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桜の空の下で  作者: やまはぬん


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121/147

121話

 スマホからアラームが鳴る。どうやら朝になったらしい。翼はモゾモゾと動きながらアラームを止める。


 夢を見ていたそれも小さい時の夢を。、まだ夢の内容が鮮明に覚えているのが、翼の胸に刺さる。


 誰にでも思い出したくないことはあるが、今翼が一番思い出したくないことだった。美沙との思い出がトラウマという訳では無いのだが、美沙との思い出が翼に重く深く刺さっていることは分かる。


 翼自身、桜空高校に進学した経緯でさえも、過去に囚われているのだろう。もう約束は果たせないというのに。


 朝からセンチメンタルな気分になりながらも、登校の支度を始めた。顔を洗い歯を磨く。昨日の今日で桜にこんな顔を見せられないと思った翼は2、3回顔を叩き、切り替える。そして普段と同じように日常へと切り替える。


 「おはよう。今日顔がいつもと違うけど何かあった?」


 玄関を開けると既に桜がおり、今一番聞かれたくない質問をされた。桜の問にどうやって答えるか一瞬考え、多分一番ダメな回答をしてしまう。


 「なんもないよ。」


 その返答に桜は少しだけ眉が動いた。それを見た翼は心が痛んだ。


 何気ない日常が崩れすのは、翼が一番知っているはずなのに、自分の感情と他人の優しさに素直になれないそんな自分に苛つきを覚える。

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