21話
「買ってきたものは私の方で分けるから、晩御飯食べたらあなたの家の冷蔵庫に入れておいて。」
「分かった。」
「それじゃあ、二時間後くらいにまた。」
そう言い残し、桜は自宅へ入っていった。翼も家へ入り、一段落つけることにした。
家のチャイムが鳴る。翼は、チャイムで目が覚めた。どうやら寝ていたようだ。
「寝てたの?」
「気がついたら寝てた。今何時?」
「六時半よ。全く。ほら食べるわよ。」
あくびをしながら桜に続いて家を出て、桜の家へ入る。
「おじゃまします。」
腑抜けた声で家へ入り、ご飯が用意されているテーブルにあぐらをかいて座る。
そこに用意されていたのは、4月には少し時期外れだが、鍋だった。
「何鍋?」
「ごま豆乳よ。ちょうど鍋の素があまってたのよ。」
「そっか。いただきます。今日も美味しい。」
「こんなの誰が作っても同じじゃない。」
「いや、桜が作ってくれたから美味しんだよ。」
まだ寝ぼけたまま、恥ずかしいセリフを言う翼に対し、桜は少し照れくさそうだった。
「そんな事はいいから早く食べましょ。」
鍋のせいか翼のせいか分からないが、桜の顔は出会って3日の中で一番赤くなっているように見えた。




