一難去ってまた一難?
流彗星号がレルネー1に帰還するに当たって一つ問題があった。
長く行方不明だった“ロイ・カークランド元提督”が救出されたとなれば注目の的になる。これは彼ほどの有名人なら避けられないことのように思える。
そして世間、特にマスコミの注目は“行方不明していた彼を助けたのは誰か?”となる可能性が極めて高い。だとすると今まで公にしてこなかった流彗星号の秘密が各方面に暴露される可能性がある。
流彗星号の秘密が明らかになれば彼らが望む様な生活を送れる可能性は無いだろう。その為、今後の方針にサバーブ達は頭を悩ませていた。
「流彗星号が各方面に明らかになるとおそらく軍に収奪……いや徴収と言う形になるだろう。そうなれば売り払う方が良いかもしれない……ビィ、流彗星号に私たち以外の人員で操縦可能か?」
サバーブの質問に流彗星号の人工知能であるビィはすぐさま答える。
「無理ですね。流彗星号の正規乗員に登録されているのはあなた方三人とミカエルさんですね。非正規乗員を何名か追加出来ますが正規乗員が乗員していない場合、動かす事は出来ません。」
「動かす事ができない?必要な正規乗員の数は?」
「過半数ですね。」
「過半数……まて、正規乗員にミカエルさんも入っていたな。と言う事は流彗星号を動かすのに必要な人員は今乗っている私たち全員か!」
「そう言う事になりますね。」
サバーブとビィのやり取りを聞いていたリランドがビィに問いかけた。
「それだったら正規乗務員の変更は出来ないのか?ここで出来ないのなら例の場所へ行けば……。」
リランドの質問にビィはゆっくりと首を振る。
「それは出来ません。まず、正規乗務員の変更は流彗星号……つまり私に権限はありません。正規乗務員の変更はg@yt@tylgb4にて可能ですが、現在あなた方には入港許可が下りていません。」
「?入港許可が下りてない?つまり?」
連宋がビィの代わりリランドの疑問に答える。
「わしら三人がそろわなければ流彗星号は動かせない。そしてその条件を今は変える事はできない……と言う事だ。」
「じゃあ、サバーブの考えと合わせると、流彗星号を徴収されるだけで無く……。」
「おそらく……いや、確実にわし達も軍に復帰だな。」
それを聞いてリランドは頭を抱えた。
「おいおいそれじゃ俺たち軍に逆戻りか?又あの生活か……。」
嘆くリランドにサバーブが声をかける。
「リランドそれは違うな。私たち三人がそろわなければ流彗星号は動かせない。つまり、私たち三人が居なければ流彗星号を調べる事は出来ないとも言える。その為にも私たちが死ぬ事があってはならない。」
「と言う事は……。」
リランドはサバーブの話にゴクリとつばを飲み込む。
「我々に待っているのはおそらく退屈な生活。いわゆる飼い殺しだ。」
「……最悪だ。」
サバーブの話を聞いたリランドは自分の目の前の操作パネルに突っ伏した。
「最悪……確かにその通りだ。そうならない為にはカークランド提督を秘密裏に帰還させる事なのだが……ビィ、カークランド提督の体の具合はどうなっている?」
「治療は終了しています。現在、客室に設定された部屋で休息中です。」
「……休息中か。目が覚めたら教えてくれ。カークランド提督と話をする必要がある。」
ビィにそう伝えたサバーブが周囲を見渡すとリランドや連宋はサバーブに同意する様に頷いていた。




