Ep:5
さてさて、月日は流れてやってきました休日が。
今日は女性陣と買い物をした後部隊の全員で食事会です。
時刻はお昼過ぎで通りは多くの人で賑わっている。通りに並ぶ店舗からはモクモクと蒸気が上がり、壁や頭上には蒸気管が幾本も見える。これは機械が全て蒸気機関で駆動しているので必然的に使用した蒸気を逃がす必要がある。その対策として一:上空に逃がす、二:蒸気管を通して再利用するという方法が取られているんだけど蒸気管については詳しい事は分からない。頭の良い科学者やら技術者やらが心血を注いで開発したものでどこの国でも採用されている。なのでこれらについては各国共通で見られる物であり、最早当たり前の光景だし、何も違和感を感じない。
今回俺達が訪れた繁華街はこの国に幾つかある内の一つだが、この場所ではマスクは不要となっている。他の場所――蒸気が酷い繫華街等ではマスク着用が義務付けられているので、この場所は人気が高い。マスクって蒸れるし数回使用したら洗浄剤を交換したり清掃したりしないといけないから面倒なんだよね。
ガスマスクみたいに顔全体を覆うものでは無く鼻と口を覆うくらいのサイズだけど、既製品でもそれなりの値段がするし、さっき言った洗浄剤や各パーツなんかもまあまあなお値段だから所謂金食い虫ではある……けど必須アイテムだしそこをケチれば蒸気によって身体になにかしらの悪影響が出るから買わざるを得ない。
蒸気も少しなら問題無いし、街に清浄装置があればそれこそ無問題だけどこの清浄装置が目ん玉が飛び出る程高い上場所を取るし設置には国の認可が必要なので現状では主要施設と今訪れている国内最大の繁華街位しかない。とまあ色々とあるわけだが今は関係ない事だな。
さて、と。益体も無い事を考えつつ待ち合わせ場所に辿り着くと全員が待っていた。
「悪い。待った?」
「いえ、私達も今来た所です」
「そっか。今日はユキも一緒だけどよろしくね」
「本日はよろしくお願い致します」
「こちらこそ、よろしくお願い致します」
アヤメがそう言った後、カスミ・スズネ・シオリの三人が頭を下げる。
同じ部隊員では無いユキになぜ畏まった態度を取るのか疑問に思うかもしれないが、ちょっと事情があってね。立場はユキの方が上なんだ。
とまあ、それはさておき全員集合したし行きますか。
「え~と、まずはどこに最初に行くの?」
「新しくできたファンシーショップに行きたいです」
「あぁ、スズネが前に言っていた所か。うん、じゃあ最初はそこに行こう。場所は近いの?」
「ここからだと歩いて二十分くらいです」
「なら問題無いね。スズネ、道案内よろしく」
「任せて下さい」
スズネを先頭にゾロゾロと歩き出す面々。
改めて思うけど、女子率高すぎだろ。俺以外全員女子って……。
まあ別に気まずくなることも無いし、話す事が無くて重い空気になる事も無いから問題は無いけど。ただ、こう道行く人にジロジロ見られるのはいつになっても慣れないな。ユキが着物を着ているのもそうだし、シオリがゴシックロリータな格好をしているのもそうだけど一番の要因は余りにも顔面偏差値が高すぎるからだ。男女問わず見惚れる容貌は神が手ずから丹精込めて造形したと言っても過言では無いほど。なので彼女達は人に見られるのに慣れているけど、俺はそうではないからなぁ~。なんともこそばゆい感じがする。
あぁ、そうだ。もう一つユキを除く全員が細長い袋に入った物体を片手に持っているのも目を引く原因の一つかな。中身はそれぞれ所持している刀で表立って見せるわけにはいかないので袋に入れている次第。基本的には任務に就くとき以外は武器の所持は禁止されていて、プライベートで持ち歩くのは現金となっている。もし勝手に持ち出したり、所持していれば厳罰に処されるし最悪除隊も有り得る。
ではなぜ俺達は持ち歩けるのか?
