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ミカエルの過去 (2/3)

 仲間が掘り当てた遺跡と銀色に輝く奇妙なカプセル。それは先史文明、異星人の遺産である事は誰の目にも明らかだった。

 カプセルは遺跡に接続されていて大きさはベッドぐらい、表面には透明な蓋の様なもので覆われていて中に人が一人入れるようだった。

 これを掘り当ててしまった連中は厄介なことになったと頭を抱えた。

 と言うのも帝国では遺産を見つけた場合、貴族への報告義務がある。報告を怠れば厳罰が待っているというものだ。

 その為、その日は作業を中断となった。


 翌日、遺産発掘の報告を受けた貴族の男がやってきた。

 カプセルを見た貴族の男は”つまらないことで呼ぶな”と額に青筋を立て報告した監督に怒鳴り散らした。

 貴族によるとこの様なカプセルは先史文明の遺跡でよく見つかっている物らしい。

 しかし騒ぎ立てる口も調べていた家臣?からカプセルが使えると聞かされると手のひらを返した様に態度を変えた。


 また使えるのならその機能を調べてみる事になった。移動したくてもカプセル自体がその場所から動かせなかったと言う理由も大きい。

 だが使用権のある貴族連中は誰も被験者として名乗りを上げなかった。その装置を使うとどんな事になるか解らないからね。

 結局、その装置を最初に使ったのは仲間の一人だ。

 別に本人が使いたくて使ったわけじゃない。報告を受けた貴族に半ば実験用のモルモットとして装置を使わされた。

 その男がカプセルに入っていたのは五分も無かった。しかし、出てきた男の容姿はカプセルを使う前と随分様変わりした。


 まず、目についたのは髪の毛だ。長さが伸びており白かった髪の毛の根本が少し黒くなっていた。

 次に手の指。実験になった男の手には指が何本か無かった。小さい頃事故で失ったらしい。しかし、装置を使った男の手は指が五本ずつ揃っていた。


 カプセルは”治療用の装置である”と立ち会った貴族が言っていた。


 残念なことにカプセルのエネルギーが切れたのかその後は全く動かなくなった。

 立ち会った貴族は「こんなことなら自分が使えばよかった。今まで幾つか出土しているが使える状態だったのはこれが初めてだったのに。」と言っていた。


 翌日、被験者だった男は骨と皮だけの姿になって死んでいた。何時まで経っても現場に現れない男を監督が呼びに行った時に部屋で発見したらしい。極度の飢餓状態になった為だと検視を行った医者は言っていた。医者の所見では飢餓状態になるのはカプセルを使う弊害のようなものらしい。


 しかし、このカプセルは私にとってある種の光明だった。

 カプセルは被験者だった男の失った指を取り戻した。それなら自分がカプセルを使えば失った自分の声を取り戻せるのではないか?

 それにこのカプセルは別の機能もある。男の髪の毛の根元が黒くなっていることから考えて若返り機能があると思われる。


 しかし、異星人の遺跡なんてそう頻繁にあるものではないし、わしはその場所を知らない。それに使えるカプセルがあるのかは運次第だろう。

 そうやってぼんやり夜の空を眺めていた。

 自分はその時小さかった頃のことを思い出していた。昔教えてもらった宇宙の話。


 宇宙のオーロラ、出所のわからないエネルギー、近づくと穴の開く場所……。

 自分はその時閃いた。

 これらの場所は異星人の遺跡ではないか?何かが原因でエネルギーの漏れがあり、それら現象が起きているのではないか?


 自分はそう考えたのだ。

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