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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちは太陽が消える日を迎える

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宇宙要塞シュトラール

 イラメカ六世が護衛の疑問に答えている間、司令室内の動きは更に慌ただしくなっていった。


「ゲートからのガンマ線放射確認。放射量は想定内、斥力フィールド出力そのまま。」


「要塞内エネルギーゲート接続完了しました。何時でも発進可能です。」


 報告を受け取った将官の一人がイラメカ六世の方を見る。不興を買ったのか先ほどまで疑問に答えてもらっていた男はいつの間にかいなくなっており別の男が護衛の任務に就いていた。


「陛下、宇宙要塞シュトラール何時でも発進可能です。ご指示をお願いいたします。」


 イラメカ六世は玉座から立ち上がると大型モニターに映る前方のゲートを指さす。


「シュトラール発進せよ!地球に巣くう愚民どもに我らの威光を示すのだ!」


「「「「「「「「「「イエス マム!」」」」」」」」」」」


 ---------------


 地球は防衛システムのおかげで超新星爆発の嵐とブラックホールの周辺に出来た降着円盤から放出される致死量のX線にも耐えていた。

 地球を取り巻き光り輝く斥力フィールドを見ながらオーガスタは腕組みをして考えていた。


(小型のゲートから反物質を取り出しエネルギーに転換する……イラメカの科学者はこの仕組みを私よりも早く考え出したのだろうか?

 私のシステムの完成が遅れたのは実験途中のデーターや試作機が原因不明の爆発を起こした為だが……あれは本当に試作機の爆発だったのだろうか?)


 独り言を言いながらその場を行ったり来たりするオーガスタに秘書のミュアから声がかかる。


「博士……私たちはこれからどうなるのでしょうか?このままブラックホールに飲み込まれてペチャンコに……。」


 オーガスタは不安そうな表情を見せるミュアに笑って答える。


「どうもならないよ。私の作った防衛システムは完璧だ。例えブラックホールでも耐える事が出来る。」


「……え!博士、あの仕様は連合の人に却下されたのでは?」


「却下されたのはエネルギーの供給が莫大な物になるからだ。しかしそのエネルギーの問題もエネルギーゲートにより解決している。なら、その仕様にしても問題は無いだろう?」


「……又勝手に仕様を変更していたのですか……まぁ、この場合よく変更してくれたという所なのですが…。」


「だろう?ただ外の様子がわかりにくいのが欠点だけどね。」


 ミュアは悪びれずにいるオーガスタを見てため息を吐く。


「それで我々はこのまま救援を待つという事で良いのですか?」


「……そう願いたいところだけどねぇ……イラメカの奴らが他に何もしないとは考えられない。連合を麻痺させる勝利する為なら太陽をブラックホール化する必要は無い。それに人類発祥の地の危機ならほとんどの人間が反感を持つだろう。このままだとイラメカにとって不利な状況になる。」


 丁度その時、ブラックホールの上にあるゲートから宇宙要塞シュトラールが出現した。シュトラールはゆっくりとブラックホールの周囲を回る軌道に入って行く。そのシュトラールを追いかける様にゲートがその後に続いた。


「シュトラール、ブラックホールの周回軌道に入りました。」


「ゲート、シュトラールからの所定位置に固定しました。」


「周回軌道上に降着円盤……ん?何だこれは?」


 周辺の観測を行っていた兵士の目に白く輝く斥力フィールドが入ってきた。


「不明物体の斥力フィールドの展開を確認。この大きさは……地球か?」


 それの言葉を聞いたイラメカ六世は意地の悪い笑みを浮かべた。


「地球だと?いみじくも愚民どもは生き残っていたのか……元帥、あれの用意を!」

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