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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちは源の星へ行く

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反クオーク星

 ”反クオーク星”という聞いた事も無い言葉にサバーブ達は首を傾げた。


「オーガスタ博士、反クオーク星というのは一体どんな星でしょうか?」


 サバーブからの問いかけにオーガスタはメインスクリーンの前に立つ流彗星号の乗組員を見廻す。

 どの顔もサバーブと似たり寄ったりで”反クオーク星”と言う物の知識が無い様だ。


「そうだな。まず恒星の終わりが関係する。ある種の恒星、質量が太陽の十倍以上ある恒星は超新星爆発を起こす。その爆発の際、全てが吹き飛ぶ訳ではない。中心に重力崩壊で圧縮された星は残る。それが中性子星だ。これは太陽の十倍から二十倍の質量の恒星の最後と考えて良いだろう。ここまでは良いか?」


 オーガスタはサバーブ達の顔を見廻す。中性子星ならサバーブ達には聞き覚えのある恒星の様だ。中性子星自体は辺境の恒星の一つに存在している。


「中性子星は重力崩壊によって原子核に電子が取り込まれた状態になった物がほとんどの星だ。だが中性子は更に小さな物から構成される。それが素粒子クオークだ。恒星が中性子星生成より大きな重力崩壊により圧縮された星、それがクオーク星だ。この場合反クオークで構成されているから反クオーク星か……。」


「中性子星生成より大きな重力崩壊?その場合はブラックホールになるのでは?」


「サバーブ君、良い質問だ。クオーク星は中性子星とブラックホールの中間に位置する物だ。これは今まで理論上の物とされていた。つい先ほどまで観測された事は無かった。」


 オーガスタはメインスクリーンの前で大きく手を広げる。


「だが見たまえ!理論は実証された!我々の目の前にその答えが浮かんでいるのだよ!」


 興奮冷めやらぬオーガスタにサバーブは更に質問をぶつける。


「なるほど。クオーク星については理解しました。では何故、この位置なのでしょう?」


「……ふむ。それはおそらく通常物質との対消滅反応を減らす為だな。流石にここまで天の川銀河から遠く離れているし周囲に何も無い。つまり対消滅に必要な物質は存在しないと言う事だよ。」


「その場合だと反物質の利用が難しいのでは?古代異星人は何の為に反クオーク星を造ったのでしょうか?」


 サバーブの言葉にオーガスタは首を横に振り答える。


「いや、サバーブ君。利用に関しては問題ないよ。ミュア君、先ほど観測した反物質の流れのデーターをメインスクリーンに映し出してくれ。」


 秘書のミュアがオーガスタに指示された通りのデーターを流彗星号のメインスクリーンに映し出した。

 メインスクリーンには反クオーク星から噴出した反物質がゲートに流れ込む様子を映し出していた。


「この様に一定量の反物質はゲートに流れ込む。そこでサバーブ君。このゲートの先に反物質の回収装置があったのならどうなるかね?」


 オーガスタはメインスクリーン上のゲートを指さす。


「……そうか!その方法だと安全に反物質を回収する事が出来る!反クオーク星の周囲に回収用のプラントを置く必要が無い。」


「その方法以外に考えられるのは反物質で動かす装置にゲートを直結する方法だな。この方法だと回収装置がいらない。ゲートの開閉がバルブの代わりとなっているので制御も楽かな?」


 サバーブ達はオーガスタの説明を聞き目からうろこが落ちた様な表情を浮かべていた。


「しかし、この反クオーク星。質量から考えて後数億年は利用できる。古代異星人はこんなエネルギー量を一体何に使っていたのか……。それに反クオーク星はここ一つではないぞ。」


「「「え?」」」


 サバーブ達は他にも反物質の星があると聞き驚きの表情を浮かべた。


「見たまえ、この部分を。目の前の反クオーク星と同じ距離に幾つか異常なガンマ線が観測できる。同じ様な位置にある事から考えて反物質星だろう。」


 オーガスタが指さしたメインスクリーンには反物質星らしい恒星の青白い点が幾つも示されていた。

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