Ep:4
side カスミ&スズネ
相対した二人がどちらが先に動いたのか?
先手と言うのは基本的に有利になる。戦いの主導権を握りやすくなる上、自分のペースに持っていきやすいからだ。が、実力者同士だとまず読み合いが発生する為簡単にはいかない。
では今回はどうなのかというと、スズネが躊躇なく相手の懐に飛び込んだ。
タッという僅かな音を残して瞬時に相手に肉薄し、鯉口を切り首めがけて一閃。
相手もそれを読んでいたのか素早く右腕を上げて硬質な皮膚でもって受け止める。
しかし刀を振り抜いた勢いそのままに刃を上へ滑らせながら身体を独楽のように回転させて、逆袈裟斬りを行う。だが、その攻撃はバックステップで躱され両者一旦距離を置く形となる。
「速く、重い斬撃ですね。それに私の身体を傷つけるなんて相当な業物と見ました」
「戦闘中にお喋りなんて随分と余裕だね~」
「いえ、思った以上に腕が立つので感心していたんですよ。ですが所詮は人間。どうあがいてもその程度でしかない。少し遊びがいがあると言った所でしょうか」
「…………人間でもお前より強い奴は腐るほどいるよ」
「くっふふふっ。言うに事欠いて戯言を。あなたの師は技術は教えても、精神面での教育はしなかったのですね。まあ雑魚が教えを乞うた人物ですから、似たり寄ったりの馬鹿なのかもしれませんが」
「………………」
妖魔が言い切るか否かと言う所でまるで空間に亀裂が走ったかのような擦過音が聞こえた。
ピキッ、パキッ、メキメキッと不快で心の芯から怖気付くような音が。
音の発生源はすぐに分かる事になる。悪鬼も裸足で逃げ出すような形相を浮かべた少女から発せられているのだ。先程までの美少女然とした表情や雰囲気は鳴りを潜め、地獄から顕現した魍魎もかくやと言った風体。何が彼女の逆鱗に触れたのかは不明だが、先程の妖魔が言った内容に答えはあるのだろう。
答えを考える僅かな時間さえ置き去りにするようにスズネが先程とは比べ物にならない速さで妖魔に肉薄し、神速で抜刀。抜き放たれた刀は寸分の狂いも無く相手の腕を切り落とす。
「えっ?」
間の抜けた声が聞こえたが、その時には刀を鞘に戻し再度神速でもって抜刀。残りの右腕もまるで豆腐でも切るかのように地面へと落ちていく。
一瞬、そう瞬きの間に両腕を切り落としてしまったのだ。余りの早業に敵は未だ理解できていない。僅かな時間を置いて認識した所で声にならない悲鳴が耳を劈く。
「あぁぁあぁぁああーー!腕、私の腕がーー!」
苦悶の表情を浮かべながら赤黒い血を垂れ流す肩を押さえながら絶叫する。その顔は苦悶と苦痛に塗れており思わず目を伏せてしまう程。
その所業を行った当の本人は僅かに刀身に付着した血を払った後、小さく呟く。
「隊長を愚弄した罪は万死でも足りない。四肢を切り落とし、絶望と後悔をさせた後ミンチにしてやる」
その声は相手はもとより、戦いを固唾を飲んで見守っているCODE弐の隊員達にも届かない。ただ一人スズネと同じように――否、外見には出ていないが身に纏う気が尋常ならざる者となっているカスミの耳には届いていた。スズネの言葉を聞きふっと笑顔を浮かべているが、果たして何を思っているのか。
両腕を切り落とされた妖魔は堪らずといった様子で距離を取ろうとするが、それを許すはずも無くスズネが一足飛びで距離を詰め斜め上から太もも目がけて刀を振り下ろす。返す刀でVの字を描くように今度は切り上げて左足を切る。僅かな間をおいて両足が支えを無くして地面へと倒れた。自身を支える脚が無くなった事により身体はドサッという鈍い音を立てて地へと伏す……はずだった。
それを許さないとばかりにいつの間にか手に持っていた軍の制式装備である剣を妖魔の腹目がけて投げつる。為す術がなく貫かれ、剣が地面へと深々と突き刺さり妖魔は四肢が無い状態で中空に浮いた状態となった。僅かに身じろぎするだけで激痛が走るのだろう、苦悶の表情を浮かべている。まさに目を覆いたくなる光景だが、対してスズネは躊躇なく相手に近寄り話しかけた。
