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三匹が宇宙をゆく!ーおっさんの悠々自適なセカンドライフだったと思うのだが何か違う気がする。ー  作者: 士口 十介
おっさんたちは源の星へ行く

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出発

 サバーブ達の次の仕事に惑星クラピアの調査も含まれる事になった。

 惑星の本格的な調査の為には各種機材を調達しなければならないのだが、クラピアの調査はオーガスタ博士が調査用に機材を持ち込む事となった。

 問題はその機材の量と種類である。博士が提出したリストを見ると流彗星号の輸送量限度一杯を積み込むつもりの様だ。

 レルネー1に持ち込まれた機材のリストを見たキャサリンがため息を吐く。


「オーガスタ博士、この量は積載できません。多くてもこの半分の量にしてもらう必要があります。」


「何故だ?流彗星号とやらの積載量はこの量で間違いないはずだぞ?」


「……最大積載量は量ですが、その場合ですと食料も着陸艇も積み込めませんが?惑星に着陸しての調査は行われないのでしょうか?」


「何!着陸艇が使えないと?……それは不味いな。それではこうしよう、積み荷の三分の一を減らして……。」


「半分です。」


「いやだから、三分の一を……。」


「半分です。」


 そう言うとキャサリンは何の感情もこもっていない目でオーガスタ博士をじっと見つめた。


「……うううううう、半分……ですね。」


「ええ、それでお願いします。このリストはお返ししますわね。」


 キャサリンはオーガスタ博士にリストを手渡すとにっこりと微笑んだ。その姿を見たリランドは”キャサリンに逆らってはいけない”と理解するのであった。


 ---------------


 積み荷に関して一悶着あったが一週間後、オーガスタ博士とその秘書であるミュアを乗せ流彗星号は出発した。

 流彗星号の船橋ブリッジではサバーブ達三人だけでなくオーガスタ博士や秘書のミュア、船長代理のシルビィ、キャサリンが何時もの倍以上の人が入っていた。


「無事出発できたのは良いが何故キャサリンが乗っている?」


「あら?リランド、あなたはオーガスタ博士に対応できるのかしら?」


「それもそうか。……オーガスタ博士のお目付役か……。」


 リランドはキャサリンがオーガスタのお目付役として乗っている事に少し安堵し同時に寂しくも思った。


(そう言えばキャサリンは最初、俺のお目付役だったんだよな。)


「リランド、私はオーガスタ博士だけで無くあなたのお目付役でもあるのですよ?」


「!」


「あなたはちゃんと見ていないと無茶な事をするでしょう?」


「……キャサリン……。」


「……リランド……。」


「……」


「……」


 リランドとキャサリンはお互い見つめ合う。流彗星号の船橋ブリッジの一部だけ別の空間にある様であった。

 そんな二人を尻目に流彗星号のメインモニターの前でサバーブが航路についての説明を行っていた。


「……惑星クラピアへの航路だが、前回使った航路は使わない様にする。理由は……。」


「事故が起こった場合、クラピアでの調査に支障が出るからだね」


 連宋の言葉にサバーブは大きく頷く。


「その為、航行距離が少し長くなるので時間が一日ほど余計にかかる。惑星クラピア到着後は一月ほど時間を掛けての調査だ。場合によっては調査の時間が変わる。……この予定でよろしいですね?」


 サバーブはオーガスタ博士に同意を求める。


「結構、問題ない。その後は事故現場に移動しての調査か……楽しみなイベントが目白押しだな。ミュア。」


「私は博士が何時暴走するか気がかりでなりませんよ。」


 期待に胸を膨らませるオーガスタ博士と対象に秘書のミュアは不安に駆られている様だった。


「後は……そうですね。詳しい事は流彗星号のAIにでも尋ねてください。そうだ!どうせなら宇宙ゲートのエネルギーについて尋ねられてみては?博士なら教えてくれるかもしれませんよ?」


 サバーブの提案にオーガスタ博士は首を横に振った。


「いやサバーブ君、その必要は無いぞ。」


「必要は無い?エネルギーについて何か判ったのですか?」


「いや?それほど研究は進んでいない。」


「では何故?」


 オーガスタ博士は椅子に深く腰を下ろし直す。


「ふむ。その様な発見は自らの手で解く・・物だ。人に教わる・・・物ではない。」


 どうやらオーガスタ博士は自らの手で解き明かすに意義を感じている様だ。

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