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死を望むあなたへ  作者: ねこネコ猫
29/38

Ep:28

 ユキと二人でまったりして過ごしていると、不意に扉をノックする音が響いた。

「どうぞ~」

「失礼致します」

 そう言って部屋に入ってきたのはアヤメだったんだけど……一人かと思ったら後ろから続々と中に入ってくるではないか。――気付けば旅行参加者全員集合という事態に。

「あー……皆は荷物の整理とか終わったのか?」

「はい。二泊三日なのでそれ程多い訳では無いのでもう終わっておりますわ」

「そっか。移動で疲れただろうし部屋でゆっくりしていて良かったんだぞ。態々俺の部屋に来てもやる事も無いだろうしさ」

「そんな事はありませんわ。ユノさんと一緒に居るというだけで疲れも癒されますし、幸せですから」

 カスミが少し頬を染めながら言ってくる。何気に女性陣がウンウンと頷いているがまあ本人が良いと言うなら俺から何かする事も無いか。

「そういや皆は温泉に来たのは久し振りだったりするのか?」

「私は以前ユノさんと来た以来ですね」

「私もです」

「僕も~」

「同じくです」

 ふむ。アヤメ・カスミ・スズネ・シオリは俺と同じく数年ぶりとなるのか。して男性陣はどうなんだ?

「俺はゴロウと半年前くらいに温泉に行きましたよ。と言っても街にある多目的温泉施設ですけどね」

「おっ、そうなんだ。というか俺誘われたっけか?」

「あ~……、あの時は都合が合わなくて誘っていませんね」

「だよな。――今度機会があったら三人で行くか」

「良いですね。行きましょう」

「俺も楽しみです」

 ジンとゴロウが俺の誘いに快く乗ってくれたので、近いうちに行く事になるだろう。街にある多目的温泉施設は文字通り食事処から、遊び場、宿泊場所等々様々な施設が集まっている場所なので正直一日居ても飽きることは無い。俺自身割と気に入っているんだけど、訪れるタイミングが中々なくてかれこれ一年以上入っていないので楽しみではある。とつらつら思考を巡らせているとジト~とした視線が飛んできた。……うん、分かっている。ここでの返答を間違えるととんでもない事になる事くらい。

「あ~、あれだ。男だけで行くのも華が無いしみんなで行こうか」

「ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいですわ」

「ユノさんと遊びに行くの今から楽しみです」

「ふふふっ、スズネの言う通り私も今から楽しみです」

 カスミ・スズネ・シオリが各々良い返事をしてくれて俺としても嬉しいよ。だが、アヤメの返事は未だに無いんだけど思う所があるんだろうか?

「お誘い頂き嬉しいのですが、男性同士の方が何かと宜しいのではないのですか?」

「ジンとゴロウとはまた別の機会に行けばいいしアヤメが気にする事じゃないよ。それに俺も皆とどこかに行くって言うのは楽しいしさ」

「そうですか。では日程や準備などは私の方でしておきますね」

「いいのか?アヤメも忙しいし俺の方で予定を組むぞ?」

「いえ、ユノさんのお手を煩わせるほどの事ではありませんので。お任せ下さい」

「んっ、分かった。じゃあよろしく頼むよ」

「はい」

 出来る部下を持つと本当に楽で良いなと思う反面、申し訳なくもある。アヤメはCODE零の副隊長という事もあり、かなり忙しい。――正直隊長の俺よりも忙しいと思う。そんな彼女に雑事を押し付けてしまうのは心苦しいが、ここで無理を通して俺がやるなどと言ってしまうと物凄く落ち込んで数日は元気がなくなった状態になるので心を鬼にして頼んだわけだ。本当に中間管理職は大変だよ……。

「ユノさん。どうしたんですか?なんか疲れたオジサンみたいな顔をしてるけど」

「あー、気にするな。ちょっと役職に就いていると大変だなって考えてただけだから」

「何か問題でもあったんですか?情報局局長から無理を言われたりとか」

「いや、そんな事は一切無いよ。あの人は無理な案件は回さないし」

「そうですか。何かあったら僕に行って下さいね。この世から消し去りますから」

「スズネの気持ちは嬉しいけど、消すのは無しな。情報局が回らなくなるから」

「ん~、分かりました」

 ふぅ、これでスズネが暴走することは無いだろう。なんか癒しを求めて旅館に泊まりに来たのにドッと疲れた気がする。こういう時はアレしかないな。そう!温泉だ!

