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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちは太陽が消える日を迎える

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虎穴に入らずんば虎児を得ず

 サバーブの見解を聞きリランドは更に首を傾げた。


重力子砲グラビトンで出来た孔に流彗星号がはまり込んだ?」


 するとサバーブはメインスクリーンを操作しながら起きた事を図化して行く。


「……まず、流彗星号が重力子砲グラビトンを撃つ。それがイラメカ要塞の側面に当たり孔が出来る。大きさとしては半径1km程だ。重力子砲グラビトンを撃った流彗星号は要塞の下を通り抜ける予定だった。で丁度その時にイラメカの要塞が下降したらどうなる?」


 そう言うとサバーブは側面に穴の開いた要塞の図を下げ流彗星号の図に重ねた。


「こんな感じで流彗星号はイラメカの要塞にとらわれた事になる。」


「サバーブ、それだと入ってきた方向は開いているよな?」


「ああ、だが現状は斥力フィールドが弾かれる感覚から入ってきた方向も塞がっている様だ。」


「塞がっている?確かオーガスタ博士の計画だと”何度か重力子砲グラビトンを撃打ち込んで要塞の下部、軌道を調整する部分を引きちぎる。”だったはずだ。逆に塞がったのは何故だ?」


 サバーブは目を瞑りこめかみを人差し指の先で何度か叩く。


「……重力で引き千切られる。イラメカが軌道修正の為に斥力フィールドの範囲を縮小し重力の影響を大きくしていた。流彗星号が穴を開けるブロックは要塞の露出部分の中程の予定だった。もし仮に命中した時既に要塞が下降中だとすれば我々が穴を空けた場所は……。」


 こめかみを叩いていたサバーブの指の動きが止まり目を見開く。


「連宋、斥力フィールド外の探索、感知を頼む。」


「サバーブ、いくらESPでも重力子を止める事が出来る斥力フィールドの外は……。」



「……私の予想だと問題なく出来るはずだ。」


「……本当かなぁ?」


 連宋は疑問符を浮かべながら斥力フィールドの外をESPで探索する。ESPでの探査を始めた次の瞬間、連宋は驚愕の声を上げた。


「どう言う事だ?斥力フィールドの外側が通常空間になっている!」


 連宋の声にリランドがサバーブの方へ顔を向ける。


「と言う事は……ここは……。」


「ここはイラメカの要塞の中でも上の方、重力子砲グラビトンで穴を開けたのは予定より遙か上の部分だったんだよ。」


 サバーブの説明を聞きリランドは大胆不敵に笑う。


「そうか、それなら対応は簡単だ。内部から食い破れば良い。重力子砲グラビトンなら一撃だろう?」


 リランドの声に連宋が答える。


「リランド、残念な事に重力子砲グラビトンは使えない。目標までの距離が近すぎる。使った場合、流彗星号自体を巻き込む可能性が高いよ。」


「威力が大きいのも考え物だな……と言う事は使うのは陽電子砲ポジトロンキャノン荷電粒子砲プラズマカノンあたりか?」


「使うのはその二つだな。問題は何処を攻撃するかだ……。」


 攻撃場所を思案するサバーブの目の前で要塞の隔壁が開いてゆく。


「……これは?」


 サバーブはリランドや連宋の方へ顔を向ける。


「誘ってるな。」


「まぁ、間違いなく待ち伏せているだろうね。この隔壁あなの向こうには虎が待ち構えている。」


 二人の言葉を聞きサバーブはにこやかな微笑みを見せる。


「”虎穴に入らずんば虎児を得ず”だな。」


 リランドと連宋の二人はサバーブの言葉に大きく頷いた。


 ―――――――――――――――


 イラメカ軍の方も流彗星号を傍観していた訳ではない。流彗星号が要塞内部に迷い込んだ時から位置は把握していた。

 流彗星号を逃がさない様に隔壁を下ろし閉じ込めたのである。


「目標、要塞下部にある港湾部に移動中。」


 要塞に備え付けられた玉座の上からアイリーンが命令を下す。


「よろしい。そのまま隔壁を閉じ港湾部へ誘導、目標が港湾部に到達した時点で総攻撃を開始しせよ。広い港湾部なら目標が爆発しても問題にならない。」


「「「イエス!マム!」」」


 流彗星号はゆっくりと下部港湾局へ近づいて来る。その港湾局には数多くの砲身が流彗星号を目標にしていた。

 広い港湾部なら自爆されても被害は無いと考えたのだが広い場所を求めていたのは流彗星号側も同じだった。

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