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流彗星号改?

 気密ドアを開けるとその場にいた四人の動きが静止する。

 ドアの向こうには見慣れた小汚い通路ではなく今作り上げたばかりの様な美しい通路。薄暗い照明ではなく周囲を明るく照らす照明。何となく淀んだような空気ではなく自然豊かな惑星で吸うことの出来る空気。

 正に別世界と言える、似て非なる場所がそこにはあった。

 しばらくの沈黙の後、リランドが口を開いた。


「これ流彗星号だよな?どうなんだ、サバーブ?」


 サバーブはすぐさま気密ドアの近くに刻印されている認識番号を確認する。


「“TKOG-CTRY-DAG7”間違いない、流彗星号だ。だがこの変わり様は何だ?外側は全く変わっていないぞ?」


「俺達が離れていた六十日の間に一体何が……。」


「……何にせよ帰るためには中に入るほかはない。」


 サバーブの言葉にリランド、連宋、ミカエルは黙って頷き、探索時と同じ隊列で中に入ってゆく。


 流彗星号の内部もすっかり様変わりしていた。

 まず、メイン通路の幅が以前よりも広くなった。その通路の両側に部屋が三部屋ずつ並び合計六部屋。

 以前はメイン通路に対して同心円状に部屋が三部屋、それが二段あって合計六部屋。部屋数は同じだが配置が違う。

 それぞれの部屋にあった私物はそのまま部屋に置かれているが部屋自体は以前よりも大きい。それに四部屋にしか置いていなかった自動調理器が自動調理機らしい物に変わり六部屋全てに置かれている。

 船橋ブリッジも以前とは座席の配列は変わらないが全て真新しいものに変わっていた。

 リランドはなにか思いついたのか駆け足で船尾の方へ向かう。その後ろからサバーブが声をかける。


「どうしたリランド?」


「船倉に俺の強化防護服アーマースーツがある。それが心配だ。」


「あ、ワシも行くよ。ワシも工具類を置いているし……。」


 リランドを追いかけるように連宋は船倉へ向かった。それと同時に流彗星号が軽く揺れる。


「何だ?今の振動は?」


 サバーブは素早く操縦席に着きパネルを操作する。幸いなことにパネルの操作方法は以前と変わりない様だ。

 サバーブが急いでパネルを操作し流彗星号のメインスクリーンに周囲の状況を映し出す。

流彗星号のメインスクリーンには周囲がゆっくりと動いているのが映し出された。


「……流彗星号がドックを離れた?」


 宇宙港ドックに入った時の動きとは逆の動きで宇宙港ドックから離れてゆく。


「自動で宇宙港ドックに入港したから出港も自動か……。ここダイソンスフィアから出るのも自動かな?」


 流彗星号は宇宙港ドックを離れ出入り口の方へゆっくりと動いてゆく。するとサバーブの願いがかなったのか出口がゆっくりと開いてゆくのが見えた。

 そうなると後は簡単だ。光子帆船ソーラシップと同じ要領で流彗星号は進んでゆくと予想できる。


(そう言えばリランドたちが部屋を出ていってかなりの時間になるがまだ戻らないのか?)


 サバーブがそう考えた時、船橋ブリッジの出入口からリランドが顔をのぞかせた。


「ん?船が動いている?……サバーブ済まないが船倉まで来てくれ。」


 サバーブは言われるままリランドの後について行く。

 部屋が並ぶ通路の奥にたどり着くとT字路になっていて目の前に後部カーゴベイに通じる扉があり、左側には下りの梯子、右側には上りの梯子があった。


「梯子?今までこんな物は無かったよな?」


 首を傾げながら後部船倉カーゴベイの扉を開けようとするとリランドが制止する。


「サバーブそっちじゃない。船倉カーゴベイはこっちだ。」


 そう言うとリランドは右側の階子を小気味良い音を出しながら登っていった。

 右側のはしごを十mほど登った先が船倉になっていて幅が五十m、高さが二十m、奥行きが五十mのかなり大きな部屋になっていた。

 その部屋の奥に近づくと三つの物がハンガーに格納されているのが見える。

 高さ二mほどの人形、外装が微妙に違う強化防護服アーマースーツが三着並んでいた。


強化防護服アーマースーツが増えた?」

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