 この旅館には複数の湯がありどれも源泉かけ流しという贅沢さ。効能も疲労回復、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、冷え性等々多岐に渡っている。特に身体を普段から動かしている俺達にとっては有難い効能が多いのが嬉しい所だ。

「よっし。話も一段落したし風呂でも入りに行くか」

「おっ、良いですね。お供しますよ」

「俺も一緒に行きます」

 すぐにジンとゴロウが声を上げてくれた。

「それじゃあ私達も行きましょうか」

「ですわね。折角温泉旅館に来たのですし、入らないと損ですし」

「賛成です」

 アヤメの言葉にカスミ、シオリが賛同する。ユキは何も言っていないが俺が風呂に行くなら当然の如く付いてくるから問題は無し。あとはスズネだが……。

「ん~、僕は少し準備をしてから行くのでユノさん達は先に行っててください」

「了解。んじゃ、行きますか」

 そうしてゾロゾロと部屋を出てそれぞれ入浴の準備に取り掛かる。当たり前だが男女で風呂は分かれているし、何かと女性の方が準備にも時間が掛かるので部屋の前で別れる事になると思っていたんだけど、カスミの巧みな誘導により浴場の前まで皆で移動する事になってしまった。どうしてこうなった……。


 何だかんだありつつも浴場の前で別れて脱衣所へとやって来た。ササッと服を脱いでタオル片手に扉を開けると目に映るのは立ち上る湯気と大きいお風呂。早く入りたい気持ちを抑えて頭や体を洗ってから、露天風呂へ直行。外は雪がチラチラと降っておりまさに雪見温泉と言った風情で気持ちが否応なく盛り上がる。そのまま湯に脚から入り肩まで浸かると思わず『ふぃ~~』とオジサン臭い台詞が無意識で口からついて出てしまった。遅れて入ってきたジンとゴロウも同じように『ふぃ~~』と言っているのでこれば人類共通なのだろう。というか俺の知る限り男性で言わない人を見た事無いので間違いないね。

「いや~、やっぱり温泉は違うね」

「そうですね。家で入るのとは全然違いますね。広いので手足を伸ばして入れるのが俺としては最高ですね。家の風呂だと出来ないので」

「そっか。でもゴロウの家の風呂ってそこそこ大きいだろ?」

「そうなんですが、普段は娘と入っているのでどうしても手狭になってしまいまして」

「なら仕方ないな。しかし小夜ちゃんと一緒に入っているのか。ゴロウもお父さんやっているんだな」

「所謂家族サービスですよ。仕事柄危険はつきものですし出来る時にやっておこうかなと思ってまして」

「成程な~。……そういえば小夜ちゃんとも結構会っていないな。元気にしてる?」

「はい。ですが、事ある毎にユノさんに会いたいと言っていますね。仕事が忙しいから無理だと言っても中々聞いてくれなくて少々困っています」

「それは悪い事をしたな。――春にはヴァネッサが和国に来るし、小夜ちゃんも進級とかあって慌ただしいだろうから三月くらいに皆で集まって花見でもするか。()()()()も来月には帰還するらしいから丁度良いんじゃないか」

