エピローグその2
オーガスタはオービタル・リングの司令室で大型モニターに映し出されたイラメカの軽巡洋艦”アギオス”が轟沈するのをじっと眺めていた。
アギオスは小爆発を繰り返しながら周囲に飛び散った金属片がオービタル・リングの外殻に衝突し発光する。
爆発する映像が流れる中、オーガスタは秘書のミュアに尋ねた。
「……彼らの収納状況はどうなっている?」
「帰還者はサンデルス軍曹以下三名。隊長であるマルス中佐のカプセルの行方は判りません。」
「回収出来ないのか?」
「マルス中佐が乗るカプセルの位置情報が測定できないので回収は絶望的かと考えます。」
「そうか……たしか高級カプセルにはコールドスリープ機能もあったな?……今はそれを使い無事を祈るしかないか……。」
「はい、そうですね。運が良ければ助かる可能性はゼロじゃありません。」
オーガスタとミュアは目をつぶり黙祷を捧げるのであった。
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ブラックホールに形成されたゲートに存在するのは地球やイラメカの要塞の残骸だけではない。
イラメカの要塞を撃破した流彗星号も又ゲート内を飛行していた。
その船橋ではシルビィ・クワットゥとシルビィ・ノウェムの生体端末が操縦席と船長席に座り流彗星号を操作していた。
クワットゥとノウェムの姿はシルビィとは違い長い黒髪の成人女性と短い黒髪の成人女性の姿をしていた。
「クワットゥ……僕が操縦するのは良いが、何故君がその座席なんだ?」
「あらノウェム。この席はシルビィの席でもあるのよ、つまり私の席ね。」
「……まぁ良いけど。はぁ……。」
元はシルビィと同じであるがクワットゥとノウェムはシルビィとは全く異なる経験をしている為か性格が異なっている様だった。
「そう言えばノウェム。少し前に回収したカプセルはどうするの?」
「そうね……中に乗っているのは強化外骨格のサイボーグ。おそらく連合製だと思うけど今の時点で解凍すると話がややこしくなりそうだわ。」
「まぁね。この船、流彗星号の話から説明する必要があるからね……。」
「どこかの惑星に着くまで保留とするしかないわね。」
「どこかの惑星って何処だ?」
クワットゥは船長席に座り少し首を傾げて考える。
「先ずは目の前に浮かぶ惑星に向かいましょう。幸いオービタル・リング側からも何隻か船が移動した様だから人類生存可能な惑星として期待できるわよ。」
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その男達は暗い夜の砂漠を馬で駆けていた。
先頭を走る男の年齢は壮年に差し掛かった頃だろう、顔の額や頬に年相応の皺が見える。
その後ろを走る二騎の馬上には日に焼けた肌で黒髪の若者が前の馬から遅れない様に必死で追随していた。
「ドロス陛下、お待ちください。そんなに急がれては困ります。」
「アレクス、お前達も見ただろう?あの流星を。あの落ちた先にはきっと天からの宝があるに違いない!」
そう言うと男は更に馬の速度を上げる。元々も馬の性能差があった為か男の姿が瞬く間に見えなくなった。
「陛下!陛下!」
慌てて男の後を追いかける。
息も絶え絶えになりながら追いついた先で見たのは銀色の大きな筒の様な物の前に立つドロスと呼ばれる男の姿だった。
「……陛下?」
「む?アレックスか、見よこの者を。」
ドロスの前にある銀色の筒の中には一人の少女が眠っていた。
「これは一体?それにこの少女は?生きて……いるのでしょうか?」
「ふむ。美しい少女であるな……無論生きておる様だぞ。」
ドロスの言うとおり少女は呼吸をしているらしく胸が規則正しく上下に動く。
「……これは天からの贈り物に違いない。私はこの者を王宮に連れ帰るぞ。アレックス、支度をせよ!」
「はっ!」
この日、一人の少女が砂漠の国の王宮に保護された。
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惑星の住民は語る。
「神は最初に我らを自らの姿に似せてお作りになった。その後、友がが作られ様々な生き物が作られた。」
「大地は栄え緑豊かな恵みをもたらす。」
「そして流星に乗って彼らがやって来た。」




