法が使えなかったため

 側室をとったらしい。

 実家は貧しいが持参金を少し持ってきた。

 3人の女の子を産んだが、子供は全員メイド仕事させられている。

第三夫人マリア

 マンチェス伯爵領在住商人の娘

 回復魔法を使えると聞いた第一夫人が男爵のアレを回復させるため

 呼ばれた、最初に条件をつけ本来平民はなれない側室になった。

 その際かなりの金額を融資してもらい、持参金なしで来た為肩身が狭い。


「えーと、男爵のアレって、やっぱりあれですか?」

「ナニを言っているか分からないけどナニだっちゃ。

男の子一人では不安だったみたいだっちゃ。

でも最初に魔法をかけた時だけしか効果なかっただけみたいだっちゃ。」

「それって魔法が効いたんじゃなく、うら若き女性がアレに魔法をかけるという

状況シチュエーションが効いたんじゃ・・・。」

「生臭い事言わないっちゃ。その後マリアに男の子が生まれて自分達には

子供ができなかったから第一、第二夫人はマリアを面白く思ってないっちゃ。」


なるほど、こんな話今のエア君が誰かに聞いても教えないだろう。

というか理解させるの酷だわ。

お金の都合でなんて。

そこに愛はないんか!

一瞬和食の料理人が頭に浮かんだけど気にしない事にする。


「男爵家の家庭事情は少し理解できました。

 でも一つ疑問があります。

 この世界1:3で女性の方が多いって聞いてきたし、男爵家がそうだから

 皆一夫多妻かと思ったら村の人って一夫一婦がほとんどなんですよ。

 社会はどうなっているんですか?」

「もともと一夫一婦制の国だったっちゃ。

 妾や愛人は居ても第二、第三夫人なんて制度はなかったっちゃ。

 80年位前、エルフとの戦争に勝って、それまで高級品だったフロロを

 沢山食べるようになって男女比が変になったっちゃ。」

「原因に気が付きそうなもんですけどね。」

「フロロはそれまでも食べていたから疑わなかったみたいだっちゃ。

 少し位なら食べても大丈夫だし、有用な植物だから気が付かなくて

 エルフの呪いという事で国中の学者が研究してるっちゃ。」

「それを教えたら理解してくれるかな?

 でも、男女比が変なら一夫一婦じゃなくなりそうな物なのに。」

「生きるのが大変な国だっちゃ。配偶者や子供の人生には責任があるっちゃ、

 何人も配偶者を養えるのは稀だっちゃ。」

「という事は女性はかなりの割合で相手がいない・・・。」

「ダーリンみたいな顔するっちゃね。相手が居ない人は多いかもしれないけど

 モテない人はモテないから期待しない方が良いっちゃ。」

何で俺はモテないって決めつけるんだよ!

「相手が居ない人はどうなるんですか?老後とか困ると思うんですけど。」

「この世界は女性でも傭兵や商人になって稼ぐ人も多いっちゃ。

 若いうちにお金を貯めるっちゃ。

 老後は生まれた家の手伝いとかで暮らすっちゃ。」

「相互扶助でなんとかするっという事ですか。少し寂しいような気が

 しますが仕方ないんでしょうね。」

「でも変な酒場もあるっちゃ。店員が

『俺、君の為に王都でステージの張れるビックな吟遊詩人になるよ。』

 とか言って高い酒飲ませるっちゃ。」

うーん、それ何というホストクラブ。

「ダーリンが雇われていた店は破壊したっちゃ。」

素早いお仕事、見事でございます。

「テンプレのデーター更新が終わりそうだからそろそろ本題に移るっちゃ。」

テンプレは先ほどから光を点滅させたり消えたりを繰り返している。

「あの、これ物凄ーく旧式って事はないですか。」

「大丈夫だっちゃ。保障はとっくに切れてるけどまだ動くっちゃ。」

切れてんのかい!


「本題に移るっちゃ。ごめんなさい!この通り謝るっちゃ。」

そうして見せられたのは令和日本の俺の家族の様子だった。

いやお袋だけじゃなく妹まで泣き叫ぶとは思わなかった。

皆ひどく悲しんでいる。

早死ってするもんじゃないな。


家族の様子を見ると涙が溢れ出してくる。

こんな俺の事で悲しんでくれるんだ。

モザイクの向こうで平身低頭されているのは判るけど、

どうしてくれるんだよ。

今更どうしようもないという事だから帰ってもらった。





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