24話
二人は学校に着き、それぞれの教室へ入って行く。翼が教室に入ると、福井京子がいるかどうかを確認したが、彼女はまだ来ていなかった。
自分の席に座り、暇を潰していると、クラスメイトの男子が話かけてきた。
「東山おはよう。ところで一つ聞きたいことがあるんだけど。」
「なに?朝山くん。」
桜と一緒に歩いているところを見られて、その関係についてだろうと思った翼は、朝山になんて説明するかで悩んでいた。
「朝、佐々木さんと一緒に登校してたけど、もしかして付き合ってるの?」
やっぱりか。と思った翼だったが、ここはとりあえず誤魔化すことにした。
「入学式の時に少し喋る機会があってさ。それで知り合いになったんだよ。それに家も近いらしくて、朝たまたま会ったから一緒に登校した感じだよ。」
「なるほどねー。」
ニヤニヤしながら言う朝山に若干の面倒臭さを感じながら、誤魔化す翼。
「まぁ、頑張れよ。佐々木さん可愛いから早くしないと誰かに取られちゃうぞー。」
「取られるって。佐々木さんは誰かの物じゃないよ。」
「そうだけど、そうじゃないだろ。」
笑いながら答えた朝山は続けて、話す。
「せっかくだし、LIKE交換しようぜ。」
「いいよ。朝山くんが初めての交換だ。」
上京して初めてのLIKEの交換で嬉しそうな翼だった。
「俺のこと朝山くんって呼ぶんじゃなくて、奨でいいぜ。男に名字にくんで呼ばれるのなれてなくてさ。」
「うん。わかったよ。奨。」
「おう。これからよろしくな、翼。」
そう言い、朝山奨は自分の席に戻っていった。
初めての友達ができて喜んでいた翼だったが、後ろから殺気のような妙な気配を感じ振り返る。
「お、おはよう。福井さん。」
「おはよう。東山くん。どうして、朝山くんに桜と付き合ってること誤魔化したの?」
スマホを弄りながら、低いトーンで翼に問いかけた福井京子に『ゴクッ』と息を飲んだ翼は福井の問いかけに答える。
「桜とは、ちゃんと付き合っているわけじゃないから。『仮』の関係だから。」
「ふーん。そっ。」
また一段とトーンが下がった福井の言葉に、身の危険を感じた翼だった。




