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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちは太陽が消える日を迎える

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202/214

斥力フィールドは盾である

 流彗星号が太陽系内を疾走する。

 星間物質の干渉によって斥力フィールドが白く輝くが高重力の環境下においてその光が届くのはもっと後の事だ。

 従って一度高重力下に突入してしまえば流彗星号の軌跡を視認できる物は存在しなかった。

 流彗星号の操縦桿を握る


「次、元小惑星地帯だ。連宋、どう避ける?」


「上上下下……。」


 連宋の声と共にサバーブが巧みに流彗星号を操り小惑星を避けて行く。


「……左右左右、リランド!前方にビーム、サバーブはそのまま加速アクセル!」


 発射された陽電子のビームは目の前に迫った小惑星を穿ち大きく開いた穴の中を流彗星号は駆けて行く。細かい破片が斥力フィールドにより弾かれる。


「連宋、幾つか破片が当たっていると思うが流彗星号の速度に変化は?」


「無いね。相対質量に差がありすぎて問題にならない。このまま直進しても大丈夫だ。」


「OK、判った。」


 斥力フィールドは受けたエネルギーを相手側に返す盾の様な物である。しかし宇宙空間に足場は無い。攻撃を受けた場合には反作用で自分を移動させてしまう。

 ただしこれは質量に差がある場合には問題になる事が無い。これは質量の軽い小さな障害物などは斥力フィールドで弾く事が多いからである。


 流彗星号のメインモニターには流彗星号が現在いる位置の予想地点とイラメカの要塞、周辺の小惑星デブリが表示されていた。

 その表示を見ていた連宋がリランドへ問いかけた。


「リランド、そろそろ目標地点が近い。準備は大丈夫か?」


「何、そんな時間か?少し早いのでは?」


「サバーブの操縦が思いのほか切れていたからね。で、砲撃に問題は?」


「無いな、何時でも砲撃できる。タイミングのカウントダウンは任せた。」


「OK。カウントダウン開始する。十分前……。」


 ―――――――――――――――


 流彗星号で連宋のカウントダウンの声が響いていた頃、イラメカの要塞シュトラールでもカウントダウンの声が響いていた。


「宇宙要塞シュトラール、軌道修正用意……カウントダウン開始します。」


 カウントダウン開始の合図と共に要塞の艦橋ブリッジにいる者達に緊張が走る。

 下士官の一人が顔を引きつらせながら隣の同僚らしい男に声を掛けた。


「い、いつまで経ってもこの軌道修正には慣れないな。」


「仕方が無いだろう。軌道修正に失敗すれば……。」


「し、失敗すれば?」


 尋ねた男は音を立てて固唾を飲み込む。


「軌道を外れて中へ落ちるか外へ出るかだ。」


「それだと外へ外れた場合の方がましな気がするな……。」


「まぁ、外へ外れた場合、連合の艦隊が待っているのだけどね。機動力の無い単独の要塞は動かない的と言っても良いだろう。中へ落ちた場合は……この要塞の斥力フィールドは完全に重力子を防ぐ事は出来ないらしいからお察しだな。」


 軌道修正に失敗すれば無事では済まないと聞き男は更に緊張の度合いを高めていった。


 ―――――――――――――――



 流彗星号の船橋ブリッジ内にカウントダウンを行う連宋の声が響く。


「九、八、七、六、五、四、三、二、一、リランド!」


「OK!重力子砲グラビトン発射!」


 カウントダウンに同時にリランドが重力子砲グラビトンの引き金を引く。流彗星号の砲身から黒い塊の様な重力子が発射される。

 重力子砲グラビトンの発射を確認したサバーブが声を上げた。


「よし!これより帰投する。流彗星号最大先速だ!」


 しかし次に起こった事は彼らの全くの想定外の事だった。

 サバーブが流彗星号の出力レバーを全開にしようとしたその時、流彗星号が大きな衝撃を受けた。


「何だ!今の衝撃は!連宋?」


「……駄目だ、判らない。斥力フィールドが全てを弾くから情報が入らない。」


「全てを弾く……斥力フィールドを解除するしか無いのか?……まてよ?逆に範囲を広げればどうなる?ビィ何処まで斥力フィールドの範囲を広げる事が出来る?」


「今の倍ですね、安全を考えないのなら更に倍です。」


「よし連宋、斥力フィールドの範囲を倍に。それと同時に周囲を再走査してみてくれ。」


「了解!」


「斥力フィールド範囲を拡大する!」


 連宋は自分の端末を操作し斥力フィールドの範囲を広げていった。しかし、斥力フィールドの範囲をある程度まで拡張するとそれ以上は拡張できない様になった。


「……これはどう言う事だ……周囲に重量物がありこれ以上拡張できないと言う事か?」


 サバーブは連宋の言葉で少し思案する。


「連宋、斥力フィールドの範囲を少し狭めてくれ。」


 サバーブは連宋に斥力フィールドの範囲を狭めさせると流彗星号を上下左右様々な方向へ動かした。

 斥力フィールドは対象となる物質を弾く事が出来る。その対象の質量が遙かに大きい物であった場合、流彗星号の方が弾かれる事になる。その反応で今の場所の大まかな形状を調べようとしているのであった。


「……全ての方向で弾かれる。完全に塞がって居るぞ……。」


 サバーブの言葉を聞きリランドが問いかけた。


「塞がっている?いったいどう言う事だ?サバーブ?」


「……重力子砲グラビトンの砲撃で出来た穴に流彗星号が入り込んだ可能性が高い。」

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― 新着の感想 ―
[一言] ああー・・・原因はコ〇ミコマンドに成功しちゃったから…ですね(笑)
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