Ep:32
ミハエル氏との話し合いから二日が経った。一通りの情報収集も終え――帝国からの情報提供もあり予定よりも早く終わる事が出来た――今は明日の決行に向け最終ブリーフィングをしている所だ。
「実働部隊は三つ。アルファ部隊はアドモが対象、ベータ部隊はオルトが対象、ガンマ部隊は主犯のエスピノが対象となる。各隊の隊長はアルファ部隊がコウ、ベータ部隊はゴロウ、そしてガンマ部隊は俺だ。そして俺の部隊には副隊長としてアヤメとシズクが付くことになる。そして作戦開始時刻は明日二十三時で連絡手段は無いので各隊で事前に最終確認をしておくこと。間違っても互いの考えに齟齬などが無いように頼む」
俺の話に各隊の隊長、そして副隊長含む面々が頷く。
「目撃者は殺し、痕跡も一切残さずかつ死体の処理などもあるが作戦時間は移動を含めて一時間以内なので手際よく処理するようにしてくれ。もし作戦時間より早く終了した場合は指定の場所まで移動して待機。他の隊が合流した時点で任務終了となる。ここまでで何か質問はあるか?」
今話した事は以前にも確認した事なので特に手は上がらないだろうと思っていたが、その予想は裏切られる。
「はい。少し聞きたい事があるんだけど良いかしら?」
「シズクが質問なんて珍しいな。何でも聞いてくれ」
「どこまでやっていいのかしら?」
「あー……そうだな。時間内に任務遂行可能なのであれば拷問でも生きた事を後悔させるでも好きにすればいいよ。ただ、無関係の人間――屋敷にいるメイドなり執事なりを殺すのは駄目だからな」
「んー、それだと殺したりないけどユノが言うなら我慢するわ。その代わりとっておきの拷問をしてあげましょう」
フフッっと淑やかに微笑む姿は発言を無視すれば大層絵になる光景だが、先の言葉を言った後という事を考えれば背筋に冷たい物が流れるのも止む無しだろう。まあ、俺にとってはいつもの事なので何とも思わないが、シズクはある条件を満たした場合のみ残虐になるからなぁ。――とはいえそれはシズクに限った話では無いんだけどなんというか悪辣さに関しては彼女が一番だと思う。
うぅ……後始末の事を考えると頭が痛くなってきたよ……はぁ。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、シズクに続きコウも手を上げてから口を開いた。
「あー、なんだ。ユノも大変だと思うけど引率頑張ってな」
こいつ火にガソリンをぶち込むような真似をしてきやがった!もう少しオブラートに包んだ言い方があるだろうと言いた所だが時すでに遅し。シズクが悪鬼も裸足で逃げ出すような顔でコウの事を睨んでいる。
「おいおい、本当の事を言われたからってそんな顔で俺を睨むなよ」
「引率ってどう言う事?私は幼児か何かだとでも言いたいわけ?」
「単純にお前はやり過ぎる気があるし、俺達じゃ止められないだろ。唯一それが出来るのがユノだから引率って言ったんだよ」
「別に私は貴方達に止められたらやめるわよ。ただ納得できる理由があればだけど」
「はぁ~、それが難しいんだよなぁ。お前を納得させるなんて無理過ぎだし出来っこねぇよ」
「だったらグチグチ言うのはやめて頂戴。そもそも――」
段々と会話がヒートアップしていっているので、ここら辺で止めておこうか。このまま放置すれば殺し合いに発展しかねないしそうなれば周囲一帯が更地と化してしまう。作戦決行前日でそんな事になれば目も当てられないからな。
「はいはい、二人ともそこまで。一旦頭を冷やそうか」
「あー、すまん。少し熱くなってしまった」
「ごめんなさい。勢いに任せて言い過ぎたわ」
