7話
「今日の晩御飯は、何にしようかーと。土日で来週分の食料買いたいから、今日は軽めに買うか。」
そんなことを頭の中で考えながら、買い物カゴを片手に、店内をうろつく翼だったが、そこに思わぬ人がいた。
「あれって、佐々木さんだよな?」
本日三度目となる、新入生代表こと佐々木桜と偶然スーパーで出会った。
佐々木も翼に気がついて、さっきまで選んでいた人参を慌てて置き、驚いた表情で翼向かって声を掛ける。
「あなた、なんでスーパーにいるのよ!」
佐々木の声は怒りと戸惑いの混ざったような声をしていた。
「なんでって佐々木さん、買い物くらいするでしょ。それに僕、一人暮らしだし。」
「なんで、私の名前知っているのよ!」
「いや、今日、入学式で代表挨拶してたでしょ?それに朝、校門でも話かけてきたから、覚えちゃったよ?」
そう返すと佐々木は、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「あなた、今日ここで私と会ったことは誰にも言わないでね!!」
そう言うと佐々木は人参を適当に取り、レジへと向かっていった。
翼はというと、少し戸惑いながら、晩御飯のことなどどうでも良くなっていた。惣菜コーナーで適当に弁当とお菓子を選び、家へと帰ることにした。