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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちは太陽が消える日を迎える

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拡大解釈

 灰銀色に輝く体には強力な武装が隠されていた。

 しかし、強力な武装と言っても兵士・・としてはである。オーガスタには軽巡洋艦に対抗できる様に間思えなかった。


「……強力そうな武装だが、軽巡洋艦を沈めるほどではないのではないか?それにどうやって近づく?近づくと必ず砲撃を受けるだろう。軽巡洋艦の砲撃を受けて無事に済むとは思えない。」


 オーガスタの言葉にマルスは自信ありげに微笑むと端末を差し出した。


「これを見てくれ。俺たちはこれに乗って奴らに接近する。」


「!これは救難カプセルか!」


「ああ、コールドスリープ付きの特別品、高級官僚用の物だ。」


「高級官僚用……そうか!そのカプセルなら拾われる可能性は高い。」


「奴らの内側に入ればこちらの物だ。ちょっと暴れるだけで航行不能に出来る。ま、いつもの通りだな。」


 マルスがそう言い切って周囲を見廻すと同じ灰銀色の狼達は黙って頷いた。


 ---------------


 一方、軽巡洋艦”アギオス”の艦橋ブリッジでは艦長席に座るアイリーンが少し暇そうに頬杖を付いていた。

 その傍らには宰相の様な格好をした男が傅いていた。


「……奴らからの降伏を待つ間、少し暇だな。降伏の期限は四十八時間だったな?」


「はい。少し長すぎるという意見もありましたが奴らは烏合の衆です。その位の時間を与えませんと決断できないでしょう。」


「そう……まぁ良いわ。それにしても暇ね……。」


 気怠そうに溜息を吐くアイリーンに別の男が声を掛けた。。


「それでしたら、以前から行っている例の治療を前倒しにしては?」


「ああ、老化防止薬アンチエイジブースターを除去する治療ね。そう言えば次で最後の予定だったわね。」


「はい、ですからこの空き時間で治療を完了させ望みの年齢に調整すれば良いかと……。」


 アイリーンは頬杖をついたまま熟考する。

 今、相手の動きが何もないとは言え何かの策を練っている可能性が高い。しかし、戦闘力がほとんど無い彼らが取る行動は極めて少ない。

 それに対しこちらは軽巡洋艦、多少時間が過ぎていても対応可能であろう。アイリーンはそう結論づけた。


「そうですね。待っている間、治療を前倒しに行いましょう。」


 男はアイリーンに対し恭しくお辞儀をする。


「……万が一接近する艦艇があれば攻撃意思はなくとも撃沈しなさい。それと降伏してきた官僚や職員は優先的に収容する様に。オービタル・リングに詳しいのは彼らですからね。」


「「「「「イエス・マム!」」」」」


 周囲で傅く男達が異口同音に叫ぶとアイリーンは満足そうに頷き、艦橋ブリッジを後にする。

 しかし、アイリーンが再びこの艦橋ブリッジに戻る事はなかった。


 ---------------


 アイリーンが治療を開始して程なく、レーダー手が声を上げる。


「報告します!索敵に小規模の物体の反応多数!救難信号を発信しています。」


「救難信号?小規模物体?大きさは?」


「……幅1.5m、長さ2.5m、カプセルの様な物と推測されます。」


「カプセルか……。生命反応はどうか?」


「生命反応微弱、カプセルの温度からコールドスリープ状態に移行していると考えられます。」


 すると一人の男がレーダー手の言葉に反応した。


「コールドスリープ?高級品にしかついていないあれか?だとしたら中に乗っているのは官僚に違いない。すぐに収……。」


「待て!アイリーン陛下は”近づく物は撃沈せよ”だったはずだ。」


「ご命令はそれだけではない。降伏してきた官僚は確保だったはずだ。救難信号がでているのだから降伏したと考えて間違いは無いだろう?」

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