「んっ、二人とも反省してるなら良し。――なんか締まらない感じだけどブリーフィングはこれで終わるからな。何か聞きたい事や質問がある場合は直接俺に聞きに来てくれ。以上解散」
そう言った後部屋を出る為扉へと向かうと後ろからゾロゾロとついてくる隊員達。そのまま部屋を出た後ふと頭にある考えが過る。現在時刻は十一時を回った所で時間に余裕がある。街に出て適当にぶらつくか将又自室でボーっとして過ごすか。どちらにせようまい具合に時間を潰さなくてはいけない。
さてどうしたもんかと歩きながら考えていると後ろからゴロウが声を掛けてきた。
「ユノさん。今少しお時間良いですか?」
「おう、大丈夫だぞ」
「もし宜しければこの後買い物に付き合って欲しいのですが」
「構わないが何を買いに行くんだ?服とかだったらアドバイスとかは出来ないけど」
「折角帝国に来たので妻と娘にお土産を買おうかと思いまして」
「なに!?という事はサヨちゃんに渡すものだよな!」
「はい」
思わず大きな声でゴロウに聞いてしまったせいで若干引かれているが気にしたら負けだ。それよりもサヨちゃんのお土産だと。これは何を差し置いても絶対に行くし全力で品物を厳選しなければ。
「よし、今から買いに行くぞ。コウもどうせ暇だろうし付き合え」
「暇なのは事実だが改めて言われると何かモヤッとするな。……まあいいや。付き合うよ」
よし、男三人とむさ苦しいがまあいいだろう。ってそんな事よりもサヨちゃんのお土産を買いに早く行かなければ。
「よし、出発だ」
先頭を歩きズンズン進む俺の後に続いてゴロウとコウもついてくるが、時折聞こえる溜息はなんなんだろうか?まあ、気にしたら負けだ。
昨日は男三人で買い物に出掛けたが、予想以上に盛り上がる事が出来た。内容としてはただサヨちゃんにあげるお土産を買うだけなんだが、父親であるゴロウは特に悩む事も無く買って終了。コウは付き添いで来ているので特に何も買うことは無かったが、問題は俺だ。あーでもないこーでもないと色々な物を手に取っては戻しを繰り返し、時に二人からアドバイスを貰いながら悩む事一時間。ようやくこれだ!と思える品を買った時にはコウとゴロウはグッタリしていたがまあ必要な犠牲だったという事で割り切る事にした。そして、一応長い間付き合ってもらった礼として近場のカフェでお茶をしたんだがここでの話がまぁ盛り上がった。男しかないから下世話な話も出来るし、男にしか分からない愚痴も言い合える。なんとも素晴らしい時間を過ごせたわけだ。という事で今の俺は気力が漲っているし、なんならやる気も十分。あと数分で作戦開始時刻となるがこうして昨日の出来事を回想できるくらいには余裕がある。
なんて事を思いながら思い出に耽っていたら時間になったので気持ちを切り替るため頬を一度パンッと叩き傍に控えている面々を見渡す。
「よし、時間になったので行動を開始する」
「了解」
各員が声を揃えて返事をした所で音も立てずに世闇に紛れて目的地に向けて駆け抜ける。
時間にして十五分程度で到着したそこは広い敷地を持つ大きな屋敷で、出入り口である大きな門の前には警備している人間の姿が見える。馬鹿正直に正面突破する訳にもいかない為俺達は裏手に回り二メートルはあろうかという塀を一足で飛び越え敷地内に侵入を果たした。ここからは一気にエスピノの部屋まで進む事になる。そうして件の人物の部屋までも向かっているが想定よりも警備に当たっている人の数が少ない事に気付く。事前情報では現状の倍は居るはずなんだが、これは罠に誘われたか?それとも事前に俺達が襲撃をしかけるという情報を手に入れて勝算は無いとみて諦めているとか?まあ、どちらにせよ全てを食い破って目的を果たすのみ。現有戦力であれば例えクラスunknownの妖魔が数体同時出現しても倒せるし相手が人間であればさもありなん。