「ねぇ、これでも僕を雑魚って思う?」
問いに答える声は無い。代わりに呻き声が返ってくるのみ。
「質問に答えろよ」
言うが早いか貫かれた腹部から見える内臓を素手で掴み外へと引っ張り出す。グチュ、ネチョッと不快感を与える音と共に小腸が半ばまで出た所で、妖魔の口へと押し込む。
「ムゴッ、グフッゥ、ガッァ」
「どう?美味しい?次は胃にしようか、それとも膵臓がいいかな?」
「ヤベデ、オネガイダガラ」
「たくっ、見た目だけでなく肉体の構成も人間と似ているなんて本当に腹が立つ。もっと醜悪なら楽だったのに。まっ、その分楽しめるからトントンかな」
鈴の音を転がすように心地よい声音で信じられない事を言うスズネと目の前の妖魔。果たしてどちらが人間と言えるのだろうか?少なくともこの光景を見て嘔吐している隊員たちにとっては彼女こそが魔と言えるのかも知れない。
当の本人は涼しい顔をしながら思い立ったように質問を投げかけた。
「ねぇ、国外でクラスunknownが現れたんだけど何か情報は無い?」
「うっぐぅ、もし情報を言えば助けてもらえるの?」
「質問に質問で返すとか有り得ない。……まあ考えてあげない事も無い」
「分かった。そいつは恐らくつい最近クラスが上がった妖魔だと思うわ。現れたのは更なる力を付ける為だと思う。実力は他のunknownに比べるとまだまだ劣るから焦っているんじゃないかしら」
「ふぅ~ん」
口から血を垂れ流しながら、必死で言葉を述べる姿は先程までの余裕たっぷりな態度とは正反対だ。生きる為に仲間すら平気で売る行為は果たして正しいのだろうか?いや、妖魔に仲間意識など期待する方が無駄と言うものか。
「私が知っているのはこれくらいよ。ねぇ、助けて」
「情報としてはクソみたいな物だけど、まあ無いよりかはマシかな。という事でお前は用済みなので死んでもらうね」
「なっ!?条件がちが――」
最後まで言葉を言い終える事は出来ず最初に首が落ち、次いで膾斬りにされ辺りに肉片が飛び散る。ミンチにするという言の通り皮膚も筋肉も内臓も骨も一緒くたにグチャ混ぜになって地面へとボトリと落ちてゆく。余りにも残虐非道な行為を行ったのが華奢で年の頃は十代後半にしか見えない女の子というのは悪夢としか言いようがない。否、あまりにも現実感が無さ過ぎていっそ夢幻でもなんらおかしくは無い光景。それを目の当たりにした他隊員たちはもう吐き出すものが無いのか嘔吐くだけで、表情は青褪め苦悶を浮かべている。さて、そんななか妖魔討伐を果たした彼女はと言うと――。
「はい討伐完了。原石はCODE弐の方で回収しておいて下さい。辺りには他の妖魔もいないので私達の応援要請はこれで終わりという事で良いですか?」
「…………あっ、ああ。協力に感謝する」
「さっさと帰りたいので車を一台出して貰っても?」
「分かった。すぐに手配する」
CODE弐の隊長が謝辞を述べつつ返答を返す。普通であれば後始末や、死体の回収、周囲の確認等々やる事は多々あるのでスズネの言葉には難色を示す、もしくはNOと突き返すのが当然と言える。が、今作戦の最大の功労者であり別部隊の人間である為強くは言えなかったという所だろう。
帰りの車の確保をしたスズネは少し離れた位置で見ていたカスミの方へと歩いて行く。
「お疲れ様でした」
「うん、ありがとう。僕が全部やっちゃってごめんね」
「構いませんわ。正直妖魔が下らない事を言った時点で殺そうと思いましたが、貴方の邪魔をするのも如何なものかと思い直して我慢しましたの」
「ホントごめんねぇ~。隊長にはカスミも活躍したって伝えておくから」
「お願いしますわ。さて、帰りましょうか。正直隊長と長い時間離れていたので限界が近いです」