何事にも例外と言うのがあって各隊の隊長・副隊長は常時武器の所持は認められている。勿論プライベートでもね。そしてCODE零の隊員及び隊長・副隊長も同様となっている。
だからと言って無闇矢鱈に実力行使に出ていいわけでは無いけど。
とまあ色々な要因が重なって目立っているという訳だ。
「ユノさんとこうしてお出かけするのは結構久し振りですね~」
「そうか?前から数週間しか経ってないと思うけど」
「数週間も、ですよ」
「ここ最近は色々とバタバタしていたから時間が取れなかったからな。すまんな」
「いえいえ~。謝る事じゃありません。ただ休日にユノさんと会えなくて寂しくて、悲しくて辛かっただけですから。でも今日こうしてお出かけで来たのでオールOKです」
ニッコリと笑うシオリだが言っている事は重い。俺が居なくても友達と遊ぶとか、鍛錬するとか色々あると思うんだが、彼女達はなぜか俺と一緒にいたがるんだよな。
「僕もシオリと同じだよ。ユノさんが居ない休日って過ごせばいいか分からないもん」
「私も同じですわ。どこかにお出かけしても空しいだけですし、一人で鍛錬も気が乗らないのでやりませんし」
スズネとカスミが口々にシオリの言葉に賛同する。いやいやちょっと待て。
「せっかくの休みなんだからやりたい事をやればいいんじゃないか?買い物でも、友達と遊ぶでもあるだろう?別に俺がいなくても問題無いしさ」
「「「問題大ありです!」」」
「うっ……」
凄い剣幕で言われてしまった。マジで圧がヤバい。俺の語彙力が無くなるくらいには……ね。
「そもそも私達に友達なんていませんし、ユノさんがいないのにどこかに行ったり、何かをしたりしても意味がありません。そんな事をするくらいなら家で鬱々としていた方が百倍マシです」
「シオリだって仲いい人の一人や二人くらいはいるだろう?」
「う~ん…………シズクさんくらいですね」
「僕も同じ」
「私も同じですわ」
「あっ……うん。なんかごめんね」
聞いちゃいけない事を聞いてしまったな。熟考した上で出た答えがシズクか。別に駄目という訳じゃないけど――こうね。
あー、なんか暗い雰囲気になりそうだし、ここは一つ話題を変えよう。
「そうだ。買い物のついでに日用品も買いたいんだけどいいかな?」
「構いませんよ。もうどのお店に行くかは決められているのですか?」
「んにゃ。そこら辺はユキに任せているから。ユキ。お店は決めているの?」
「はい。普段買いに行っているお店に行こうかと思います。場所も繁華街の裏路地にあるので、そこまで移動に時間もかかりません」
「了解。そういうわけで一つよろしく」
なんて会話をしつつ歩く事暫し。
件のファンシーショップに着きました。
ガラス張りの店舗なので中の様子が外から伺えるが、女の子ばっかり。流石にこれは入るのに勇気がいるし、俺は外で待とうかな。
「じゃあ、行きましょ~。あっ、ユノさんも一緒ですよ」
「ぐっ。でもさ、女の子ばっかりだし男の俺が入ると迷惑じゃない?」
「そんなことありませんよ。というかユノさんなら何の問題もありません。寧ろ美人さんが来たって店内が騒然となりますよ」
「いやいや、それはないだろ。……しかし、まあそう言うならお邪魔しようかな」
「はい!もし文句を言う輩がいたら排除しますから安心して下さい」
スズネさんや。その排除と言うのは物理的にこの世から消し去るとかじゃないよね?信じてはいるけど俺絡みになるととんでもない行動をするから安心は出来ない。まあ、今回はアヤメにユキもいるし大丈夫だろ。たぶん、きっと、おそらく。
一抹の不安を覚えつつ店に入ると、まぁ~可愛らしいグッズが所狭しと置かれている。
「へぇ~、陳列も見やすいしお洒落な感じだね」
「ですね。僕も初めて来たけど良い感じだと思います」
「ざっと見た感じ置いている商品も流行を押さえていて、鳴り物入りで新規開店しただけはあると納得出来ます」
「スズネもシオリもこう言った物には一家言あるのに、随分と高評価だね」
「はい。僕的には人気店になると思います」
「スズネに同感です」
「へ~。アヤメとかカスミはどう?」
