表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/39

9. 誕生日キター(女性に初告白、相手は。)

プンスカ、プンスカ。

『何怒ってるんですか?』

”当たり前だろう!女性の方が多い異世界に転生、

それも貴族の子弟、さらにチート持ちにしてやる。

そう言われて来たんだ。誰が考えてもハレームだろ?

上げ膳据え膳どころかアーンなんてしてもらえる世界を想像するだろ!

何だよこれ、毎日家のお手伝いしろ?手がボロボロになる手伝いあるか!

嘘つき、詐欺だ、人権無視だ、児童虐待だ!謝罪と賠償を要求しる!”

『相変わらず愚痴が多いですね。そのうち改善されるますよ。

 少しは前向きに生きられませんか?』

”もう一月たっただろ、色々やったけど

何も改善されなかったじゃないか。(泣”

この一カ月の間、俺はいろいろやってみた。

井戸の釣瓶にカウンターウエイトを付けてとお願いし続け、

10日目位にやっと相手にしてもらえた。


桶が水面に叩きつけられる事もなくなり、水汲みも楽になった。

それで?感心はしてもらえたけど、大人たちの反応は思ったより薄かった。

桶の反対側に石を縛り付ける?なるほどよく考えたね、やってみよう。

おお上手くいくぞ、子供の思いつきもバカにできないね、あはは。


原理が簡単過ぎたせいか?誰もスゲーしてくれなかった。

『子供の自由研究なのに良くできましたの乗りでしたよね。

 マリアさんは喜んでましたが。』

”数学の説明したんだけどが小さな石板で

 説明できなくて変な顔されたんだよな。

 それと食料事情も改善しなかった。

 良い釣り道具で釣果を上げるとかしたんだけど”

『魚もスレてきたんですかね?すぐ釣れなくなりましたね。

 世の中そんなに甘くなかったですね。』


あんまり寒いと魚釣りはダメらしい。

最近は村の子供達も森へ行っていない。

森と牧草地の境の安全な場所にある薪を取りつくしたせいだ。

おまけに森の奥の食べ物がなくなった野獣や魔物が人里の方まで

出て来ているらしい。

子供が森に近づくのは春までお預けだ。

『春までタンパク質不足ですね。

 アンタは夜中に盗み食いしてますが。』

”うるせえ、あれが無かったらとっくに挫折してるわ!”

俺の頬を温かい水のような物が流れる。

『いい大人が何泣いてるんですか?みっともない。』

”今の体は子供だ。泣くのが普通だ。

今日9歳の誕生日なのにあまりに理不尽だと思わないか”

『何が理不尽なんですか?』

”何日か前、エミュール兄が15歳になったてお祝いしてただろ?

塩漬け肉やらソーセージやら鶏やら卵やら、どこから出て来るんだよ。”

『15歳は特別らしいですよ。あの人も春から王都に行くらしいですし。』

”全く腹立つよな、俺の誕生日何かご馳走出るのかな?ああ肉が欲しい”

『だから夜中に食べれば良いじゃないですか。

この世界で食べるのより美味しいでしょうに。』

”俺の為じゃない。マリアさんの為だ。”

エミュール兄の誕生会、俺たちも末席で呼ばれ料理が出た。

肉や砂糖を使ったケーキはこの世界では超ご馳走だ。

ママときたらそれらをこっそり俺の皿にいれようとする。

絶対無理してるじゃない、ママ食べて、てお願いしたけど

結局半分以上押し付けられた。

『意外に優しいんですね。見直しました。』

”お前は俺をどういう風に見てるんだ?”

異世界転生というといきなり恋人獲得イベントがあって、

説明を省いて主人公にメロメロのヒロインが

出て来るもんだが、今の所俺に無償の愛を注いでくれるのは

マリアさんしかいない。

『亜空間倉庫の物を取り出してあげますか?』

”そうしたいんだが、他人に知られると、

どこから出したんだという話になる。

マリアさんへの口止めは完璧にしないといけないし、

本館で大勢の人の前には出せない。”


「エアヴァルトさん、手が止まっているわよ。しっかり掃除なさい。」

この声は第一夫人お付きの使用人エノラさんだ。

50歳位だがメイドさん風の恰好をしている。

この人も下級貴族の順位下の方の子弟らしい。

俺の進路はどこかの家の執事を目指すしかないと決め込んでいる。

何か教え方が中学の時の嫌な教師を思い出す当たりのキツイ人だ。

「申し訳ありません。」

俺は華麗にスルーして掃除を続ける事にした。


この人に言い訳すると凄く怒る。

所作や言葉使いにもうるさい、腹立つことに直接ではなく

ママに文句を言う。

どこかに『平民の家はそうかもしれませんが』が入る。

第一夫人使用人と第三夫人はどちらが身分が上なんだろうか。

全く下らない。


掃除に使ったぼろ布を井戸端に洗いに行くと

リナとレオニーが蕪の土を落としていた。

二人は俺の井戸改造後、以前の幼い子供に対する接し方から

同年配位の接し方に変えてくれた。

「エア、水が冷たい、寒い、何とかして。」

いきなりこれか。

「考えてみるけど、今は出て来ない。」

「早く考えてくれないとこうだ。」

レオニーが俺のほっぺや首筋に手をくっつけて来る。

「冷たい!、ごめんなさい、一生けん命考えるから許して!」

笑いながらすぐ手を放してくれた。

村の子と話す機会が減ったので俺の子供らしい会話はこの二人相手位。

ウーム、寂しい生活だ。我ながらよく耐えている。何か娯楽を寄こせ。

夜はママと一緒に本館で食事だ。ああ肩身が狭い。


良い知らせも聞いた今日はセバスがウサギ肉を持ってきてくれたそうだ。

少しは美味しい物が食べられるのだろうか。


本館で食事が始まって絶句した。

ウサギ肉は蕪と人参と一緒に塩味で煮てある。

料理長を呼んでもらいたい。

料理にバリエーション出そうという気がないのか?