「僕も同じ。帰ったら頭を撫でてもらお~っと」
「むっ。ズルいですわ。私も撫ででもらいます」
「僕が先だよ~」
戦場に相応しくない緩い会話をしつつ去って行く彼女達。
残されたのは未だ呆然としている隊員と、ノロノロと何とか動き出した者たちだけだった。
side カスミ&スズネEND
「「ただいま戻りました」」
「おっ、お疲れ様。……うん、怪我も無さそうだし良かった」
「はい。無事隊長の元へと戻ってくることが出来ました」
「取り合えず報告書は明日で良いし、その時に詳しい話も聞こうかな。急ぎの報告とかはある?」
「はい」
「んっ。聞かせて」
「国外に現れたクラスunknownの妖魔ですが情報を入手する事が出来ました。話によると最近クラスが上がった妖魔らしく、現れたのは更なる力を付ける為という事です。実力は他のunknownに比べるとまだまだ劣るとの話でしたので、討伐するなら早めの方が確実かと思います」
「ほぅ。それはデカいな。よくやったスズネ」
「えへへっ。ありがとうございます!」
「この情報は後回しには出来ないしちょっと情報局に行ってくる。みんなは少し早いけど業務終了していいよ。特にカスミとスズネは疲れているだろうし家でゆっくり休んでね」
「有難いですが、隊長のお帰りをお待ちしています」
「僕も~」
「気持ちは有難いけど時間がかかるかもしれないよ?」
「「大丈夫です」」
「分かった。それならなるべく早く終わらせて戻ってくるから」
「「はい」」
ふぅ。思ったよりも時間が掛かってしまった。情報の裏付けやら出現した国への連絡やらその他諸々マジで面倒。スズネからの情報しか知らないんだから、個体情報とか能力とか知っているはずないだろって話だしそういうのは情報局や出現国の役目だと思うんだよね。局長も一度熱が入ると話が長いからなぁ。二・三十分で終わるかと思ったのに結局一時間ちょい掛かってしまった。皆には申し訳ない事をしたな。埋め合わせをどうしようか考えつつ歩を進めている内に部屋の前へと着いてしまったよ。
「戻りました」
「おかえりなさい」
「ただいま。待たせてしまって申し訳ない」
「いえいえ、問題ありませんよ」
「皆には悪いけど少しだけ時間を貰えるかな。情報局の局長と話した中で俺達が出向する可能性が高くなった。まだ力を付けていないなら早めに討伐した方が良いだろうという事らしい。諸々の調整や話し合いは上層部も交えて国のお偉いさんがするけどもし出向と言う形になったらすぐにという事になるので各々準備だけはしておいてくれ」
「了解しました。因みにそれは部隊全員で行く事になるんですか?」
「そうなるだろう。妖魔の実力的に数人を向かわせるという事でも問題無いん――」
「「「「嫌です」」」」
アヤメ・カスミ・スズネ・シオリの女性陣が異口同音に言い放つ。
ちょっと圧力が凄いんですが……。あと喰い気味に言ってくるから思わずビクッとしたよ。
「だよね。だから皆で行こうかなと考えている。もし何か言われても押し通すから安心してくれ」
「大丈夫ですよ。そんな馬鹿な事を言うやつはこの世から消えてもらいますから」
「だね~。というか数週間も隊長に会えないとかどんな拷問って話だし」
「ですわね。寂しくて死んでしまうかもしれません」
「お前は兎かよ。そんなもんで死んだら人類絶滅してるだろ」
「あら?お酒ばかり飲んで頭がスッカラカンになってしまったのですか?あまりふざけた事を抜かすとその首を酒樽に漬けてあげますわよ」
「ほぉ~。言ってくれるね。出来るかどうか試してみるか?」
あ~も~、カスミとジンが今にもドンパチを始めそうだよ。シオリとスズネは我関せずで見守っているし、俺が場を収めるしかないか。疲れている所にしんどいぜ。
