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69話
「実家の弓道教室に京子達の他に、柳生叶っていう人がいてね。その叶は当時の私の許嫁だったのよ。」
「許嫁?」
この時代に許嫁というワードが飛んでくるとは思ってもいなかった翼は、一言声が出た。
「そうよ。今の時代に許嫁なんて時代錯誤もいいところよ。」
桜の声のトーンから見るに柳生叶との関係はうまくはいっていなかった様に感じ取れる。
「叶は私の一つ上だったのだけれど、結構イヤな奴でね。周りにはいい顔をするけれども、私にはキツく当たる様なタイプだったのよ。」
話の進みは決して早くはないが、桜の声色も同じ様に少しずつ暗くなっていくのを翼は感じた。