「ですね。時期的にも一段落した頃合いですし、問題無いと思います。娘にもその旨伝えておきます」

「んっ、よろしく頼むよ」

 ゴロウとの話も一段落した所で横合いからジンが声を上げる。

「んじゃ、酒に関しては俺に一任させて下さい。丁度その頃に新酒が出るんですよ」

「じゃあジンに任せるけど、程々の量にしろよ。前みたいに樽酒を持ってくるなよ」

「うっ……、前向きに検討した上で善処します」

「お前それ絶対に何もしないパターンだろ」

「そんな事ないですよ。たぶん、きっと、おそらく」

「はぁ、取り敢えず節度を持ってくれたらいいから。マジで頼むぞ」

「分かりました」

 一抹の不安を覚えるがここはジンを信用するしかない。釘も差したし大丈夫だろ。

 何かあったらその時に考えれば良いし、取り合えず今は風呂を満喫しますか。

 男三人でゆったりと湯に身体をあずけ温泉を楽しむ。誰も喋らず無言の空間だが気まずいという事は無く寧ろ心地良いくらいだ。だが、そんなマッタリ空間は突如として終わりを告げる。

「失礼しま~す」

 鈴を転がすような声が露天風呂に響いたからだ。三人揃って声の方へ振り向くとニコニコと笑顔を浮かべているスズネの姿が目に入った。当然その身には一切の衣類は無く、身体の前面を隠すようにしてタオルがあるのみだ。普段は片側で髪を一纏めにしているが今は後頭部で一纏めにしている――所謂お団子スタイルだ。そして今にも折れてしまいそうな程華奢な体、新雪を思わせるような肌理細かい白い肌、熱気で少し火照った顔は可愛らしさの中にも妖艶さを感じる。そう、思わず見惚れてしまう程に色っぽい。

「あの、ユノさん?どうかしましたか?」

「あっ、いや何でもない。寒いだろうし湯の中に入ったらどうだ?」

「ありがとうございます。そうしますね」

 トコトコと歩いてきて足先から入り、ゆっくりと身体をお湯に沈めていく。……というか滅茶苦茶距離近くないか?肩と肩が触れそう……というか触れているんだけど。

「はぁ~、気持ち良いです~」

「だな。特に雪が降る中での露天風呂は最高だよ」

「分かります。でも、ユノさんとこうして一緒にお風呂に入っているのが一番ですよ」

「そう言ってもらえて嬉しいよ」

 なんてやり取りをスズネとしているとジンが茶化す様に変な事を言ってきた。

「こうしてみると恋人同士みたいですね」

「えっ……恋人……。ユノさんと僕が恋人……」

 呟くように言ったスズネの顔は真っ赤だった。果たしてそれは温泉に浸かっているからか、将又ジンの言葉が原因かは分からないが。

「と言ってもスズネは男だから無理か」

「そんな事無いよ!確かに身体は男だけど、恋人関係にはなれるしそれに頑張れば子供だって作れるし」

「いやいや、男がどうやって子供を産むんだよ」

「ジンは知らないだろうけど僕は男の娘だから可能なんだよ」

「どんな理屈だよ。というか男の娘だろうがなんだろうが身体の構造的に不可能だろうが」

「はぁ~、ジンは本当に視野が狭くて思考が凝り固まっているね。いい?僕は男であって女でもあるの。それに身体の構造なんて大した問題じゃなくて、出産は可能なんだよ」

「マジか……。マジなのか……」

「うん、本当だよ」

 ジンが驚愕しているが俺も同じだ。なんならゴロウも心底驚いた顔をしているしな。確かにスズネは男の娘という存在で男でもあり女でもある。これは決して両性具有というわけではなく身体は(れっき)とした男性である。ただ心は女性であり普段も女性として振舞っている。ここら辺は非常に難しい問題で和国でも極少数ではあるが存在はしている。他人から見たら異質に見えるだろうし、賛否は分かれるだろうが俺としては本人が納得しているのであれば応援するし、手助けもする。

