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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちは太陽が消える日を迎える

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異星人の利用方法

 太陽の上に出現したゲート、それは太陽が消えてもまだ虹色の光を放っていた。

 そのゲートの向こう側、オルク星系外周部にあるイラメカ帝国の前線基地がある。

 その前線基地に停泊中の宇宙要塞シュトラールの内では何かの準備の為だろうか?兵士や整備員が慌ただしく動きまわる。

 要塞の司令室では兵士の一人が将校らしい上官に対し報告を挙げていた。


「太陽の消滅を確認。太陽を吸収した中性子星は重力崩壊により超新星爆発スーパーノヴァを引き起こしブラックホール化しました。」


「ご苦労。引き続き準備にあたれ。」


「はっ!」


 報告を行うと兵士は上官に敬礼し足早に司令室から去って行く。

 上官の男は司令室の最上段、黄金に輝く椅子に座り輝く様な黄金の髪を持ち艶やかな美貌の女に敬礼を行う。

 上官の男が敬礼した女、この女がイラメカ帝国皇帝イラメカ六世である。


「報告します!本日2100において連合軍総本部がある星系、太陽系の恒星、太陽の消滅を確認しました。なお、太陽は超新星爆発スーパーノヴァの影響でブラックホール化した模様です。」


「当然じゃ。その為に予が中性子星に白色矮星を加えておったのだから。」


 イラメカ六世の周りに立つ護衛の男が美辞麗句を並び立てる。


「流石は陛下、見目麗しいだけでは無く頭脳明晰でいらっしゃる。まこと陛下は余人をもって代えがたい。ところで陛下、浅学な私では理解できないのですが、何故、中性子星をゲートで移動させる事が出来たのでしょうか?」


 イラメカ六世は美辞麗句を並べた男に対して物憂げな表情を見せる。


「……まぁ、仕方が無い。いいだろう、予が教えてやろう……と、その前に質問だ。そもそもゲートとは何だ?」


 男にとって意外な質問だったのか動きが止まる。


「ゲートですか……。物を運ぶトンネルの様な物と聞いております。ゲート内での速度は通過する物体の大きさや重さによって変化し大きければ大きいほど、重ければ重いほど通過時の速度は遅くなる。……と報告を受けております。」


 男の解答にイラメカ六世は想定していた通りだったのか、どこか人を馬鹿にする様な顔で答える。


「報告ではその通りじゃ。その理由は至極単純な事、重いからじゃ。物を運ぶのに重いと力が必要になろう。それと同じで使ったエネルギーが同じならばその分速度が遅くなると言う事じゃ。」


「重いからですか……。しかしそれでも星を動かせるとは……。」


 男の言葉にイラメカ六世は大きくため息を吐く。


「何を言うと思えば……。そもそもゲートとは星を動かす為の装置じゃぞ?」


「え?星を動かす為ですか?」


「そうじゃ。そもそもこの辺りの恒星には惑星が必ずあるがそのほとんどに水と空気が存在する。しかもその多くがハピタブルゾーン内に存在する。おかしな事とは思わぬか?」


「地球の事もありますし……偶然では?」


 イラメカ六世は大きく頭を横に振る。


「偶然では無い。恒星のスペクトルにより位置が変わるがそのほとんどに惑星が存在する。しかも水と大気を持つ地球型の惑星じゃ。これはもはや偶然とは言えぬ。それと今回のゲートの使用を可能にした反物質星の存在じゃ。」


「反物質星ですか……。」


 男は何やら納得がいかない様な顔でイラメカ六世を見る。


「あの様な物があの位置に、しかも数多く存在する訳が無かろう。あれ自体もゲートによって運ばれた……いや、方法は想像でしか無いがゲートによって造られた物であろう。」

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