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海賊襲来

 話はサバーブたちが惑星クラピアに降下した時まで遡る。

 丁度その頃、リピーア星系外周部で獲物を探していた海賊が乗船する駆逐艦、いや海賊船と言うべきだろう。その海賊船ディアボロスも星系内の隠れ家に帰投しようとしていた。


「今日は獲物がありませんでしたね、ブリック船長。」


 手下の一人からそう言われたブリックは船長席に深く腰を下ろし背中を預ける。


「全くだ。もう少し足を伸ばせれば少しはましなんだろうが……ん?おまえ何時までレーダーで同じ場所を見ている!」


 ブリックは先ほどからレーダーを見通づける手下を怒鳴りつけた。

 周囲を警戒するのなら全方位を観測するべきなのだが、この手下は一つの場所を注視していたのだ。


「す、すみません、ブリック船長。さっきの飛行物体が気になった物で。」


「飛行物体?……ああ、あれか。光速の40%で動いていた奴な。そいつはリピーアの中にでも突っ込んだのか?」


「いえ、リピーアでは無くクラピアの方です。」


「クラピアか……仮に無事だったとしてもクラピアにはあのデカブツが居るからな。あの程度の大きさなら飲み込まれて終わりだろう。」


 レーダーを注視していて手下はブリックの間違いを訂正する。


「いえ、ブリック船長。クラピアの方へ行っただけです。あの飛行物体、うまい具合に周回軌道・・・・に乗ったみたいで……。」


 手下の言葉を聞いたブリックは船長席から勢いよく起き上がった。


「おい!おまえ!今なんて言った!?」


「え?あ……“クラピアの方へ“と。」


「そこじゃない!その次だ!!」


「周回域道に乗ったみたい……。」


「それだ!でかしたぞ!」


 ブリックは大声を上げて手下を褒める。


「いいか、星系外からの飛行物体が偶然惑星の周回軌道に入る事はある。だがその場合の速度はそれほど早くない。まして光速の40%と言う速度の飛行物体が周回軌道に入る事はあり得ない。」


「……と言う事は……。」


 話を聞いていた手下連中がゴクリとつばを飲む。


「直前で速度を落とし周回軌道に入った。つまりあの飛行物体は生きている。そして光速の40%と言う聞いた事も無い様な速度を出す船。どこかの研究所の実験船の可能性が高い。だから誰も訪れない様なこんな宙域で密かに実験をしていたと考えられる……。」


「だとすれば、あの船のエンジンを積めば……。」


 手下の言葉を聞いたブリックはニヤリと笑い舌なめずりをする。


「野郎ども!狩りの時間だ!あの船をいただくぜっ!!」


 拳を振り上げブリックは手下を鼓舞するのであった。


 ―――――――――――――――


「さて、地上の走査は終了しました。特に変わった物はなさそうですね。後は警戒の為にレーダーの方向を惑星外に変えましょう。」


 ビィがメインモニターを見つめると流彗星号はその場でゆっくりと回転ローリングする。

 その回転ローリングが半分ぐらい進んだ時、流彗星号に急速接近する船がレーダーに映し出された。


「レーダーに反応、これは駆逐艦ですね……と言う事は海賊でしょう。補助エンジンはおろか斥力フィールドの半壊、私は攻撃許可を持っていません。これは緊急要請をするべきでしょう。」


<緊急要請>

<流彗星号は海賊なる船により襲撃の可能性あり。反撃の為の攻撃許可を求む。また、流彗星号は補助エンジン三基損失、斥力フィールド半壊の為、補給を要請する。>


 ビィが定時連絡先に緊急要請を行うと、五分と掛からず返事がきた。


<対応>

<案件1:攻撃は許可できない。観察対象者に援助を求めよ。>

<案件2:破損部品の設計図を送る。>


「……やはり駄目ですか。どうしましょう……観察対象者に援助を……。」


 その時、流彗星号にクラピアからの通信が入った。

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