 とはいえ今のスズネであれば問題が発生しようが一顧だにしないだろうし、なんなら武力で黙らせる事も可能だ。更に親交のある権力者に協力を仰げば社会から抹殺という方法も取れる。……というかスズネに何かあれば俺が黙っていないんだけどね。――っとダラダラと思索に耽っていたが結論から言えばたった一つに集約される。即ち『可愛いは正義』という事だ。

「何が可愛いは正義なんですか?」

「んえっ!?もしかして声に出してたか?」

「はい」

 やってしまった。偶に考えている事が口を衝く事があるがこれは改善しなきゃいけないな。っとまずはスズネにどうやって言い訳をするか考えなくては。

「…………そのだな、男であろうが、女であろうが、男の娘であろうが可愛ければ問題無いよなって考えていたんだ」

「それって僕が可愛いって事ですか?」

「そうだな。身内の贔屓目に見てもスズネは可愛いと思うよ」

「ふふっ、凄い嬉しいです!」

 スズネの顔はもうニッコニッコで、今にも俺に抱き付かんばかり――いや抱き付いてきたわ。うん、胸は真っ平らで完全にまな板状態だがそこは気にしては負けだ。男の娘だしな。

「む~、今僕の胸の事を考えてましたね?」

「いや、当たっているし仕方ないよね」

「当てているんです。確かにぺったんこですけど、僅かに膨らみを感じませんか?」

 んっ……言われてみると確かにフワッとした感触があるような気がする。

「その反応は感じましたね。毎日努力して豊胸マッサージをした甲斐がありました」

「その、なんだ。これからも頑張れよ」

「はい!」

 腕をグッとまげて力こぶを作ろうとするが華奢なため二の腕は水平のままだ。そういう所も可愛らしく感じるが、取り敢えず引っ付かれた状態を何とかしないと理性がマズい。というわけでここは三十六計逃げるに如かず。

「そろそろ俺は上がるな。お前達はのんびり浸かっててくれ」

「「分かりました」」

「はーい」

 ジン、ゴロウ、スズネの返事を聞いた後すたこらと露天風呂を後にしたのだった。


 その後は室内にある風呂を幾つか入り、丁度良い時間になったので上がる事にした。

 浴場を出ると最初にする事はこれしかないだろう。そう、牛乳の一気飲みだ。瓶に詰められた牛乳を一息に飲み干してぷはぁ~。火照った身体に冷たい牛乳が行き渡るこの感じが堪らないんだよ。オッサン臭いかもしれないがこればっかりは止められない止まらないってね。

