Ep:29
楽しかった温泉旅行から数日。いつも通りの日常の中であの胸騒ぎは気のせいだったかと思っていたが、それは勘違いだと思い知る事となる。
「失礼致します。ユノ隊長は居ますでしょうか?」
「はい、ここに。――何かありましたか?」
「緊急事態が発生した為会議が開かれる事になりました。つきましてはユノ隊長に参加して頂きたく」
「分かりました。すみません、会議は今すぐですか?」
「はい」
「皆聞いての通りだ。俺は暫く席を外すからその間頼む」
「わかりました」
「お待たせしました。行きましょうか」
「ご案内致します」
そうして案内された先は以前ヘルブラム機械帝国からヴァネッサが来るという話をしたのと同じ場所だった。ここを使うという事は扉の中にいるのはお偉いさんだろう事が分かる。気が重くなるが、一つ深呼吸をして扉を開けて中に入る。
「失礼致します」
「おっ、来たか。待っていたよ。さっ、席に座ってくれ」
皇王であるゲンパクから着席を促され座るとすぐに話し合いが始まった。
「今日ユノ隊長に来てもらったのは他でもないヘルブラム機械帝国のオフレ殿下に関する事だからだ。殿下は和国に亡命する事が決定しているが、それを妨害している者たちが居てね。帝国に送り込んでいる間者からの報告では実害は出ていない様だがそれも時間の問題との事だ」
話を聞いて一瞬カッと身体が熱くなるのを感じるが、すぐに抑え込む。
「……その妨害している者たちは私が帝国を含め各国に送る書状に一筆書いたのと、私の名の元オフレ殿下を保護するという事を知らないのでしょうか?」
「勿論知っているだろう。知った上でこの機会を逃せば亡命してしまいオフレ殿下を殺害する事が出来ななくなるから最後の足掻きを見せているのだろうね」
「つまり私など眼中に無く、脅威ともみなしていないからそう言った行動に出ているんですね?」
「単純にそこまで頭が回っていないんじゃないかな?兎に角亡命前に亡き者にしよう。その事しか頭に無いんだと思う」
「とんでもない馬鹿ですね」
「はははっ。間違いない」
「ですが私が保護する相手に手を出したのは決して赦せません」
思わず殺気が溢れ出してしまい、その場の空気が地獄の様になる。誰もが冷汗を流し、身体を震わせる。そんな中ゲンパクがやっとの思いで口を開く。
「ユ……ユノ……。抑えてくれ」
「すみません」
指摘されて気付かずに漏れ出ていた殺気をすぐに収める。だが、暫くは誰も口を開くことなく場を静寂が支配していたが再度ゲンパクが口を開いた。
「ふぅ……。流石に死ぬかと思ったよ」
「殺気くらいで死にませんよ」
「いや、ユノの場合は一般人なら心臓発作を起こして死ぬか精神に異常をきたして死ぬかだし、腕が立つ者でも死ぬ可能性がある。かく言う私も危うい所だったしね」
「それはすみませんでした。――話を戻しますがヘルブラム機械帝国の馬鹿共には相応の罰を受けてもらいます。つきましては帝国に行く許可を頂けないでしょうか」
「勿論許可するよ。ただ条件が二つほどある」
「何でしょうか?」
「一つ目は国を滅ぼさない事。二つ目は実行している者以外は殺害しない事だ」
「一つ目に関しては分かりました。二つ目ですが実行している者に連なる人達も殺害してはいけないのでしょうか?」
「流石に一族郎党皆殺しは帝国にとっても大きな問題になるだろうし控えて貰えると嬉しい。ただ、オフレ殿下殺害に関わりがある者は全員処断して構わない」
「それなら問題ありません」
最初は一族郎党皆殺しにしようと考えていたが、ゲンパクの命なら仕方ない。実際そこら辺が政治的な面で見ると落としどころなんだろう。取り敢えずは帝国行きの許可は貰えたから早急に準備して乗り込むとするか。後は誰を連れて行くかだが悩み所だな。頭の中でこれからの事を考えていると情報局局長が俺に声を掛けてきた。
