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流彗星号乗務員会議

 “救難信号の発信源をたどる。“次の目標が決まればサバーブたちの行動は早い。

 わずか一週間足らずで着陸艇や必要な物資の手配を終えていた。後はそれらの納入を待つばかりである。

 サバーブたちは一息付けるこの様な日は酒場“ローバー”へ飲みに行く。

 しかし、今日は三人とも流彗星号の出入り口の扉をロックすると船橋ブリッジへ集まった。

 船長席の上には揺り籠が置かれ中では乳児がすやすやと眠っている。中の乳児が眠っている事を確認したサバーブは口を開いた。


「ではこれより第一回、流彗星号乗組員会議を行う。今回の議題は二つ。その内の一つ目は流彗星号が現在停泊中のドックについてだ。」


 そう言ったサバーブの目が船長席上の揺り籠に目が移る。


「判っていると思うが流彗星号には秘密が多い……と言うよりも秘密だらけだと言える。」


 サバーブの言葉に連宋は頷きながら応える。


「確かに……わしも着陸艇納入の時に誤魔化すのに苦労したからな……。」


 連宋は着陸艇納入の際、船倉の周囲を足場で囲い修理を装った。そのときの足場を組み立てるのに連宋は丸一日制御端末にかかりっきりだったのだ。


強化防護服アーマースーツ三機を積んだ上、余裕があり大気圏離脱できるタイプはかなり大きな物になるからなぁ……。」


 実際にやってきた着陸艇は流彗星号の船倉の一つをほぼ使い切っている。その為、強化防護服アーマースーツ三機を既に着陸艇に積んだ状態になっていた。

 その様な大きさの物をこっそり流彗星号に積み込む事自体かなり目立つ行為なのだが、幸い流彗星号が係留しているドッグはレルネー1の外れにある為、今のところ流彗星号の事は周囲にばれていないようだ。


「他にもある。キャサリン少尉だったか……隔日にやってきたよな、リランド。」


 そう言ってサバーブはリランドに話を振った。当のリランドは腕組みをして大きく頷いている。


「確かに。あれは誤魔化すのに大変だったな。やってきたキャサリン少尉を流彗星号にあげるわけにはいかないし……。なんとか近くの店へ移動するのが精々だったな。」


 頷くリランドに連宋が声をかける。


「あ……だからといって酒場“ローバー”はないだろう?」


「いや、連宋。ローバーは昼間喫茶店なんだ。それなりに人が入る店だぞ?マスターの出すコーヒーは絶妙なブレンドでな……。」


「ほほう、そうなのか。今度行ってみよう。」


 脱線しそうになるのをサバーブが咳払いをして止める。


「それよりも、ここのドックについてだ……。私はここを買い取って改造しようかと考えている。」


「「ほほう?」」


「外から見えないように完全密閉式に変えて、ついでに応接室を作ろうかと思うのだがどう思う?会社ならあってもおかしくは無いだろう?」


 実際、レルネー1にある個人経営の会社のドックはその様な形態になっていた。リランドはサバーブの言葉に同意し疑問点を述べた。


「確かにそうだな……だがドックは買えてもドックの改造費は足りるのか?」


「ドック自体の購入金額も前に提示された金額よりも大幅に安くなった。これもこのドックを購入していた実際の主がトルダだったからだ。その他に海賊捕縛の賞金も手に入りドックの改造費もまかなえる。」


「費用は十分なのか……。後は納期だな……。」


「ドック改造の納期は一ヶ月。おそらく救難信号を探索して帰ってくると改造ドック出来ていると言ったところだろう。」


「ふむ、何かあっても改造ドックが使えると言う事だな。なら俺は賛成だな。」


「連宋は?」


「わしも問題は無いと思う。」


「よし。なら発注をかけるぞ。」


 サバーブはリランドと連宋の意思を確認すると端末を操作した。


「次に救難信号の探索についてだ。知っての通り救難信号はリピーア星系から出ている。この星系は未開発星系だけあって安全と確定した標準航路は無い。だがしかし……。」


 サバーブは端末を操作しメインスクリーンに予定の航路を描く。


「レルネー1から暗黒宙域をかすめる形で暗黒宙域からリピーア星系へ航行するのが最も早いコースだ。」


「標準航路がないから燃料は節約できるにこしたことは無いからな。」


 リランドの言葉にサバーブは大きく頷く。 


「ただこのコース、暗黒宙域をかすめるコースだけあるのか無事に通り抜けたという記録がない。問題はそこだな。」


 サバーブはそう答えると肩をすくめた。

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