19話
「何買うの?」
前を歩く桜に翼が問いかける。
「あなたも一緒に考えるのよ。二人のご飯なんだから。」
「本当に僕の分も作ってくれるんだ。」
「何言ってるのよ。私の家の冷蔵庫に全部入るわけないじゃない。半分はあなたが作るのよ。」
「そうですか。」
てっきり全部作ってくれるものだと思っていた翼は、少し残念だった。
野菜コーナーで野菜を買い、肉コーナーへ向かう。
ベーコン、ウインナーなどをカゴに入れていき、先に進む桜に、また翼は質問をする。
「ちなみに食材は桜が全部選んでいるけど、レシピは僕が考えるの?」
「それくらいできるでしょ?あなたが作るのは週の後半でいいわ。前半は私が作るから。」
「はーい。」
そんな会話をしながら、冷凍食品コーナーへ着いた。
「ん。」
桜から手渡された冷凍食品は、某人気幼児向けアニメのキャラクターが書かれたナゲットだった。
「桜、ナゲット好きなの?それとも、アニメの方?」
「それ以上は答えないわ。」
これはアニメの方だな。と、心の中で確信した。普段の印象とは違い、可愛いじゃないかと感じた翼だった。
「何、笑ってるのよ。」
どうやら顔に出ていたようで、翼はすぐに謝る。
会計を二人で折半し、家へ帰る。
「あなた、エコバック持っていたのね。」
「まぁ、毎回お金取られるくらいなら一個くらい持ってるでしょ。」
そんな他愛のない話をしながら二人並んで歩いている姿は、まるで本当に付き合っているかの様だった。