「ユノ。実はCODE壱・CODE参の長期遠征が終わり今和国に戻ってきている最中なんだが、丁度あと二・三日で帝国の近くに来る予定でな。出来ればシズク隊長とコウ隊長に会ってもらえないか?」
「分かりました。連絡は情報局からして貰うという事で良いですか?」
「ああ、こちらから連絡しておこう。それと帝国のゴミ掃除にCODE壱・CODE参を使っても構わない。というか確実にシズク隊長とコウ隊長は参加するだろうからな。他に隊員については現地で調整してくれ」
「有難うございます。では私は三日後には出発したいと思います」
「分かった。誰を連れて行くのかはもう決めているのか?」
「そうですね…………、アヤメとゴロウを連れて行こうと思います」
「了解した。では残りの面々は居残りだな」
「はい」
局長との話し合いも一段落つき話し合いはこれで終わりとなった。俺以外の面々は引き続き今回の件について色々と詰めなければいけないらしくその場に残る事に。会議室を退出したその足でCODE零の部隊部屋へと向かう。
「今戻った」
「お疲れ様です」
「いきなりで申し訳ないが皆集まってもらえるか」
俺の言葉に部屋にいた全員が集まってくる。
「先程入った情報なんだがオフレ殿下の和国亡命を妨害している者たちが帝国に居るみたいだ。俺が保護する対象が危険な目に遭っているのは流石に看過できないので三日後には帝国に行こうと思っている。ついては同行者としてアヤメ、ゴロウを連れて行く。――何か質問はあるか?」
問いに対してサッと手を上げたのはシオリだった。
「残された私達はどう動けばいいんでしょうか?」
「もしかしたら帝国の人間がこちらに仕掛けてくるかもしれないから、情報収集やいざという時の対応を頼む。戦闘になった場合は殺害して構わない」
「どこまでやってもいいんですか?」
「地獄を見せろ。誰に手を出したか骨の髄まで分からせてやれ」
「ふふふっ。了解です」
「他に質問がある奴はいないか?…………いないようならこれで終わりとする。それとアヤメとゴロウは出発に向けて準備を進めておいてくれ」
「「分かりました」」
そうしてなんやかんやありつつも出発の日となった。アヤメとゴロウとは高速飛行船乗り場で待ち合わせしている為時間に余裕をもって向かうと既に二人の姿が。
「随分早いな。待ち合わせの時間までは大分あるぞ」
「ユノさんをお待たせする訳にはいきませんので。それに万が一に備えてという面もあります」
「そうか。――再度確認するが現地にはCODE壱とCODE参の面々がもう居るから、到着後すぐに滞在場所へと向かう。その後は簡単なブリーフィングをした後解散となる」
「了解です」
アヤメと簡単な確認をした後は、出発まで待つ事に。因みに帝国までは高速飛行船で二日で着くのでその間に二人と細かい話をしようと思っている。何はともあれ現地に着いてからが本番なので気を引き締めていこう。
あっという間に二日経ちヘルブラム機械帝国に到着。すぐに他の隊が滞在している宿へと向かう。街の中心から離れた場所に宿ある為、移動は少々時間が掛かってしまう。無為に時間を消費するのも嫌なので周囲の景色を観察する事にした。帝国は蒸気機関技術が発達しており、その発展具合は和国と比べても一段上と言わざるを得ない。そこかしこに蒸気自動車が走っていてマフラーから蒸気を上げている。また蒸気管も目立たない様に配置されており、街の美観を高めるのに一役買っているし蒸気自体も和国と比べて少ない。ざっと見ただけだが改めて帝国の技術力がどれだけ高いかが分かる。仮に和国と戦争をしたら勝率は五十%と言った所だろう。勿論これは俺達が居ない場合だ。CODE零も含めれば勝率百%で絶対に負けることは無い。――といっても俺達が戦うかどうかは個人意志に任されているので参加するかどうかは分からないが。
