太陽系突入!
流彗星号は太陽系の外周部、所謂カイパーベルトと言われる場所に潜伏し連合軍の総攻撃を待っていた。
このカイパーベルトの小惑星にイラメカの偵察衛星が巧妙に紛れている。連宋は周辺を警戒しながら要塞宙域の小惑星を確認していた。
「この辺りは太陽系のカイパーベルトと言ってもすっかり変わっているな。ブラックホールの影響で小惑星の位置が大幅に変わっている。サバーブもう少し流彗星号を内側……小惑星に近づけた方が良くないか?」
「もう少し近くか……良しこんな物でどうだ?」
「OK!上出来だ。これならイラメカの偵察衛星にも見つからないだろう。」
小惑星に紛れている偵察衛星はブラックホールの周回軌道に乗るイラメカ帝国の要塞に情報を送っている。イラメカは小惑星に偵察衛星を紛れ込ませる事で接近する艦艇を察知する様だ。
モニターに映し出された周辺宙域図の上には偵察衛星を示す赤い点が数多く点在している。その赤い点を見たリランドがぽつりと話す。
「偵察衛星か……全部撃墜できれば良いがこう数が多いとな……。ビィ、偵察衛星の中継点はまだわからないのか?」
「今やっていますが、今一絞りきれませんね……。」
イラメカの偵察衛星は小型である為、斥力フィールドの内側である要塞へ通信を送る様に出来ていない。その為、偵察衛星のデーターを集めて要塞へ送る事が出来る中継器がどこかにあるはずなのである。
「絞りきれない?候補は幾つあるのだ?」
「三つですね。」
「三つか、なら簡単だ。それを全部落とせば良い。」
「全部ですか?距離がある物もありますよ。正反対にはありませんが……。リランド、データーを送ります。」
リランドの端末にシルビィから中継器候補の座標位置が送られてきた。座標を確認するリランドにサバーブは声を掛ける。
「どうだリランド?出来そうか?」
「……思ったより離れていないな……。大丈夫だ、サバーブ。問題なく撃墜できる。」
「わかった。では連合艦隊の攻撃が始まるのと同時に偵察衛星三基を狙撃、破壊。後に太陽系へ突入。と言った手順で、連宋は要塞周辺の小惑星を確認しておいてくれ。」
「「了解!」」
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サバーブ達がカイパーベルトに潜伏して二日後、サバーブ達の潜伏場所とはブラックホールを挟んで正反対の場所カイパーベルトの外側に多数の艦艇がジャンプアウトした。
その中にカークランド提督が乗船する連合艦隊の旗艦カスガもいる様だ。カスガを含め戦艦二隻、巡洋艦五隻、軽巡洋艦および駆逐艦多数のちょっとした艦隊である。
しかしジャンプアウトする艦艇はそれだけでは無い。
別方面からモリヴァル元帥率いる連合軍主力艦隊、戦艦五隻、巡洋艦十隻、軽巡洋艦および駆逐艦多数の大艦隊が出現した。
モリヴァルは艦橋にある艦長席の前で仁王立ちし号令を発した。
「全艦隊に告げる!この一戦が我々人類の運命を決める一戦である!我らの地球を窮地に陥れたイラメカを許してはならない!各艦砲撃開始せよ!」
号令と共に数多の光りが生み出され小惑星を巻き込みながらイラメカの要塞に殺到した。
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流彗星号のモニターには連合艦隊がイラメカの要塞に対して攻撃を行う様子が映し出されていた。その光景を見ながらサバーブはリランドや連宋の顔を見る。
「始まったな……リランド、突入次第、偵察衛星の対処を頼む。」
「OK!任せとけ!」
「連宋、偵察衛星への対処が終わり次第、最大船速で要塞に接近する。その時には斥力フィールドを最大展開にするから盲目飛行になる。」
「大丈夫、各小惑星のデーターは収集済み、何度でも突入可能だ。」
「了解!では流彗星号、太陽系への突入を開始する!」