ウサギ肉は美味しかったけど、この為にかのやまに行きたならないよ。

歌詞の解釈を間違えていると指摘されるだろうけど気にしない。


デザートは焼きフロロ、健康に優しい砂糖無添加。食レポは断固拒否します。

疲れて別館に帰ってくると今日もママがよしよしと頭を撫でてくれた。

何とか一日頑張れる要因の一つだよな。癒される。

そのママも仕事多いんだよな。別館の掃除とか針仕事とか一日している。

お手入れ不足で20代ママの美貌がもったいない。


そのママを見ていたら突然、プレゼントを渡された。

ガーベラの刺繍がされたハンカチ、話によるとリナとレオニーも少し縫ってくれたらしい。

それとセバスからだって、革紐をもらった。

首から釣り糸で下げていると肌に傷が行きそうだって。

小物だけど、前世の誕生日の方がずっと良い物を貰っていたけど、

それに比べても嬉しかった。

だってこの世界本当に物がないんだよ。布一枚だって物凄く貴重なんだよ。

でも俺の事考えてくれたんだよ。皆を幸せにしたいと思うのは普通だろ。

『アンタではなくエア君の事ですけどね。』

”うるさい、ずっと考えていたんだ。マリアさんに打ち明けて、

 それでトラブルになっても諦める。”

『警告します。エア君が死んだという事をいきなり知らせるのは

 避けた方が賢明だと思います。』

”でもそれじゃ俺の良心が耐えられないよ。”

『マリアさんはどんな形でも良いからエア君を生き返らせて下さいと

 強く願ったんです。

 元気にしているその体を見てどれ程喜んだと思います?

 実は死んでいたなんて言ったら精神崩壊してしまいますよ。

 もう少しだけでも、優しく騙してあげて下さい。』

”エア君になりきれって事、うーんマリアさんの前でだけ頑張る・・・。

 できるかな”

『何とかやって下さい。

 アンタの事だけじゃなくマリアさんの事もご主人様に頼まれてるんです。』

”あの人、人の願い聞くんだな。わかった作戦練り直してみる。”


「ごめんなさい、僕ずっと隠していて謝らないといけない事があるんだ。」

「また何か悪戯したの?ははん、この間部屋を変な粉で汚した事でしょ?

 ちゃんと謝ったら許してあげる。もうしませんしなさい。」

「それじゃ無いんだ。僕別の世界に行けるんだ。

 物を持って行ったり持ってきたり出来るんだ。」

「この間から魔法に興味持ってたものね。

 あのね、魔法を使える人でも10歳より前には

 使えないのよ。無理に使おうとすると体を壊すからやっちゃだめよ。」

「でも使えるんだ、今から隣の部屋から別の世界に行ってくるから

 少し待ってて。」

「あらあら、何が出て来るのかしら?楽しみにしてるわ。」

隣の部屋に入り、扉を閉めてからやりました。

「萌え萌えキュン。」


何だよこの古典的辱め。

いくら事実を話すとしても人前でできるもんか。

さて、もう通い慣れた亜空間倉庫でお菓子各種とレトルト食品各種を

迷彩柄のバックパックに入れる。

MREレーションは沢山あるけど今はいらないよな。

ケーキの缶詰とかビスケットの缶詰は味が微妙だけど一応持っていくか。

日本製の缶詰もある。

数がないけど、パンの缶詰持って行こう。

ランタン要るよな。バッグがパンパンになったところで

「萌え萌えキュン。」

降りてきましたよ、古びた床の上。

マリアさん、多分隣の部屋に俺が森で採った木の実か何かがあって

プレゼントのお返しにそれを持って来ると思ってるだろうな。


まあ普通そうだ9歳の誕生日に子供がやる事なんて。

扉を開けて出て行った瞬間はにこやかだったマリアさんの顔色が

バックパックを見た瞬間変わった。


「こんな袋、どこで手に入れたの?中身は何?」大混乱のようだ。

でも魔法のある世界で助かった。不可思議な物が現れても魔法、

その関連で認識してくれる。

とりあえず魔法が使えるようになった事で押し通す。

見られていると使えない事(これは嘘)を納得してもらい

周囲に対しどう接するかを相談した。

「こんな魔法聞いた事ない。どこで覚えたの?」

「頭を打った時に浮かんで来たんだ、

 向こうの世界には物が沢山あるけど限りはあるみたい。」

「その物の使い方は判るの?」

「大体はわかるよ。でも今は使いこなせない物も多いし、

 人に知られて騒ぎになったら大変だと思って黙ってたんだ。」

「確かにエアの言う通りね。異世界とか魔道具なんてお話でしか聞いたことがない。

 どんな騒ぎになるか想像もつかない。」

「ねえ、どうしたら良いと思う。」

「少し考えてみましょう。幸いここにはあまり人が来ないから

少し位の物は隠せるわ。外で見せる時は注意してね」


それから親子?でおやつを食べた、マリアさん目を丸くして食べてた。

チョコソースの缶詰なんて激甘の形状不明な物体に

いろんな物をディプして食べまくり。

甘い物+甘い物、幸せそうにしているので多くは言いませんが、

虫歯になります太ります。

それに頷くマリアさんは少女のようだった。











































評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