「ユノ隊長。こらちですよ」
「悪い。考え事をしていた」
アヤメに声を掛けられるまで気付かなかったが横道に逸れて歩いていたみたいだ。つい癖で考え事をしながら歩いてしまうが危ないし気を付けないとな。
「えーと、今がここだともう少しで着きそうだな」
「はい。あと五分程も歩けば到着すると思います」
「んっ」
確認をしつつ三人で暫し歩いていると、シズクとコウが滞在している宿が見えてきた。建物は非常に大きく、かつ豪華絢爛。敷地前には詰め所があり不審者等に対しての対応も万全だろう。その辺を加味すると所謂上流階級が利用する宿であり機密性や従業員の秘密保持に関しても確りしているだろう事が伺える。まさに俺達みたいな後ろ暗い事をする人間にはうってつけというわけだ。……まあ、あいつらはこの事態を予測して高級宿を選んだわけでは無いだろうが、良い判断だと褒めたいくらいだ。
「よし。それじゃあ行こうか」
「「はい」」
三人連れ立って宿の門を潜り、扉を開ける。――とその瞬間こちらに向かって飛び込んでくる何者かが視界に急に入ってきた。
「ユノ!会いたかったわ!」
「おっと。誰かと思えばシズクか」
「はぁ~、やっとユノに会えた。ずっとずっと貴方の事を考えてたのよ」
「ありがとう。……だけど他の人の目もあるしそろそろ抱き付くのは止めようか」
「うぅ……、仕方ないわね。でも腕は組むわ」
「どうぞ」
「ふふっ」
俺に向かって飛び込んできた人は果たしてCODE壱隊長であるシズクだった。彼女は見た目は二十代半ば程で、とびきりの美人だ。身体は折れてしまいそうな位華奢なのに胸は大きい。それこそ俺の腕を谷間に挟みこんでしまえるくらいには大きい。そして鼻孔を擽る甘い香りは須らく男を惑わすだろう。
そんな美女に抱き付かれている訳だが、特に思うことは無い。プライベートで遊ぶ時等は割と頻繫に抱き付いてくるので慣れてしまったのだ。決して男として枯れているとかでは無いからな。などと誰に対してか分からない言い訳を頭の中で呟いていると少し遅れて一人の男が苦笑しながら声を掛けてきた。
「相変わらずおもてになる事で」
「おいおい、久々に会ったのに最初の言葉がそれかよ」
「悪い悪い。久し振りだな」
「おう。コウは――元気そうだな」
「ああ。アヤメとゴロウも久し振り」
「お久し振りです」
「遠征お疲れ様でした」
ゴロウが遠征について労いの言葉をかけるとコウはバツが悪そうに頬を搔いて苦笑いを浮かべる。
「何かあったのか?」
「あー、まあどうでも良い事なんだが少しな。取り合えず立ち話もなんだし移動するか。多目的室を抑えているから詳しくはそこで話そう」
「分かった」
そのままコウの案内の元移動をする。腕にシズクが抱き付いたままという何とも外聞が悪い状態で……。
多目的室に入るとそこにはCODE壱とCODE参の副隊長が居たが、俺達の姿を確認するとスッと立ち上がり一礼をしてくれたのでこちらも目礼で返す。
各々が適当な席に座る事になるが、シズクが物凄い名残惜しそうにしていたので取り合えず頭を撫でておいた。妙齢の女性に対して少し子供っぽいかなと思ったが本人は喜んでいたので良しとしよう。――そして全員が席に座ったのを確認してから本題に入る事に。
「まずは長期遠征お疲れ様でした。本来であればこのまま本国へと帰還する所なんだが、和国に亡命が決まっているオフレ殿下に対して妨害をしている愚か者がいるとの情報が入った。俺の名で保護すると通知しているのにだ。当然看過出来る訳が無いのでこうして出張ってきたわけだがここまでは情報局から伝達されている事だと思う」
