守ってあげたい人※ルイ視点
お嬢様は、俺が八つ裂きにしましょうか?と聞いた時首を振った。
けれど、お嬢様の話を聞いた俺は許せなかった。
だから、お嬢様が望んだ復讐がどんな形だったとしても、俺もお嬢様を酷い目に合わせたやつらに仕返しをするつもりだった。
覚えていない、まだ未来の話だったとしても知ったものか。
そもそもあの屋敷でのお嬢様の生活だってまともな物じゃなかった。
であれば少なくともその復讐をするくらい。
その位しか俺にしてあげられることが無いのが悔しい。
もっと、もっと幸せになって欲しい人なのだ。
誰にも愛されていないと魔女になってしまうと聞いたけれど魔女になった後もそうでなければならない訳じゃないらしい。
なら誰かがお嬢様を愛して欲しい。
だってそうでなければ悲しすぎるではないか。
お嬢様は愛されることにふさわしい人だ。
優しくて、美しくて、それでいて慈悲深い。
自分を魔女にした人達に望むことが死ではないなんて。
だって、あの人たちは、お嬢様が魔女になったことに気が付かなかった。
魔女だったと気が付いて欲しかったわけじゃない。
少女という年のお嬢様の中には前世ともいえる巻き戻り前を生きたお嬢様が入っている。
普通なら、何か様子が違うと気にするものだ。
そんな人、誰もいなかった。
使用人たちも、家族であろう人達も、王宮の人たちも婚約者である王子でさえ誰も気にも留めなかった。
元々のお嬢様がどういう人だかは俺には分からない。だけどきっと違う人間だ。
いきなり魔女かなんて思うはずがないけれど、違和感を感じるだろう。
俺だって暮らしていて背が一気に伸びた時周りの仲間は気が付いていた。
それが普通ってものだ。
その普通がお嬢様の周りには無いのだ。
それだけだって、やり返していいと思う。
だって周りはお嬢様のことをいいように利用しているのだから。
そんな、悪意と無関心しかない世界からお嬢様を遠ざけたかった。
お守りしたかった。
そういう気持ちを何というのか俺には分からないけれど。
とにかく、彼女を幸せにしたくてどうしようもなかった。
だから、あの国の外に来たのはとても良かった。
遺跡というのは森に囲まれたとてもいい場所だった。
魔女の仲間が沢山来てくれて小さな村の様なものを作るのを手伝ってくれた。
お嬢様も魔法で色々とやっていた。
それから、まず俺の仲間たちをこの村に呼んだ。
その次に身寄りがなく、このままだと人たちに売られてしまうかもしれない子供たちを呼んだ。
穏やかに暮らせることを祈っている。