「そこまでです。仲間同士で争って何になるんですか。毎回毎回収める方にもなって下さい。それに隊長がお疲れなんですよ。貴方達はそれを分かっているのですか?」
「「ぐぅ……」」
「隊長、お疲れの所すみませんでした。話としては他国に出向する際は部隊全員で行く、各員準備をする事でよろしいですか?」
「うん。アヤメいつもありがとうね」
「いえ、これも私の役目ですから」
「さて、やる事もやったし帰るか」
各自帰宅の準備は済んでいるし、俺も基本的には持ち物は刀くらいだからすぐに帰れる。
というわけでみんな揃って部屋を出て帰宅の途へと着いた。
軍人には宿舎の利用が原則として義務付けられている。何時いかなる時でも即応できるようにとの事だが一部の人のみ例外が認められている。それは各隊の隊長・副隊長及びCODE零所属の隊員だ。これら以外は例え単身者だろうが、家族が居ようが軍宿舎で生活する事になる。勿論単身者用宿舎・世帯用宿舎と別れてはいるが、好きな場所に住めるという訳では無い。
翻って俺達はと言うと各々が戸建ての家に住んでいる。アパート等は防犯面や設備面で満足いかないし、職業上良い家に住まないと色々と言われるんだ。やれまともな給料も払っていないのか、待遇が悪い中命懸けで働かせているのかとかね。厄介な事にそう言う事を宣うのは自国ではなく他国なんだ。内政干渉をするなと強く言えればいいけど難しい面がある。これについては追々分かってくると思うけど政治が絡むと兎角面倒だし大変なんだよ……。
話が逸れたが、俺が住んでいるのは所謂高級住宅街でその中でもそこそこ大きい家だ。近くに商業施設やオフィスなんかが無い為蒸気も少ないしマスク無しでも歩ける。これが工業地帯や店舗が密集する場所だと蒸気が酷いのでマスク着用が必須だ。
さてさて、一人で大きな家に住んでいると思われるかもしれないが実は同居人がいるんだよね。もう少しで我が家に着くし、彼女が出迎えてくれるだろう。
「ただいまー」
「お帰りなさいませ、ユノ様」
「んっ、変わりは無かった?」
「はい。いつもと同じでした」
「了解」
玄関での立ち話も終わり、居間へと移動開始。
少し歩くと木目が美しい床が張ってある居間へと到着。
いつもなら自室で着替えてからこっちにくるんだけど、今日はそんな気力も疲れて湧かない。
ソファにドサッと座り込み思わず溜息が漏れてしまう。
「随分とお疲れの様ですが、何か問題でもあったのですか?」
「うん。少し面倒な事になってさ」
「然様でございますか。でしたら今日はゆっくりと湯に浸かり疲れをとるのがよろしいかと・お風呂の準備は出来ておりますので」
「そうするよ。いつもありがとう」
「いえ、私にとってユノ様の為に何かをするというのは当然の事ですので」
嬉し事を言ってくれる。本当にユキは良くできた子だよ。
っと、ユキって言うのは俺の同居人であり本当に長い年月を共にしている相棒――いや半身といっても過言では無い存在だ。見た目は小柄で華奢、黒髪ボブカットの大和撫子を体現したような存在。そして着物を着ている。俺が住んでいる和国では着物の文化があり昔はみんな着物を着ていたんだけど、外国文化が流入すると次第に廃れていき今ではあまり目にする機会が無い珍しい服装になってしまった。個人的には好きだし、自宅では浴衣を着ているので今の時代は物寂しくある。
などと考えに耽りつつお風呂に入り、再び居間へと戻ると縁側へ向かう。
床に腰を落ち着けて一息つくとそっと麦茶の入った湯呑を差し出された。
「ありがと」
「はい」
ユキも隣に座り二人で夜空を見上げるが、目に映るのは蒸気に覆われた空。
昔は星々が輝いて綺麗だったんだが、ここ百年で蒸気機関の発展が飛躍的に向上した事により見る事は叶わなくなってしまったんだ。技術の発展は喜ぶべきだし、その恩恵も受けているが失うものも多い。
寂寥感を覚えてくっと拳を握りしめてしまったが、優しく慈しむ様にユキの手が重ねられる。