ふっと一息入れたと同時に目的の部屋に辿り着いた。ドアノブを回すと施錠されておらずキィと僅かな音を鳴らし室内へと開く。その事を確認したと同時に一斉に中へと踏み込む、と同時に目の前に予想だにしていなかった光景が広がった。
室内には照明が点いておらず、窓から差し込む月明りがのみが唯一の光源となっている。そんな中椅子に座りこちらを見据える人物が一人。そう、俺達の殺害対象であるエスピノだ。
「ようこそ我が屋敷へ。歓迎するよ」
鷹揚に手を広げながら言う姿に恐れや恐怖は感じられない。状況から考えれば自分が殺される事がほぼ確定しているのにこの態度。クスリでもやっているのか、将又全てを諦めたが故の態度なのか、別の意図が隠されているのかは分からない。が下らない問答をする時間は無いしさっさとやる事をやってしまおう。
「シズク、頼むぞ」
「分かったわ。それじゃあ始めましょうか」
スタスタと椅子に座るエスピノに近づくシズクをみて何を思ったか軽快な調子でエスピノが言葉を紡いでいく。
「いやはや挨拶すら貰えないとは悲しいね。それにしても貴方の事は噂で聞いていましたが随分とお若いのですね。……ととっ、年齢に関する事は男女問わず聞くのは無礼ですね。失礼」
本当に場違いに過ぎる言動をしている彼に構わず目の前まで移動したシズクが思わずといった調子で溜息を吐く。と同時にここまで至近距離まで近づいたのにも関わらず護衛が出てこないという事は居ないと判断したのだろう、懐に手を入れ少し大きめのポーチを取り出す。
「さて……と。貴方にはこれから拷問をさせてもらいます」
「ふっ、私に関する情報は全て手に入れているのだろう?今更拷問をして引き出す物もあるまい」
「これから行う事は罪を犯した者に対する罰です。それ以上も以下も無い」
「私刑かね。軍属の者らしい行いだ」
エスピノが言った軍属の者らしい行いだに一瞬眉を顰めた後表情が抜け落ちまるで能面の様な顔になるアヤメとシズク。
「まずはその下らない事を囀る舌から抜きましょうか」
言うが早いかエスピノの口を片手でこじ開け舌を引っ張ると同時に、腰に差していた西洋刀で根元から斬り落とす。僅かな間をおいてボトッと鈍い音が聞こえたと同じくして『グイァアァアァー』というくぐもった鳴き声が室内に漏れる。発声器官の一部を無くせば当然まともな言葉は紡げないが声は出るので先程の奇声が漏れた訳だがどうやらそれが不快だったらしく今度は西洋刀の柄頭で喉を殴りつけた。
『グヘェゥ』というまたも奇声を一瞬漏らした後は荒い呼吸音が聞こえるのみ。これで彼は喋る事も声を出す事も出来ない。
「さてと、これで静かになったわね。それじゃあ最初は耳から行きましょうか」
そうして取り出したのは先が尖った細い鉄の棒。長さは約三十センチメートル程で一見すると暗器のようにも見えるがれっきとした拷問道具だ。その使い方は――
「まずは右耳からにしましょうか。久し振りだから力加減を間違わなければいいけど……えい」
可愛らしい掛け声と同時に耳の穴へと棒を一気に差し込む。鼓膜を破り蝸牛を潰しさらに奥へと突き進んだところで、手を下に押し出した後再度上方向へと力を籠める。するとブリュという微かな音が鳴ると同時にエスピノの身体が僅かに痙攣を始めた。これは脳を棒で傷つけられたからだろう。
「ふふっ、この程度で痙攣するなんてだらしない。――あらあら、涎まで垂らして小さな子供みたいね」
楽しそうに言葉を投げかけるが、その相手は白目をむいて声にならない声を上げるのみ。これだけでも十分に心を折る――いや、最早自我を半ば失っていると言っても過言では無い状態だがシズクの拷問はまだ始まったばかり。