そう言った後周りを見渡すと全員が首肯で返してくれた。
「今後の動きについてだが、まずは明日オフレ殿下の元を訪ねてどの様な被害を受けているか、また実行犯に心当たりが無いか等を聞き取りする予定だ。――そしてCODE壱・CODE参の隊長については申し訳ないが協力を仰ぎたい」
「勿論良いわよ。ユノの頼みじゃなくても仕出かした事の大きさを考えるとお灸を据えないとね」
「俺も問題無いぜ」
「ありがとう。後は隊員についてだが、どうするかは二人に任せる」
「そうねぇ……。このまま本国へと返してもいいけど何かに使えるかもしれないし」
「だな。シズクの言う通り手が多い事には越したことは無いし、一応残しておくか。お前らもそれで問題無いか?」
「「はい」」
各隊の副隊長が神妙な面持ちで答える。さっきは二人に任せると言ったけど本心としては遠征帰りで面倒事に巻き込みたくないという思いがあった。だが、他部隊の人間がそんな事言える訳もなく心の裡に留めておいたんだけどね。何にしろ極力俺達だけで事を終わらせよう。……シズクとコウに関してはそう言った気遣いをすると逆に不機嫌になるから思いっ切り頼ろうと思う。
「それと今回殺害する人は妨害工作に関わった者のみとする。間違っても一族郎党皆殺しとかはしないでくれよ」
「なんで?ユノに喧嘩を売ったのにそんな軽い仕打ちで済ませて良いの?」
「だな。甘い対応だとつけ上がるぜ」
「シズクとコウの言い分も尤もだし、俺も最初は皆殺しにしようと思っていたんだけど、ゲンパクから止められてな。言う事にも一理あったし従う事にしたんだ」
「そう。ユノが決めたのなら私は問題無いわ」
「俺も同じく」
「んっ。それじゃあここまでで何か質問はあるか?」
俺の言葉に対してCODE壱の副隊長がスッと手を上げた。
「どうぞ」
「今回はユノ隊長も動くという事で宜しいでしょうか?」
「勿論だ。ケジメはキッチリつけさせないといけないし、俺が出ないでどうする?」
「分かりました。……ですがユノ隊長が戦闘行為を行えばその……」
「遠慮せずに意見を言ってくれ」
「はい。周囲への被害がかなり出ると思うのですが、その辺りは大丈夫なのでしょうか?」
副隊長がその言葉を発した瞬間、空間が軋むような圧と背筋が凍えるような殺気が溢れる。果たして原因は俺と各隊の副隊長以外の面々であった。表情はいつも通りだが纏う雰囲気はまさに鬼神が如く。発言をした当の副隊長はガクガクと身体を震わせて顎から冷汗を滴らせている。
「ねぇ。貴方はユノが手加減も出来ない未熟者だって思っているの?」
「…………滅相もありません」
「でもさっきの発言はそう言う事よね。私の部下がまさかここまで使えないとは思わなかったわ。――いままでありがとう。そしてさようなら」
言うが早いかいつの間にか手に持っていた西洋刀を振りかざし副隊長の首を今まさに斬り落とす瞬間。
「そこまで。シズク、落ち着け」
「私は至って冷静よ。この子はもう不要だから処分しようとしたの」
「取り合えず剣を仕舞え」
「分かったわ」
何事も無かったかのように鞘へとしまった後俺へと視線を向けてくる。と同時に先程までの剣呑な空気は雲散霧消してしまった。似たような事が前にもあったけどあれはケールカ王国での出来事だったか。相手が女王と所属する軍の副隊長という違いはあれど内容は似たり寄ったりだな。
「確かに副隊長の言う通り手加減をしなければ大きな被害が出るだろう。だが、今回は国落としが目的では無いから対象のみを殺して周りには一切被害を出すつもりは無いから安心してくれ。それにゲンパクにも迷惑を掛けたくないしな。という事でこの件はこれでお終いだから後には引かない様に。特にシズクは罰を与えたりするんじゃないぞ」