「私はこういった物には疎いので良く分かりません」
「私も少女趣味はありませんので、良し悪しは判断付きかねます」
「ちょっと、カスミ。少女趣味ってなに?馬鹿にしてるの?」
「あら、本心を述べたまでですが?」
「まあ、まあ落ち着いて。俺はこういった可愛い物が好きなのは女の子らしくていいと思うし、カスミみたいなアンティーク好きも良いと思うよ。趣味に他人がとやかく言うのは止めた方がいい」
「確かにそうですね」
「はい」
ふぅ。入店早々あわや喧嘩勃発となるところだったよ。
さて、取り合えずただボケっとしているのもあれだし、適当に商品を見て回るか。
店内にはぬいぐるみやマスクのデコレーション用部品、可愛らしい人形、服に着けるバッジ等々様々な商品がある。が、その中でふと目についてしまった――否、いやでも目に入る一品がある。
筋肉モリモリマッチョなのに顔はファンシーという意味不明かつ狂気を感じるぬいぐるみだ。正直誰が何の意図を持って製作したのか小一時間程問いただしたくなる。お値段はまあ、高くも無く安くも無い。だが、圧倒的に気持ち悪い。こんな悪魔が作ったかのような品が量産されて店舗で売られているなんて世紀末なのかな?今の若者は狂っているのかな?と思わずにはいられない。
ついつい、真剣に考察をしていると不意に横から声がかけられた。
「どうしたんですか?」
「んっ?あぁ、スズネか。この狂気のぬいぐるみについて考えていた所だ」
「あっ!それ今人気急上昇中のモリモリ君ですよ」
「モ、モリモリ君?」
「はい。キモかわ系のゆるキャラとして最近登場して瞬く間に人気になったんです」
「あっ、そうなんだ……。もしかしてスズネもこれが好きだったりするの?」
「私はイマイチですね」
「じゃあシオリはどうなんだろう?」
「呼びましたか?」
「おっ、シオリ。良い所に来た。このぬいぐるみどう思う?」
「モリモリ君ですか。私はそこまで興味はありませんね」
「ほっ。二人がまともな感性の持ち主で俺は幸せだよ」
「このキャラは好き嫌いがハッキリしますから。好きな人はドハマりしてお金をジャブジャブつぎ込んで大変な事になっているんですよ」
「…………もしかしてこのぬいぐるみ呪いでも掛けられているんじゃない?」
「あははは。確かにそう思ってもおかしくないですよね」
シオリが朗らかに笑いながら言うが、強ち間違っていないのでは?と思う俺である。
しかしてこのまま見続ければ狂気に飲まれそうな気がするので、早々に他の場所に移ろう。
一旦リセットする意味でもね。
という事で他の商品を見ているが、これといって欲しい物は無い。コップとか皿とかもあるけどファンシーなキャラクターが描かれていたり、ハートがあったりと男が使うにはハードルが高すぎる。
でも折角来たのに何も買わずに帰るというのも冷やかしが過ぎると思うから、女性陣にプレゼントと言う形で適当に見繕おうかなと今見定め中です。
ユキはこういった物はあまり好きでは無いから除外するとして、アヤメ・カスミ・スズネ・シオリの四人分となる。全員違うのでも良いけど、こっちの方が良いとかなったら問題なので全員同じものにする予定です。んで、ここで問題なんだけど俺に女性受けする商品を選ぶのは正直無理がある。いやさ、長い付き合いだけどだからこその難しさもあるわけで。
キャラクターグッズは好みがあるから駄目、チャームやアクセサリーも同様。となると日常使い出来て無難な物が好ましいよね。
散々悩んだ末選んだのは箸です。俺達が住む和国では食事の際は箸を使うので普段使い出来るし、デザインもそこまでファンシーなものは無いから堅い一品だ。
ふふふっ、これを選ぶまで結構時間が掛かったが無事決まってホッとしたよ。という事でお会計に行ってきます。
ササッと済ませた後みんなの所に戻ると、いつの間にか買い物を終えていたらしく買い物袋を手にして待っていた。てかいつお会計に行ったんだ?俺がレジに行った時には商品を見ていたはずなのに……。うん、これはツッコんじゃいけない所だな。そういった摩訶不思議な出来事もあるという事で納得しよう。
さて、お次はどこに行くのかな?