 さて、やる事も終わったし他の面々が上がってくるのを待つかと椅子に座ろうと思った所で浴場の出入り口からゾロゾロと見知った顔が現れた。

「すみません。お待たせしましたか?」

「俺もさっき出てきたばかりだよ」

「そうでしたか。もうお飲み物は済ませましたか?」

「んっ、牛乳を飲んだよ」

「分かりました」

 ユキといつものように会話を交わす。温泉に来たからと言ってこういったやり取りは変わらないなぁなんて思っているとやけに神妙な顔をしたカスミが唐突に口を開いた。

「あの、ユノさん。スズネもご一緒だったと思いますが何か変な事をされたりとかは無かったですか?」

「ん~、普通に話したり湯に浸かったくらいでカスミが考えているような事は無かったよ」

「そうですか。良かったですわ」

 ホッと胸を撫で下ろしているが、ジンやゴロウも居るのに流石に大胆な行動には出ないだろう。少しばかり直情的な面がスズネにはあるとはいえさ。

「本来であれば私もユノさんと一緒に入るのが一番なのですが、難しいですし……」

「うん、それはいくらなんでも駄目だな。というかそこまで心配しなくてもスズネだって大人だし節度を持った行動は出来るだろ」

「それは甘いですわ。スズネはああ見えて大胆ですし、相手がユノさん限定になりますけれど積極的になりますから。お分かりだとは思いますが気を付けて下さいね」

「ありがと。心に留めておくよ」

 カスミからそれとなく注意を受け取った後、タイミングが良いのか悪いのか話題になっていたスズネがやってきてしまった。

「何を話してたんですか?」

「えっと、旅行とかに来るとつい羽目を外してしまいがちだから注意しようなって事を話してたんだ」

「そうなんですね。危ないのはカスミあたりですかね」

「ちょっとスズネ。なんで私がそんな子供みたいな真似をしなければいけませんの?」

「だって、ユノさんの事になると見境が無くなるでしょ」

「それは貴女だって同じでしょ」

「そうなんだけど、度合いが違うと言うかそんな感じ」

「むぅ……」

 一触即発の空気が漂いだしてきたのでここらで止めないと面倒な事になる。仕方ない。

「そこまで。折角リフレッシュに来たのに剣呑な空気で残り二日を過ごしたくないだろ。というわけではい仲直り」

「ごめんなさい」

「すみませんでした」

「分かれば宜しい」

 スズネもカスミも納得してくれたようで何よりだ。さて、これから今日も含めて三日間大いに楽しもう。


 宿に居る間普段できない話をしたり、卓球や自然豊かな景色を見つつ散歩したり、宿の主人の厚意で時間限定で混浴にしてくれて女性陣が全員男湯に入ってきたりと本当に色々あったが充実した時間を過ごせたと思う。……ハプニングが多かった気がするが多分気のせいだろう。

 何はともあれ楽しかった時間はあっという間に過ぎ、今日帰る事になる。

「ユキ、忘れ物とかは無いか?」

「はい、問題ありません。あとは部屋の片付けを少々行って終わりですね」

「そっか。じゃあ俺も手伝うよ」

「ありがとうございます。ではそちらの部屋をお願い致します」

「了解」

 泊った部屋の掃除をするのは昔からやっていて、数日とは言えお世話になったのだから汚くして帰りたくないし立つ鳥跡を濁さずという諺もあるくらいだからな。人によってはそんなの宿の人に任せればいいじゃんという方も居るだろうが個人的にはあまり感心できない。

 まあ、俺の場合は宿の主人を含めて長い付き合いだからという理由もあるが。まあそれは置いておいて、今頃他の面々も替える支度をしていたり俺達と同じく部屋の掃除をしているのだろう。

 などと他愛も無い事を考えつつ手を動かしていたらいつの間にか終わっていた。

「ユキ、こっちは終わったよ」

「こちらも終わりました。――では玄関まで行きましょうか」

「んっ」

 ユキと二人で玄関まで行くとそこにはもう俺達以外が全員集まっていた。

「悪い。待たせたか?」

「いえ、私達も今来た所ですので」

「そうか。じゃあ、行こうか」

「はい」

 こうしてCODE零の隊員達との二泊三日の旅行は終わりとなる。明日からはまた仕事が開始するがまあ、これと言って何かあるわけじゃなくいつも通りの日常が続くのだろう。というか休み明けから問題が発生したらそれはそれでいやだしな。――ただ、何となく胸の奥がザワザワとするのはなんでだろう?一瞬嫌な考えが浮かぶが頭を振って追い出した。

「ユノ様、どうか致しましたか?」

「ちょっと嫌な胸騒ぎがしてさ。杞憂だとは思うけど」

「ですが、ユノ様の第六感はかなり鋭いですし高確率でなにか起こるのではないでしょうか」

「うぐ……、確かにユキの言う通りなんだけど休み明け早々に面倒事に巻き込まれるのは御免だよ」

「その時は私もお手伝い致しますし、皆さんもいらっしゃいますから」

「そうだな。俺一人でどうにかする必要もないし皆を頼らせてもらうよ」

「はい」

 この時は軽く考えていたが、予感が当たっているとはこの時は露とも思わなかったしあんな大事になるとは予想すらできないだろう。全くもって人生とは儘ならないものである。

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