「安心して。そんな事はしないから」
「なら良いんだ」
取り敢えずは今説明できることはしたしこれで解散で良いかな?一応何か質疑があるか最後に確認して終わるとするか。
「それじゃあ、他に聞きたい事がある人は居るか?……いないようならこれで終わりとする」
椅子に座り一息ついた所でシズクがいつの間にか近くに寄ってきていた。
「ユノはこの後予定はあるの?」
「何も無いよ。強いて言えばこの辺りを少し見て回ろうかなと思っているくらいだ」
「じゃあ私が案内してあげる」
「でも遠征帰りで疲れているだろう?無理しなくていいんだぞ」
「大丈夫よ。寧ろユノと一緒の方が疲労が抜けていくし元気になるもの」
「俺にそんな効果は無いぞ。アヤメとゴロウもそう思うだろ?」
「いえ、ユノ隊長には確かに癒し効果があると思います」
「俺も同じですね」
何時から俺にそんな機能が実装されたんだ?本人のあずかり知らぬ所で勝手にそんな事になっているとか訴訟も辞さないぞ。まあ、訴える相手が不明だから泣き寝入りになるんだけどさ……。
「はぁ、分かった。そう言う事ならシズクに案内を頼む」
「任せて頂戴」
「んじゃ、出掛ける前に隊員達に伝えておけよ。俺達はここで待っているから」
俺の言葉に首肯した後二人と副隊長が連れ立って部屋を出て行く。部屋に残されたのは俺達だけとなったが、無言でいるのもなんだし何か話そうかな。
「しかし、あいつらと会うのも数か月ぶりだけど少しも変わっていなかったな」
「そうですね。あの二人ならば十数年経っても何も変わらないのではないかと思います。良い意味で既に完成されてるので」
「確かに。ただ、出会い頭にシズクが抱き付いてきたのにはマジで驚いたよ。普段はああ言った事をする奴じゃないから余計にさ」
「ユノさんにずっと会えていなかったのでその反動ではないでしょうか?かく言う私も数ヶ月間もユノさんと離れ離れになっていたら同じ様な行動をしたと思います」
「アヤメが俺に抱き付くとか全く想像できないんだが……。ゴロウはどうだ?」
「俺も同じです。スズネやシオリなら分かるんですが」
「だよなぁ。カスミはどうなんだろう?精々腕を組むくらいだろうか」
「カスミの場合は恐らくですが数日はユノさんにベッタリだと思います。彼女は想いを裡に溜めるタイプなので爆発したら私でも止めるのは難しいくらいですから」
「マジか~。アヤメでも止められないとかまさに暴走特急だな」
「少し話が逸れましたがシズクさんも寂しかったんではないでしょうか。短期遠征は数度ありましたが、長期間となるとここ数十年ありませんでしたし」
「そっか。それじゃあ今日はシズクを甘やかそうかな」
「凄く喜ぶと思いますし、良いんじゃないでしょうか」
「アヤメ。アドバイスありがとうな」
「いえ、ユノさんの為ですので」
アヤメから有難いアドバイスを頂いたので実践しようか。ただ、限度を見誤るとユキやアヤメの機嫌が斜めになってしまうので匙加減が非常に難しい。シズクをメインにアヤメにも気を使いつつ甘やかすと言うのが最適解だろうか?腕を組んで歩く、軽い抱擁をする等々であればまあ大丈夫だろう。何だかんだで人目もあるし、そこら辺はシズクだって分かっているだろうし多分問題無いはず……だ。
頭の中である程度想定を練っていると、部屋の扉がノックされてシズクとコウが入ってきた。
「隊員達からは了承を取れたのか?」
「問題無いわ。寧ろ楽しんでくださいって言われてしまったほどよ」
「じゃあ万事OKだな。――うし、それじゃあ行こうか」
こうして久し振りにあった同僚との散策が始まるのであった。