「スズネの希望だったお店にも来たし次はどこに行く?」
「ユキさんのお買い物はどうでしょうか?」
「うん。俺は構わないけど他の人は大丈夫?」
「「「問題ありません」」」
「じゃあ、ユキ。お店までの道案内よろしく頼むよ」
「畏まりました」
雑貨店で必要な物を買ったり、喫茶店でお茶をしながらお喋りに興じていたらあっという間に空は僅かに茜色を残す時間となってしまった。今日のメインである食事会は十八時からなので今からお店に向かえば丁度良い感じだろう。待ち合わせ場所はお店の前なのでもしかしたら先にゴロウとジンが来ているかもしれないがその時は謝ろう。というわけでさっさと移動しちゃいましょうか。
「あれ?まだ来てないのか」
「そうみたいですね。時間は――十分前なのでそろそろ来る頃合いだと思いますが」
「ユノさんをお待たせするなんてあの男どもはなっていませんわね」
「まあまあ、落ち着いて。まだ時間までは余裕があるし、アヤメの言う通りそろそろ来るだろうから少し待とうじゃないか」
「ユノさんがそう言うなら待ちますが、どちらにせよお小言の一つや二つは言ってやりますわ」
カスミが気炎を吐いているが、これに関しては俺からは言う事は無い。あの二人なら適当に流すだろうし喧嘩勃発とはならないだろう。さてと、適当に待っていますかね。
果たして彼等は然程待たずに来た。と言っても時間ピッタリなので五分前行動が出来ていないのはちょっと駄目かな。プライベートだから問題無いけど仕事なら顰蹙を買うし、そもそも社会人としてなっていないと思われるから普段からキッチリして欲しい所。
っと少々愚痴っぽくなってしまったな。ここら辺で思考を切り上げるか。
「よし。全員集まったし行こうか」
皆でゾロゾロとお店に入るとすぐに店員が出てきて対応してくれる。
「いっしゃいませ。ってユノさん!お久し振りです」
「んっ。元気だった?」
「はい。息災でした。ユノさんはお元気でしたか?」
「俺も何事も無く毎日を過ごせているよ」
「それはなによりです。っと長々とすみません。お席にご案内致しますね」
「よろしく」
そうして通されたのは個室で、周りは壁に囲まれて出入り口はドア一つのみ。完全に外部と遮断された造りとなっていて、俺達みたいに訳ありの人間や公に出来ない話をするのに持ってこいとなっている。
正直俺達の食事風景を他人にあまり見られたくないので、こういった部屋は非常に有難い。
「それではご注文はどう致しますか?」
「そうだねぇ。いつも通りオススメ料理とあとは……肉料理をお願い」
「畏まりました。量はどうしますか?」
「各料理を十五人前ずつで。食べ終わる頃に追加注文をするね」
「は~い。ジンさんはお酒はどうされます?」
「日本酒の美味い所を冷で」
「畏まりました。それでは少々お待ち下さい」
一通りの注文を終えた後は料理が運ばれてくるまで待つのみ。
お店には八人で来たんだけど、十五人前を注文して食べきれるのか?しかも各料理で、と思うかもしれないが余裕です。正直前菜程度の量しかないので無問題。あっ、ユキは食事は摂らないので実質七人で食べる事になるけど同じ事。俺も含めて全員食事は月に二回ほどしか摂らない。その二回も朝昼晩と食べるんじゃなくて一食のみだ。なので月に二食しか食べない事になる。普通の人間だったら身体に異常をきたして最悪餓死するだろう。だが俺達は普通の人間とは違う。別に格好つけて言っているんじゃなくて言葉通り違うんだ。人間と同じ見た目をしている別の存在――妖魔とも違うそんななにかだ。だからこそ、月に二食でなんら問題無いし、尋常じゃない量の食事を摂る事も可能でありそれらを全てエネルギー源として活用する事も出来る。
以上の事から俺達の食事風景を一般人が見れば一種異様に映るので、どうしたって人目を忍ばなければいけなくなる。面倒臭い事この上ないが、奇異の目で見られ変な噂でも立つと困るので甘んじで受け入れている次第ですよ。