「次はそうねぇ……みじん切りにしましょうか。脚は少し面倒臭いから楽な手でいきますね。はい、指の先からトントンとリズムよく刻んでいきます」
西洋刀で真っ直ぐに伸ばされた指を切っていく。その度に鈍く唸るような鳴き声が零れ、思わずと言った様子で手を引こうとするがシズクがガッチリと片手で押さえている為それも叶わず為すがままとなる。
そうして根元まで切った後は特注の小型熱源機で傷口を焼いて止血をする。それを片手の指五本分行った所でエスピノは白目をむいて気絶してしまった。
「もう少し持つと思ったのだけど意識を失ってしまったのね。ほら起きなさい」
少し力を込めてエスピノの頬を叩くと何かが破裂したような炸裂音に似た音が部屋に響く。あまりの衝撃だったのか皮は剥がれ、肉は飛び散り歯と歯茎が見えている。痛みと衝撃で目を覚ましたが果たしてそれは続きを促す合図となる。
「痛いでしょう?苦しいでしょう?もういっその事殺してくれと思うでしょう?でも駄目。貴方がユノに敵対したのだからこんなものでは済まさない。本当の意味のこの世の地獄を味わわせてあげる」
月明りに照らされたシズクの口元が三日月型の笑みを浮かべる。
それから作戦時間ギリギリまで彼女のおもてなしは続いた。結果として最後の西洋刀で頭頂部を串刺しにした事で死亡したがその際に安堵とも取れる表情を浮かべていたのはようやく死ねるからだったのだろうか?今となっては答える者はいないが少しだけ頭に残り続けた。
こうして俺達の仕事は終わった訳だが、やる事はまだ残っている。死体処理は同行しているシズクの部下に任せる手筈なので良いとして、偶々部屋の前を通りがかって中を覗いてしまった不幸なメイド二人をどうするかが問題だ。拷問現場や死体を見られている訳では無い上、現状不法侵入者が主人の部屋にいるというだけだから扱いに困る。さてどうしようかと思考を巡らせ始めた丁度その時フッと空気が揺らぎトスッと軽い音が聞こえてきた。音の方を見るとアヤメが件のメイドの喉に刀を突き刺して佇んでいる。
「生かしておいても意味はありませんし、後々面倒事になるのを避ける為殺しました」
「そうか。それじゃあ悪いけど二体使いで死体処理をお願いできるかな」
俺の指示にシズクの部下がこくんと頷きで返事をした後死体袋に手早く収納していく。残された作業は血が染み込んだ敷物の処分や僅かに壁に飛び散った血の処理のみだ。これは対して時間も掛からずに終わるだろう。
実際各々が手早く作業をしたおかげでものの数分で終えることが出来た。あとは他の隊との合流場所まで移動するのみ。
「それじゃあ、ここで一旦解散で。処理班の面々は後で合流しよう」
「了解しました」
そうして各員行動を開始する。俺達はアルファ・ベータ部隊が待っているであろう場所へと向かう。
辿り着いたそこはやや古ぼけた一軒家。今は誰も住んでおらず周りの民家も空き家が目立つそんな場所に佇んでいる家だ。壊れかけの門扉を潜り、錆び付いた玄関扉を押して中に入るとそこには予想通り先に着いていたアルファ・ベータ部隊の面々が待ち構えていた。
「お疲れ。首尾はどうだ?」
「問題無く終わらせたぜ」
「こちらも同じく恙無く任務完了しました」
アルファ部隊隊長のコウとベータ部隊隊長のゴロウが答える。
「そうか。こちらも問題無く終わった。ただ目撃者が二名居たので処理したが」
「そうなんだな。俺の方は警備は薄いし屋敷にいる人間も殆ど寝ていたので拍子抜けする位簡単に終わっちまったよ」
「それが一番だろう。面倒事が起きれば俺達の存在が知られる可能性もあるしな」
