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遺産相続問題

 この時代、人類の寿命が伸びた事もあり失踪宣告から死亡認定までには二十年という月日が必要となる。死亡認定を受けた時点でその人物の遺産相続が発生するのだ。


 基本的に遺産相続は死亡者が所属している星系の法律によって定められる。

 カークランドの場合は自前の星系であるが連合の所属であるので太陽系連合の法律によって定められる事になっていた。

 太陽系連合の法律では遺産相続は基本的に遺言により定められ、その中でも最も間違いの無い遺言書は公正証書遺言、公証人関与の元で作成された遺言である。その次は死亡者が自ら作成した自筆証書遺言、ただしこの遺言は死亡者が書いたと証明が必要な上、新たな遺言が出てきた場合、前の遺言は無効になる。どの形式の遺言も無い場合は法律に基づいて血縁者に分配され、血縁者がいない場合は全て国庫(この場合は連合)に納められるのである。


 この辺りの法律は時代が変わってもあまり変わる事が無いらしい。


 カークランドから遺産の話を聞いたサバーブは深刻な事態になっている可能性を予感した。


「異星人の遺産か……カークランド提督は遺言を書かれましたか?」


「当然、書いている。航海に出る場合は必ず書く様にしている。」


 カークランドの言葉にサバーブも同意し頷く。


「我々宇宙船乗りにとって常識とも言える事ですね。その遺言には遺産を息子さんに譲ると?」


「いや、半分だ。半分を息子のリチャードに、残りの半分を息子の嫁のブレンダと義理の甥のジーンと顧問弁護士のロバートに、顧問弁護士は預ける形になるのだがね。」


 遺言の相続人の名前を聞いたリランドがため息を吐く。


「遺言の相続人は全員お亡くなりになっているな……と言う事は誰が相続するのだ?キャサリン、その辺りは記事に出ていなかったか?」


「それは判ります。亡くなったリチャードとブレンダの間には一人娘がいます。たしかアリシア・カークランドと言う名前で年齢十五歳、今はソロリティ学園に在籍しています。」


「ソロリティ?あの有名なお嬢様学園じゃ無いか。たしか入学すれば卒業まで星系を出る事を禁じられると言う男子禁制の乙女の園!」


「うーん。若干違うけど、大きく間違っているとは言えないわね。確かに関係者以外の男性は星系内に入る事は出来ないし……。」


「そうなのか?キャサリン。」


「間違いないわよ。私はこう見えてもソロリティの出身ですから。」


 キャサリンは少し照れた様な表情で胸を張り答えた。


「ソロリティは八年制の学園なのでアリシア嬢が入学したのは丁度七年前、八歳の時ね。学園自体、親が入学を希望しなければ入る事は出来ないので両親であるリチャードとブレンダも希望したと言う事になるわね。私の場合は母親もソロリティ出身だったという事もあるのだけど……。」


「カークランド家の場合、ソロリティに入学するのは考えられない?」


「そうね、カークランド家なら軍か経済関係の学校を選び四年制が普通だわ。それを考えると八年制は考えられない事なのよ。」


「と言う事はリチャード達が何かの目的でソロリティに入学させたという事か?」


「そうね、少しソロリティについて説明しましょうか……。」


 ―――――――――――――――


 キャサリンがソロリティ学園について説明する為に流彗星号のメインパネルを使っていた。


「まずソロリティ学園は学園の名前にもなっているソロリティ星系の惑星、モータビアにあります。モータビアは星の九割が水で覆われている海洋惑星よ。」


 ソロリティ星系内にある惑星モータビアから線を引くとその先に丸い円盤状の物を描いた。


「これが惑星モータビアの玄関口、宇宙港。宇宙港はここに一つしか無いわ。逆に言うとここ以外は惑星に降りる事は出来ません。関係者以外の侵入を許さない様になっています。ある意味、難攻不落の惑星とも言えるわ。だからこの惑星に入学させたと考えられないかしら?」


 キャサリンの言葉を聞きサバーブは膝を叩いた。


「そうか!だから提督は遅かったと発言したのか。提督が遭難する前から相続の問題はあった。違いますか?」


 サバーブがカークランドの方を見ると静かに頷いていた。

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