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114話
「ただいま。」
翼はいつも通り、桜とご飯を食べるため桜の家に行った。
「おかえり。元気ないけどどうしたの?」
桜が翼に聞くと、翼は今日の出来事をありのまま話した。
「そう。」
一通り話を聞き終えた桜は小さく一言呟いた。桜の表情からは自分も責任を感じているようにとれた。
「それであなたはどうしたいの?」
「どうしたいのって、それはもちろん福井さんの力になってあげたいと思ってる。」
翼の返答に桜はため息をついた。
「京子も言ってたと思うけれど、他の部員の人も色々なことを考えながら弓を引いているのよ。それは京子も例外ではないわ。それでスタメンから外れたってなるとあなたに出来ることはなに?」
「なにって・・・。」
桜は続けざまに言う。
「弓道ってずっと己との戦いなのよ。今回のことは誰も悪くはないわ。」
桜の言葉に理解はしたが納得はできていない翼だった。まだ弓道を初めて数週間しか経っていない翼からすれば、仕方のないことだろうがどうにも腑に落ちない。
そんなモヤモヤを抱えたまま翼は自宅へと戻って行った。




