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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちは源の星へ行く

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進行方向

 十六個の小惑星デブリが赤色でマーキングされたモニターの前でサバーブが感心した様に頷く。

 リランドが示した小惑星デブリは明らかに宇宙ゲートの遺跡だ。


小惑星デブリまで一千万kmか……でもリランド、よくこんな小さな物を見つけた物だな。やはり射撃が得意なだけはあるのか?」


「……かもしれん。早く目標を探す必要があったからだろう。見落とすと命取りになるからな……。」


 昔とった杵柄という奴だろうか?


「兎も角、リランドのおかげで宇宙ゲートの遺跡を発見できた。おそらく反物質の発生源はゲートの向こうだと考えられる。そこでだ……連宋。」


 サバーブは連宋へ声をかけた。


「現在流彗星号にある水と食料は何日分ある?」


「全員分か……今日までの実績を勘案すると……約二ヶ月だね。」


「二ヶ月か……水だけなら一ヶ月加えるとして三ヶ月、それより長いスパンなら餓死待ったなしだな。」


 サバーブのその言葉を聞いてリランドが慌てる。


「おいおいサバーブ。まさかゲートの向こう側に行くつもりなのか?」


「……オーガスタ博士次第かな?彼女が『調査は必要だ』と言えば出来るかどうかを考える必要がある。彼女の性格からすると……。」


「間違いなく『調査』だな。……キャサリンはどう思う?」


 リランドはキャサリンに尋ねるのは会社の経営などはキャサリンに丸投げしている為だ。実際、キャサリンがいる事で会社が順調に廻っている。


「……リランド達や私がこの調査に時間をとられても問題が出ない様に会社の体制を変えているわ。だからといってあまり長い時間は掛ける事は出来ない。猶予としては半年が良いところでしょう。」


 キャサリンの言葉にサバーブはため息を吐く。


「半年か……、連宋、すまないがオーガスタ博士に至急船橋ブリッジへくる様に連絡を頼む。」


「了解。」


「何にせよ、オーガスタ博士がやって来てからだな……。」


 サバーブはそう呟くと操縦席に深く腰を下ろした。


 ―――――――――――――――


 船橋ブリッジへやって来たオーガスタ博士が開口一番開いた言葉は『調査』の二文字だった。


「……受けた調査は宙域の調査だが発生源を特定して始めて完遂したと言える物だ。このままだと中途半端な報告しか出来ないだろう。ところでサバーブ君、君は宇宙ゲートをどちら側から利用するのかね?」


 オーガスタの質問にリランドは首を傾げる。


「どちらってそりゃ現状このまま待機でゲートが出現すれば出発って事だろう?」


 連宋はリランドの意見に同意する様に首を大きく縦に振った。それに対してサバーブは首を横に振っている。


「それは違うぞリランド。ゲートの向こう側に移動するのならゲートの発生予定地点を通り過ぎて待機が正解だ。」


「うむ、サバーブ君の言うとおりだ。」


 オーガスタもサバーブに同意する。


「どう言う事だ?サバーブ。通り過ぎた方が良いのか?」


「リランド、連宋、ゲートは空間に対して平面的に開いた穴で、入る方向が二方向あるとだという事は知っているだろう。」


 サバーブが尋ねるとリランドと連宋は小さく頷いた。


「反物質の分布を考えると、こちら方向から進んだ方向に反物質の発生源がある。では反対方向から浸入したならどうなる?」


「それは発生源に背を向け……そうか!反物質はゲートを通り過ぎているから反対側なら……。」


「反物質の影響が少なくなる!」


 リランドと連宋は同時に頷く。


「……当然だな。調査の為には船が大破する原因は極力ない方が良い。判っているのなら問題は無い。」


 オーガスタはそう言うと流彗星号の船橋ブリッジに用意された自分の座席に腰を下ろした。

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