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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちは太陽が消える日を迎える

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太陽が消滅する日

 その日、地球の衛星軌道上にあるコロニー型宇宙港では新方式の防衛システムの起動式典が行われている最中の事であった。

 新方式の防衛システムにはオーガスタ博士を筆頭に数々の技術者や研究者が関わっており、そのほとんどの者がこの日の起動式典に出席している。

 式典は滞りなく進み司会者の男がシステムの開発者の説明を行っていた。

 司会者の後ろに数段ほどの階段があり、その先の壇上には丸く大きな押しボタン式のスイッチがあった。どうやらこのスイッチでシステムを起動させる物の様だ。

 式典のクライマックスで代表者がスイッチを入れるのであろう。


「……まずオーガスタ博士、博士は……ん?あれは何ですか?」


 その異変は唐突に訪れた。

 コロニーの反射板を照らす太陽、反射板に映る太陽の上に虹の様に輝く輪が出現したのである。

 太陽とその周辺の拡大映像が来賓用の大型モニターに映し出される。


「あれは!ゲートか!」


 多くの者がその場で立ち尽くす中、その虹の輪を知っていたオーガスタ博士が最初に動いた。

 動き出したオーガスタ博士を見た司会者の男は我に返ったのかオーガスタの行動に疑問を投げかけた。


「博士、一体何を?」


「あれはあの位置にあるのは不味い物だ。攻撃を目的とした物に違いない。防衛システムを展開するぞ!」


 オーガスタ博士は一足飛びに壇上のスイッチへ向かい大きく押し込んだ。

 衛星軌道上に配置された十二個の防衛装置から三方向に光りが伸び防衛装置同士を結びつけ正二十面体を構成する。


「よし、“アイギス”は起動した。これで攻撃は防ぐ事は出来る。後は防衛艦隊の仕事だな。」


 その場に居合わせた人々は地球を取り巻く二十面の正三角形があらゆる攻撃を防ぐ盾の様に思えた。

 しかし、ゲートから出現したそれが事態を一変させる。

 それはオーガスタ博士の予想の斜め上を行く物であった。


 “白く輝く恒星“


 その白く輝く恒星が出現した途端、その星の方向へ引かれる様な感覚を覚えた。一見するとその星は太陽より小さき大きさに見える。だがその重量は遙かに重い。


「太陽が重力によって喰われているだと……。」


 オーガスタ博士の呟きの通り太陽から吹き上がったフレアが現れた白い恒星に喰われているようにも見えた。


「あの大きさでこの引力……あれは中性子星か?」


 中性子星、超新星爆発の残骸であるという説と白色矮星が何らかの方法でエネルギーを得ることで重力崩壊を起こし中性子星となったと言う説がある。


「後者の考えが正しい場合、太陽からのエネルギーを得た場合、重力崩壊を起こすな。」


 オーガスタ博士の額に冷や汗が落ちる。

 太陽より小さい白い恒星、中性子星はゆっくりと太陽に接近し飲まれていく様に見える。

 中性子星が完全に太陽と同化した様に思えた時、太陽と太陽の周囲の光りが全て消し飛び衝撃波が太陽系全域に波及する。

 衝撃波は結集しつつあった太陽系連合の防衛艦隊を宇宙の藻屑デブリに変え太陽系内にある惑星や衛星を全て飲み込んだ。

 この衝撃波の中で無事であったのは防衛システムに守られた地球だけであった。


 そして太陽は消え、太陽があった場所に真っ黒な空間が出現した。

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