謎の地球型惑星
連宋は流彗星号のサーバーを使い惑星情報を検索していた。
これは万が一、この惑星の所有者がいた場合の対策だ。もし仮に所有者がいた場合、事前予告なしの接近は紛争に繋がることがあるからだ。
「惑星データー確認……惑星の登録情報なし。」
リランドは連宋の声を聞き頷きながらサバーブに声をかける。
「当然だ。こんな所に地球型惑星があるとはだれも知らないだろうからな。どうする?」
サバーブはしばらく考え込むと連宋に次の指示を出した。
「惑星自体の情報が欲しい。あと地上観測用のドローンは出せるか?」
「了解!大気の分析は反射スペクトルの分析結果があるから良いとして、大気圧測定にはドローンが必要だ。よし、O2-K0ドローンポッドを放出する。」
連宋がパネルを操作すると流彗星号から球形のドローンが放出された。ドローンは惑星の大気に触れると熱で真っ赤になりながら惑星に下降してゆく。
「パラシュート展開までしばらく時間がある。今の所判っている惑星のデーターをメインスクリーンに出す。」
連宋はパネルを操作し惑星のデーターをスクリーンに表示させた。そのデーターを見たサバーブが驚きの声を上げる。
「直径:13,200km 自転周期:20.57時間 自転軸は銀河中心軸に対して直角 大気成分:窒素72% 、酸素20% 水圏:85% 表面温度:赤道付近 308K、極付近 164K 何だ?この惑星は?」
「おいおい、308Kは海水浴の温度だぞ。それに水圏85%?こんな所にリゾート惑星があるのか?」
スクリーンに表示されたデーターはリゾート惑星のデーターと酷似していた。そのデーターを見てサバーブとリランドが唸っていると連宋が二人にドローンの状況を伝える。
「ドローンパラシュート展開……観測開始、観測カメラの映像をスクリーンに表示させる。」
ドローンからの映像は見事なまでに真っ暗な映像だった。連宋は素早く操作すると映像を遠赤外線の物に切り替える。
真っ暗だった映像は雲らしい物や陸地の形が灰色の映像に切り替わった。それを見たリランドは思わず声を出した。
「雲があり海があるな。それに小さいながらも陸地も見える。これで太陽があれば有数のリゾート惑星だぞ。」
「残念ながらその太陽がない。連宋、ドローンの高度は何メートルだ?」
「今2千mだ。サバーブ、何かいるようだぞ。」
連宋がドローンに搭載されている観測用のカメラを遠隔操作するとカメラ前を灰色の物が横切る。
「今の映像をもう一度、今度はスローで映すよ。」
再度移された映像にはクラリネットの様な姿の細長い胴体を持ち、二対ある四枚羽のような物を回転させながら縦に飛ぶ奇妙な生き物が写っていた。
「見たことのない生き物だな。連宋、陸地の方には何がある?」
連宋がドローンのカメラを陸地の方向に向け仮面を拡大してゆく。
「キノコの様な円盤状の物が生えているね。動かないところを見ると植物のようなものかな?」
拡大された画面にはキノコテーブルの様な物が映し出される。テーブル状のものは表面が滑らかに見え、上を向いた状態で微動だにしない。
「……確かこの惑星のような暗い星でも温室効果ガスが十分に存在し、地熱が高ければ生物は存在する。たしかあれは地熱を吸収する器官が地面の方向を向いていた。しかしこの惑星では吸収する器官が上を向いている……つまり、エネルギーを上方向から取っているということだ。」
サバーブは操縦席の椅子にもたれかかり腕を体の前で組んで思案する。
「温度が高いのはどうやら温室効果ガスの割合が高いからだ。しかし、地熱を溜め込むにしては惑星自体の温度が低い。それなのに何万年も温度が下がらないのは……。」
考え込むように黙ってしまったサバーブを見た三人がゴクリとつばを飲み込む。
「どこかに熱の供給源があるに違いない。それもここから遠くない所に。」
明日、明後日の更新はありません。




