エピローグ 人類星系連邦の樹立
連合軍が太陽系からイラメカ帝国を退けて一月後、イラメカ帝国との間に終戦協定が結ばれた。
虜囚にあった帝国軍少将ヴァナルガンドがその調印にサインをした時、ガックリと肩を落とし項垂れていたという。
この終戦協定によってイラメカ帝国軍が縮小、貴族階級は解体された。
貴族階級が解体された事で一部の貴族階級の中には協定を不服とし独自の星系国家を宣言。彼らは自らの権力を誇示する為と軍の整備の為に住民から更なる搾取を行う。
しかし、特に搾取がひどかった星系では住民の一斉蜂起が起こり残っていた星系軍と対立、多くの血が流される。
事態を重く見たイラメカ共和国軍のウォーデン中将は事態の鎮圧に乗り出し多くの貴族階級が粛正された。
貴族が支配していた星系の多くが住民の手に返された事で帝国は解体し数多くの星系国家が誕生する事となったのである。
そしてさらに半年が過ぎた。
ブラックホール化した太陽系に連合軍の拠点を置く事は出来ない為、急遽拠点の設置が急がれた。
新しい拠点は太陽系から一番近いバーナード星が候補に挙がったがイラメカの攻撃で住民が全滅しているので候補から外され、イラメカ帝国の暴挙のモニュメントとして残される事になった。
そうして拠点が設置されたのは連合軍の最初の合流地点であるラーン星系である。
ラーン星系の主星である恒星ラーンは恒星として太陽にほぼ近い性質を持っていた。その為、地球からの入植者も多く人類が移住した星系の中で最も発達した星系である。その星系に連合軍の新たな拠点が置かれた事は必然であったと言えるだろう。
その星系ラーンの首都が置かれた惑星エギルでの新たな調印式が行われようとしていた。
調印の壇上にはロイ・カークランド提督とラーン星系の首相アンデルス、オケアヌス星系の首相ムトウの姿が見えた。他の星系からの参列者の中にイラメカ星系共和国の代表としてウォーデン中将の姿もある。
公式文書への調印が済み参列したそれぞれの者が握手を交わすとカークランドが演説の壇上に立ち演説を始めた。
「……我々連合はイラメカ帝国からの侵略で多くの星系が傷つき、多くの人民の命が失われた。これは未だかって人類が経験した事のなかった大虐殺であり許しがたい暴挙である。
しかし、その虐殺の罪はイラメカ帝国全国民が負うべき物であるか?
答えは断じて否である。
大虐殺という暴挙はイラメカ皇帝が命じた事でありその責任は皇帝自身とそれを止める事が出来なかった側近にある。裁かれるは彼らでありイラメカ帝国の大部分を占める国民ではない。
そして今、大虐殺を指示した皇帝や側近、貴族階級の者は倒れた。これも連合の諸君の絶え間ない努力と奮闘のおかげである。
しかし、昨今の連合周辺の状況を考えるにあたり平和になったとは言いがたい状況、蓬莱共和国や炉マヌス帝国が虎視眈々と覇権を狙っている状況である。また、その状況が続いていくであろう。
我々はこれから始まる厳しい時代を生き抜く為にもお互いに手を取り合い生き延びる必要がある。」
「私はここに”人類星系連邦”の設立を宣言する!」




