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学園への訪問

 リランドとキャサリンはビィことシルビィが眠る(ふりをする)乳母車を押しながら流彗星号の搭乗口から惑星モータビアの宇宙港へ降り立った。

 この宇宙港はソロリティ学園の外部との入り口を兼ねているためか至る所に監視用のカメラを見る事が出来る。宇宙港から宇宙エレベーターまでのオートウォークの両側には等間隔にソロリティ学園の紋章が並べられていた。


 オートウォークを終点には入港審査書があり、ここで入港者を審査する様だ。ソロリティ学園らしく入港者を審査する職員も女性しか見当たらない。

 審査を担当する職員がリランド達に恭しくお辞儀をする。


「恐れ入りますが、身分証明書のご提示をお願いします。」


「これを。」


 リランドとキャサリンが左手首に取り付けているウェラブル端末の腕輪を職員の前にある端末にかざす。

 腕輪には生体認証機能や偽造防止機能が付いており、身分の証明に必要なデーターは全て登録されている。この腕輪をかざすだけで全ての身分証明が可能になっていた。


「確認しました。リランド・ダセルド様、キャサリン・ダセルド様、この度はどの様なご用件でソロリティに来訪されたのでしょうか。」


 リランドとキャサリンの左手首に装着された腕輪は当然、ビィが中身を改竄している。

 腕輪に付いている偽造防止はあくまで人類レベルの偽造防止であった。さらに進んだ技術を持つ異星人の端末であるビィに偽造防止は通用しない。


 審査の職員に対してキャサリンが軽く笑みを浮かべた。


「今回の訪問は私たちの娘をソロリティに入園させる為の見学です。夫はソロリティに関しては一般的な知識しか持ち合わせていないのでどの様な場所か判らず入園には不安を覚えるそうなのです。その不安を払拭させる為に学園の見学を申し込んだのです。」


「了解しました……。」


 検査の職員は端末を何度か操作しリランドとキャサリンに一礼する。


「ようこそ、ソロリティへ。お帰りなさい、ダリアの君……。」


 一礼する職員に対しキャサリンは右手を胸に当て軽くお辞儀をする。その姿を見た何人かの職員は顔を赤らめている様だった。


(……ダリアの君って何だ?)


リランドは職員の言葉にすこし疑問をもつ。


(ま、よくある愛称ニックネームだろう。)


 そう気楽に考えるとビィの乗る乳母車を押しキャサリンと宇宙エレベーターに乗り込んだ。


 モータビアに建設されている宇宙エレベーターは半開放型になっていてエレベーターから地上の様子が見える方式だ。そのエレベーターから見えるモータビアの地上は青い海一色の天体と言っても過言ではない。その海には白い筋がいくつか見えた。


「キャサリン、あの筋の様な物は何だ?」


「あれは海底特急マリンエクスプレスよ。モータビアの各島を海底特急マリンエクスプレスで結んでいるの。ここの主要な交通手段ね。」


海底特急マリンエクスプレスねぇ。津波の心配とかは無いのか?」


「モータビアに月はないので地殻変動が極めて小さいのよ。私が知る限り津波が起きた記録は無いわ。」


「なるほど……。」


 宇宙エレベーターはリニアモーターで昇降し、時速2000kmで稼働する。モータビアの地上に降りるまで約十二時間掛かってしまう。長時間の移動を行う為、利用者にストレスを与えない為に豪華客船と同じ作りになっていた。

 その宇宙エレベーターの中でリランドとキャサリンはしばらくゆったりとした時間を過ごすのだった。

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