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積んでいない?

 流彗星号の届くメールはまず船内のサーバーに保存され、そこから振り分けられる。当然、流彗星号の人工知能の知ることになる。


<トレーダー協会からの秘匿メールですか……。ふむふむ、”流彗星号が提出した予定航路の近傍ではここ一月の間に行方不明の船が二隻出ています。”……外見は流彗星号と同じですか。ま、この船は中身が違いますけどね。”二隻とも同じ様に何も積まず出港していたので注意してください。”……とりあえずメールは宛先のリランドさんの方へ転送しておきましょう。>


 リランドはメールを受け取り確認するとサバーブや連宋に声をかける。


「協会のレイチェル嬢から秘匿メールが来たのだが、この内容おかしくないか?」


 サバーブと連宋は端末に転送されたメールを確認する。連宋は顔を上げリランドに同意する。


「たしかにおかしいね。”二隻とも同じ様に・・・・・・何も積まず”と内容だとこの船には積み荷が無いと言うことになるね。」


「わしが今モニターで確認したが、番号札“XGP15A2“のついた積み荷はある。何故レイチェル嬢は”同じ様に・・・・・・何も積まず”と書いて送ってきたのだろうか?それも秘匿通信で……。」


「「うむ……。」」


 ―――――――――――――――――――――


 サバーブ達三人の様子を観察していた人工知能は協会のサーバーに接続し流彗星号の積み荷について再度確認する。


<流彗星号への積み荷の情報は……ありませんね。流彗星号には積み荷が無いことになっています。変ですね……積み荷の番号は協会の番号なのですが?>


 人工知能は逆に番号を使って検索を始めた。


<この番号の積み荷は……?すでに出発しています。しかも違う船に積まれていますね。流彗星号の積み荷自体を調べましょうか……それはこの船の乗組員に任せたほうが良いでしょう。そうですね、今はこの情報を秘匿メールで送っておきましょう。>


 積み荷の情報を秘匿メールとしてサバーブ達三人に送る。


<さて、メールを見てどの様な行動を取るのか……よく観察しなければ。>


 ―――――――――――――――――――――


 サバーブ達は疑問の残る状況で出発していいのか躊躇していた。レイチェルにメールの内容を問い合わせれば直ぐに解決するように思える。しかし、メールが秘匿メールできたと言う事は問い合わせても答えてくれない可能性が高い上、何らかの事件や問題が発生しレイチェルが巻き込まれる可能性が高い。

 リランドは腕組みをしながら自分の座席で唸っていた。


「流石に直接問い合わせるのは問題があるな。……メール?……今度も秘匿メールか。またレイチェル嬢からか?……サバーブ、連宋、また秘匿メールが来たが……。」


「秘匿メール?私や連宋のメールに転送してくれ。」


「いや、サバーブ。わしの所にも来ているからサバーブの所にも来ていないか?」


「?……来ているな。何だ?このメールは?連宋わかるか?」


「これは積み荷の情報だ。何々……番号“XGP15A2“の積み荷はオケアヌス星系に出発したことになっているぞ?」


 連宋の言葉に反応したのかリランドの目が光る。


「出発した積み荷……積んではいない……なるほど、そう言う事か。連宋、修理用の資材はどのくらいある?」


「修理用?それなら上部船倉カーゴベイに5tほど置いているぞ。」


「5tか……ま、何とかなるだろう。」


 リランドは指を小刻みに動かし何かを暗算しているようだった。

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