とまあ、考え事をしている内に次々と料理が到着してテーブルを埋め尽くしていく。
所狭しと置かれた料理はどれも美味しそうで思わず涎が出そうになる。一通り揃った所で全員で手を合わせて一言。
「いただきます」
食べ始めてからは誰一人として声を発していないが、いつもの事で一先ずお腹に物を入れて人心地ついてから他愛無い会話をするというのが定番の流れだ。
なのでテーブルの上の料理は凄い勢いで腹の中に収まっていく。
ある種魔法でも見せられているのか?と思う光景だが、これまたいつもの事。
大方の料理を食べ終わった頃に次の料理を注文して待つ間会話に興じる事にした。
「この前カスミとスズネが討伐した妖魔はどうだった?」
「正直に申しましてもう他の隊と合同で討伐作戦にあたるのは遠慮したいです」
「というと?」
「実は目的地に着くまでに少し諍いがありまして。といっても相手がこちらの気分を害す事を言ったのが発端ですが」
「成程ね。詳細が分からないから善悪の判断は難しいけどカスミが言うならほぼ間違いないだろう。う~ん……そう言う事なら今後の対応も考えなきゃいけないな。それで戦闘面では問題はあったの?」
「そちらはスズネにお任せして私は傍で見ていました」
「そうなんだ。じゃあ、スズネ。話を聞かせて」
「分かりました。女性型妖魔で強さとしてはクラスSの下と言った所ですね。最初にCODE弐の人達が戦ったのですがあっさりとやられてしまいました。暫くは傍観していようかと思ったのですが、妖魔がどうしても許せない発言をした為戦闘行為に移行して、四肢を斬り落とした後落ちていた私達の制定武器で腹を貫いて地面に串刺しにしました。その後は情報を抜き出す為に少々悪戯をして最後は首を落とした後ミンチにしてお終いです」
「ふむふむ。特に問題は無いな。CODE弐の人的損害も軽微だし良くやったと思うよ」
「ありがとうございます」
一つ心配なのは隊員がトラウマになってないかくらいだな。俺達にとっては当たり前の事でも他の人にとってはそうじゃないだろうし。ましてや首を落とされミンチにされるなんて悪夢以外の何ものでもないだろう。……まあ、そこら辺のケアまで考えてやる必要はないが。
と話をしている内に第二弾の料理が到着。その中にミンチ肉を使った料理があったんだが、それを見てスズネがこんな事を言い出した。
「あっ、このお肉僕が膾斬りにした妖魔の残骸に似ている」
「ちょっと~、スズネ。そんな事言われたら食欲がなくなるでしょ」
「あははは。ごめんごめん。でもシオリってそんなに繊細だったっけ?」
「言ってくれるじゃない。……別に気にならないけど雰囲気とかあるでしょ?」
「そう?ユノさんはどう思います?」
「俺は気にしないよ。別に妖魔の肉を使っているわけじゃあるまいし。ただ食事中に言う内容ではないよね。人によっては不快に感じるかもしれないから」
「分かりました。じゃあ、こういった事は僕達だけの時に言うようにします」
んー、俺が言いたかったのはそういうことじゃないんだけど。まあいっか。
こうして食事会は進んで行く。
どれだけ食べ、飲んだのか分からない程の量を胃に納めきった時には時間が三時間ほど過ぎていた。開始が十八時だったので現在時刻は二十一時。程よい時間なのでここら辺でお開きにする事にした。
「それじゃあ、今日はこれくらいで終わろうか」
俺の言葉に各々頷きを返して、会計をした後それぞれの家路へと帰っていく。
本当に今日は楽しかった。偶にはこういったお店巡りをした後に食事と言う流れでいってみようかな。
因みに今回のお会計は十五万円でした。七人で食べたにしては高いと思うかもしれないが量が凄いからどうしてもね。今回チョイスしたのは一般的なお店より少しグレードの高い所だったけどこんなものかな。さてと、帰ったら風呂に入って寝ますか。
来週からの仕事の英気を養わなくてはね。