「確かにな。んで、シズクの方は何かやらかさなかったのか?」
コウの言葉に俺が答えるより早く当人であるシズクが口を開く。
「私がミスをするはずないでしょう。というかユノが居る前で変な事を言わないで頂戴」
「あー……まあいつも通りに仕事をしてくれたよ。お蔭で俺が手を出す事も無かったし楽をさせてもらった感じかな」
「ふふっ、ユノに雑事をやらせるはずないじゃない。そう言うのは私が全部やるから安心して」
シズクの気持ちは嬉しいがそれだと本当に俺がやる事が無くなってしまうので上手い事調整するのに苦労するんだよ。まあ本人は善意で言ってくれているのだし咎めることは出来ないが。
そんな俺の内心を慮ったのか珍しくコウが優しい言葉を投げかけてくれた。
「ユノも色々と大変だろうとは思うが、頑張ってくれ。俺じゃあ手綱を握る事は出来ないしお前にかかっているんだしさ」
冗談抜きでシズクも含めた彼女達を俺以外の人が制御できるとは思えないし、この先も頑張らないとな。その点男性陣は同性という事もあって楽でいい。こうして俺の気持ちも理解してくれるし、要所要所で助けてくれるからな。本当に掛け替えのない奴らだよ。
「ありがとうな。そう言ってもらえると助かるよ」
というような雑談をしつつ各員の状態を確認する為辺りを見回すが、誰一人怪我を負っておらず作戦開始時と全く変わらないままで一安心。というか返り血一滴すら付いていないと言うのは流石という他無い。
取り合えず全員問題無く完了した訳だしこれで終わりだな。
「総員傾注。アルファ・ベータ・ガンマ部隊全てが無事任務を終えたので作戦行動はこれで終了とする。この後の行動に関しては好きにしてくれ。飲みに行っても良いし、宿で休むのも良い。ただ、面倒事だけは起こさない様に。以上解散」
コウとシズクの部隊員は他隊員との情報共有も兼ねて宿に戻るみたいだ。俺は明後日――いや日付が変わっているから明日か。ヴァネッサとベルトイア氏に報告をしなければいけない為簡単な書類作成が待っている。という訳で時刻は深夜にも関わらずお仕事をしなければいけない為やや沈んだ心持ちで部屋を出る。
すると当然の様に後ろに付き従うアヤメ達。
「この後俺は仕事があるから宿に戻るけどお前達は好きにしていいんだぞ?」
「ユノさんはお疲れでしょうからお休み下さい。仕事の方は私が致しますので」
「いや、アヤメも疲れているだろう。そんなに時間はかからないしチャチャとやってしまうから大丈夫」
「ですが……」
言い淀むアヤメの言葉を引き継ぐように今度はシズクが口を開く。
「それじゃあ私とアヤメの二人が手伝ってあげる。そうすれば早く片付くでしょう」
「良いのか?」
「勿論。ねっ、アヤメ」
「はい。ユノさんのご迷惑でなければ是非お手伝いをさせて下さい」
「それじゃあ頼もうかな。――コウとゴロウはどうする?」
「俺達は部屋で休むよ。いい時間だし眠気も――ふぁぁ、あるしな」
「分かった。それじゃあ宿に向かおうか」
こうして三部隊合同作戦は幕を下ろす。
帝都で三人の貴族、そして二人のメイドが消えたが街は静寂を保ったまま闇に覆われている。石畳に覆われた道を歩く五人の後姿を青白い月明りが僅かに照らし出すが、その姿を見る者はいない。
死とは隣人であり、誰にでも降りかかる災厄でもある。だが今回の件に関してはただ喧嘩を売る相手が悪かっただけであり、もう少し上手く立ち回れていたら栄華を手に入れる事も出来たかもしれない。そして火種はまだ燻っており、ひょんなことで炎上しかねない危うさを保っている。後日行われる皇帝との謁見次第で結果は如何様にも変わるだろう。
まるで未来を暗示するかのように夜空に五つの流れ星が流れ落ちた。