「大丈夫です。どんなに時代が、世界が変わろうとも私は私のままでいます。そしていついつまでも貴方のお傍に居ますので安心して下さい」
「ユキ……」
本当に敵わないな。
もし彼女がいなければ俺は生の苦しさに苛まれて心を病んでいただろう。死ぬことは叶わないと知りつつも自死を試みたり、妖魔と無謀な戦いに明け暮れていたかもしれない。
そんな事を思っていると肩に僅かな重みがかかった。
ふと横に目線をやるとユキが俺の肩に頭を預けているのが見える。
「どうした?」
「なんとなくこうしたい気分でしたので」
「そっか」
緩く心地よい時間がどれほど経っただろう。
ふと今度の休日に食事に行く話をしていなかったと思い出したので報告しておくか。
「今度隊のみんなと食事に行くんだ。ユキも来るだろう?」
「はい。ご一緒させて頂きます。……前回の食事から三週間程ですのでいつもより間隔が長いですがお身体には問題はありませんか?」
「大丈夫だよ。いつもより間隔が長いのは偶々じゃないかな。体調が悪かったり、怪我をしたとかなら一月とかそれ以上食事を摂らないからさ」
「そうですか。少し心配だったので良かったです」
ニコッと笑みを見せる姿に思わず見惚れてしまう。
何度も見ているはずなのに心は弾み、目を奪われる。
隊員の女性陣もみんな綺麗・可愛い子だし街を歩けば男女問わず羨望の眼差しで見られる位だけど、ユキも負けず劣らず――人によってはユキの方が綺麗・可愛いと言うだろう美貌の持ち主だ。そんな子達に囲まれて生活している俺は恵まれているのだろうな。
残念な事に浮いた話の一つもないのが残念至極だが。
つい自虐的になってしまっているとユキから声がかかった。
「お食事処はもう手配したのですか?」
「まだだよ。馴染みの店にしようと思っているんだけどどこがいいか迷っていてさ」
「時間も無い事ですし早めに連絡した方がよろしいですよ。お店の方も準備がありますので」
「うん。明日にでも予約の連絡を入れるよ。あっ、それと食事の前にスズネ達と買い物に行くけど大丈夫か?」
「はい。問題ありません。ただ雑貨を幾つか見繕いたいのでお時間を貰っても大丈夫ですか?」
「勿論だよ。……なにか壊れたものとかあったっけ?」
「お皿と湯呑を新調したいと思いまして。随分と長い事使っていましたし」
「あ~、五・六年は使ってるか。他には買い替えた方が良い物とかある?」
「今の所は大丈夫です」
「了解」
まるで夫婦の会話だが、悲しいかなそう言う関係では無い。ツーカーの仲だし相手の事は隅々まで知っているが俺達は特殊な関係――それこそ他に類を見ないような感じだからこそというのも一因としてはあるだろう。良いか悪いかは別としてね。
仲と言えば隊員達と食事に行ったり、買い物に行ったりとかはままある。
俺と彼女・彼らとの関係は良好と言えるだろう。たぶん、きっと、おそらく。
これで、実はあなたの事が嫌いですとかイヤイヤ付き合ってますとか言われたら死ねるね。俺も結構鈍い所があるから、男女問わず嫌な気持ちにさせる事も多いと思うんだ。ましてや命を預け合う関係なんだし些細な気持ちの変化が生死を分ける事もあるわけでさ。
親しき中にも礼儀ありを忘れずにお互いを尊重していきたいと思う所存であります。
でもなぜかちょくちょく隊員同士で諍いが起きるのはなぜなんだろう?
俺かアヤメが注意すれば収まるけど、昔っからなんだよなぁ。理由を聞いた事もあるけど決して話そうとはしないし。『私達の気持ちの問題ですので隊長はお気になさらず』なんて言われてしまったら問い詰める事も出来ないでしょ?それに仕事では連携も取れているし、やる事はしっかりやっているから結局なぁ~なぁ~になってしまってるんだけど果たしてこれでいいのだろうか?という気持ちも無きにしも非ず。
中間管理職は辛いぜ。