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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちは太陽が消える日を迎える

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獅子身中の船

 流彗星号はイラメカの誘導に従い開いてゆく隔壁を進んで行く。

 メインスクリーンに映し出される映像に何か気がついたのかサバーブがリランドに声を掛ける。


「リランド、連中は我々の為に広い場所に招待してくれた様だぞ。」


「広い場所か……わざわざ招待してくれるのなら大きな祝砲を上げるべきだな。」


 リランドの言葉にサバーブは頷く。二人のやり取りを聞いていた連宋は素早く自分の端末を操作した。


「充填完了。リランド、祝砲は何時でも発射できるよ。開いた場所に大勢の敵か……さてわしは色々調べなくてはならないな。ビィ、サポートを頼む。」


「心得ました。」


 連宋とシルビィのやり取りで何を行うのか察したサバーブが言葉を発する。


「敵の中枢部にでるぞ!リランド!砲撃用意!連宋は調べ物が終わり次第、斥力フィールドを何時でも展開できる様にしてくれ。」


「「了解!」」


 ---------------


 港湾部に係留されている各艦艇は侵入者が来る通路の出入口を取り囲み荷電粒子砲プラズマキャノンの砲身を向ける。


「よし、侵入者が現れると同時に一斉砲撃だ。隔壁に当てない様に注意しろ!」


 港湾部に係留されている艦艇の数は巡洋艦四隻、駆逐艦五隻と数は少なかった。しかし港湾部の司令官は侵入した艦艇を撃沈するには十分な戦力であると考えていた。

 周囲から侵入者を集中攻撃し動けなくなった所を司令部に備え付けの陽電子砲ポジトロンキャノンでとどめを刺す。自分がとどめを刺しやすい様に侵入者の出現地点は司令部の正面に設定しておいた。

 正に完璧な作戦とばかりに悦に浸っていた。


「相手は中型艦艇だ。焦る事無く命中させれば撃沈できる。総員よく狙って……なんだね、あれは?」


 港湾部の司令官はメインモニターに映し出された真っ黒な物体がゆっくりと司令部に向かって飛んでくるのを凝視した。しかし次の瞬間、監視員からの声が上がる。


「司令!目標が港に侵入します。」


「あの黒いのは目くらましか!!全艦砲撃開始!」


 八隻の艦艇から荷電粒子砲プラズマキャノンの光りが流彗星号を撃沈させようと押し寄せまっすぐ伸びる。しかし次の瞬間、荷電粒子砲プラズマキャノンの軌跡は弧を描きながら黒い塊の方へ向かっていった。


「何故だ!何故荷電粒子砲プラズマキャノンの光線が曲がるのだ!!」


「判りません!黒い物体が接近!何だこれは!!」


「う、うぉおおおおお!体が!」


 司令部にいた者の体だけで無く全ての物が黒い物体に引きつけられている様だ。その場に置いたメモ用紙やティーカップがそれに舞いメインモニターへぶつかる。

 やがて外を映し出していた司令部のメインモニターに罅が入り轟音と共に引き剥がされ司令部にあった物全てが黒い物体に飲み込まれていった。


 ---------------


 流彗星号は重力子砲グラビトンを撃つと突出していた駆逐艦の一隻に襲いかかる。駆逐艦の一隻は砲撃が終わった直後であった為か何の抵抗も出来ないうちに流彗星号の荷電粒子砲プラズマキャノン餌食になった。

 それを見たサバーブはすかさず爆沈する駆逐艦を盾に巡洋艦へ迫る。

 リランドが撃った荷電粒子砲プラズマキャノンの光りは巡洋艦の駆動部分を貫き航行不能に追い込む。

 そこからは一方的な蹂躙ワンサイドゲームだったと言って良いだろう。

 サバーブの操縦によって流彗星号は巡洋艦や駆逐艦を盾に飛び回る。そしてその死角からリランドが荷電粒子砲プラズマキャノンで艦艇を狙い撃った。


 瞬く間に全艦艇を爆沈もしくは航行不能にした事でサバーブは声を上げ称賛する。


「相変わらずの腕だな、リランド。最初の重力子砲グラビトンでの防御もわざとか?」


「おいおい、サバーブの操縦があってこそだぜ。最初の重力子砲グラビトンはゆっくり動かせる様だから目くらましのつもりだったが……あれは予想外だよ。」


「なるほど。だが、防御にかなり有効だ。うれしい誤算と言うべきか……。」


 先ほどからシルビィと何かを調べていた連宋から声が上がる。


「サバーブ、要塞のフィールド発生装置をつかんだ!停止させる事も可能だが、何処の場所を切る?」


「もうつかめたのか、早いな。……脱出ルート以外を停止させる事は可能か?」


「脱出ルート以外か……少し微妙だけど全体の一六分の一を残して停止させれば良いか?脱出に使うルートの隔壁は全て開放しておく。」


「OK。それでやってみてくれ。」


 連宋の手が端末の上を踊る様に動くと要塞の斥力フィールドが停止しその区画にいた艦艇が止まった様に動かなくなった。


「良し!後はここを脱出……。」


 サバーブが言い終わらないうちに要塞が廻る様に動く。それと同時に連宋からの声が上がった。


「サバーブ、大変だ!斥力フィールドを遮断した事で警報アラートがでた。脱出ルートの隔壁が下りつつある。」


「なん……だと……。」


 連宋の報告にサバーブは時が止まったかの様に止まり固唾を呑んだ。

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